著者
伊崎 聡志 葉山 惟大 照井 正
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.156-160, 2016-08-01 (Released:2016-09-16)
参考文献数
18

Malignant melanomas easily metastasize and are often resistant to conventional classical therapies, i.e., surgery, chemotherapy and radiotherapy, in patients with advanced/metastatic malignant melanoma. In recent years, rapid advances have been made in the immunotherapy of malignant melanoma. New medicines, which have been approved by Federal Drug Administration (FDA), have dramatically improved the clinical outcomes for patients with advanced/metastatic melanoma. Nivolumab is an immune checkpoint inhibitor that targets programmed cell death-1 (PD-1) receptors. PD-1 is expressed on many immune cells, including T cells, B cells and natural killer cells. Engagement of PD-1 with its ligands (PD-L1 and PD-L2) induces functional exhaustion of the cytotoxic immune response. Nivolumab inhibits the PD-1 pathway, and thus activates the cytotoxic immune response. Although the immune checkpoint inhibitor tends to take a few months until it exhibits efficacy, once established, the efficacy often lasts for a long time. However, immune checkpoint inhibitors can have many adverse effects, including autoimmune-related inflammation. In particular, relevant severe adverse effects include interstitial pneumonia, colitis, liver dysfunction, thyroid disorders, and infusion reaction. Other affected organs include the skin, eyes, kidneys and nerves. Furthermore, several cases of fulminant type 1 diabetes mellitus have been reported in 2015 and 2016. Because we cannot predict what kinds of adverse effects will occur or when they will occur, we must observe patients carefully in order to detect any adverse events early on, and initiate appropriate treatments. The development of a number of new therapies will provide benefits for patients with malignant melanoma. Dermatologists must use these new drugs appropriately after determining the correct diagnostic information and providing supporting evidence.
著者
古江 増隆 山崎 雙次 神保 孝一 土田 哲也 天谷 雅行 田中 俊宏 松永 佳世子 武藤 正彦 森田 栄伸 秋山 真志 相馬 良直 照井 正 真鍋 求
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.9, pp.1795-1809, 2009-08-20 (Released:2014-11-28)
被引用文献数
1

[目的]我が国の皮膚科受診患者の皮膚疾患の頻度,性別,年齢分布,気候との関連性などを多施設大規模調査によって明らかにすることを目的とした.[方法]全国の大学病院76施設,病院55施設,診療所59施設(計190施設)において,2007年5月,8月,11月,および2008年2月の各月の第2週目を目安に,その週のいずれか1日を受診した初診・再診を問わず外来,および入院中の患者全てを対象に,「性別」,「年齢」,「診断名」を所定のマークシート調査に記録した.各調査期間における調査協力施設地域の気温,および湿度に関するデータは,気象庁・気象統計情報を使用した.[結果]4回の調査すべてに協力いただいた170施設(大学病院69施設,病院45施設,診療所56施設)から回収した67,448票を解析した.上位20疾患を列挙すると,その他の湿疹,アトピー性皮膚炎,足白癬,蕁麻疹・血管浮腫,爪白癬,ウイルス性疣贅,乾癬,接触皮膚炎,ざ瘡,脂漏性皮膚炎,手湿疹,その他の皮膚良性腫瘍,円形脱毛症,帯状疱疹・疱疹後神経痛,皮膚潰瘍(糖尿病以外),痒疹,粉瘤,尋常性白斑,脂漏性角化症,薬疹・中毒疹の順であり,上位20疾患で皮膚科受診患者の85.34%を占めた.疾患ごとに特徴的な年齢分布を示した.性差が明らかな疾患が存在した.気温や湿度と正負の相関を示す疾患が存在した.[結語]本調査によって21世紀初頭の皮膚科受診患者の実態を明らかにし得た.本調査が今後も定期的に継続されることで,社会皮膚科学的視野にたった皮膚疾患の理解が深まると考えた.
著者
大槻 マミ太郎 照井 正 小澤 明 森田 明理 佐野 栄紀 髙橋 英俊 小宮根 真弓 江藤 隆史 鳥居 秀嗣 朝比奈 昭彦 根本 治 中川 秀己
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.121, no.8, pp.1561-1572, 2011-07-20 (Released:2014-11-13)

Clinical use of TNFα (tumor necrosis factor α) inhibitors, adalimumab and infliximab, for psoriasis began in January 2010 when an additional indication for this disease was approved. In January 2011, an interleukin-12/23 p40 (IL-12/23 p40) inhibitor, ustekinumab, was newly approved as the third biologic agent with an indication for psoriasis. All of these biologic agents are expected to exhibit excellent efficacy against not only psoriasis but also psoriatic arthritis, and to contribute to the improvement of quality of life (QOL) of psoriatic patients. At the same time, however, they require safety measures to prevent adverse drug reactions such as serious infections. We therefore decided to prepare this Guideline/Safety Manual for the Use of Biologic Agents in Psoriasis (The 2011 Version) by revising that for the use of TNFα Inhibitors prepared by the Biologics Review Committee of the Japanese Dermatological Association in February 2010. In this new unified version for all three biologic agents including ustekinumab, requirements for clinical facilities for the use of biologic agents, contents of safety measures against reactivation of tuberculosis and hepatitis B, and recommendable combination therapies with biologic agents, have been renewed and added. This guideline/safety manual has been prepared to assist dermatology specialists experienced in clinical practice of psoriasis to use biologic agents safely and properly.
著者
菊地 克子 五十嵐 敦之 加藤 則人 生駒 晃彦 金久保 暁 照井 正
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.13, pp.2763-2770, 2019-12-20 (Released:2019-12-20)
参考文献数
50

皮脂欠乏症は乾皮症と同義であり,加齢により生じる老人性乾皮症や皮膚機能が未成熟である乳幼児に生じるもののほか,アトピー性皮膚炎や魚鱗癬あるいは糖尿病や慢性腎臓病などの疾患に併発すると共に,一部の抗がん剤や放射線治療などに伴っても生じる.皮膚乾燥はしばしば瘙痒を伴い,搔破によって湿疹などの状態になることから,セルフメディケーション製品を含めた保湿剤による治療を疾患や病態に合わせて行う必要があるものの,明確な治療基準は存在しない.そのため,治療に関する指針が定められることが望まれる.
著者
谷岡 未樹 松永 佳世子 秋田 浩孝 片山 一朗 乾 重樹 石井 正光 小林 裕美 相場 節也 菊地 克子 石川 治 永井 弥生 照井 正 高柳 たかね 古江 増隆 吹譯 紀子 加藤 敦子 山﨑 貞男 宮地 良樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.170-182, 2011 (Released:2012-10-23)
参考文献数
8
被引用文献数
2

顔面に尋常性ざ瘡のある女性患者を対象に,低刺激性・低アレルギー性メーキャップ化粧品dプログラム®スムースアップファンデーション(パウダリー),スムースアップファンデーション(リキッド),スムースアップフェースパウダー(おしろい)の安全性を評価することを目的とする4週間の使用試験を実施した。解析対象例(85例)における副作用発現率はパウダリー2.1%,リキッド0%,おしろい0%で,副作用の症状は軽微であった。試験開始時と比較した終了時におけるざ瘡の炎症性皮疹(紅色丘疹,膿疱)および非炎症性皮疹(面皰)数は有意に減少した。Dermatology Life Quality Index を用いた生活の質の評価は「総合」「症状・感情」「レジャー」のスコアが有意に改善された。Visual Analogue Scal (VAS) による顔面の皮膚状態に関する満足度も有意に上昇した。以上の結果より,本試験試料の低刺激性・低アレルギー性メーキャップ化粧品は女性の尋常性ざ瘡患者が安全にかつざ瘡を悪化させることなく使用することができるだけでなく,生活の質を改善すると結論した。(皮膚の科学,10: 170-182, 2011)
著者
照井 正 鳥居 秀嗣 黒川 一郎 大田 三代 栗本 沙里奈 山崎 清貴 木村 淳子 林 伸和
出版者
金原出版
雑誌
皮膚科の臨床 (ISSN:00181404)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.353-360, 2018-03-01

化膿性汗腺炎の本邦における罹患率は不明で,診断基準および治療指針も確立されていない。本研究は国内における化膿性汗腺炎の患者像,診療状況の把握のためJMDC Claims Databaseを用いて化膿性汗腺炎の患者背景,併存症および治療状況を検討した。その結果,国内の15歳以上65歳未満の年齢層における化膿性汗腺炎患者数は2921人で有病率は0.0039%と推計された。海外で関連が示唆されている喫煙,肥満,メタボリックシンドロームとの明らかな関連性はなかった。治療には内服抗菌剤,外用ステロイド,外用抗菌剤が主に用いられていた。臀部膿瘍,多発皮下膿瘍,慢性膿皮症などの病名で登録されている症例もあると思われる。今後,診断や治療の指針の作成が望まれる。
著者
古江 増隆 山崎 雙次 神保 孝一 土田 哲也 天谷 雅行 田中 俊宏 松永 佳世子 武藤 正彦 森田 栄伸 秋山 真志 相馬 良直 照井 正 真鍋 求
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.9, pp.1795-1809, 2009

[目的]我が国の皮膚科受診患者の皮膚疾患の頻度,性別,年齢分布,気候との関連性などを多施設大規模調査によって明らかにすることを目的とした.[方法]全国の大学病院76施設,病院55施設,診療所59施設(計190施設)において,2007年5月,8月,11月,および2008年2月の各月の第2週目を目安に,その週のいずれか1日を受診した初診・再診を問わず外来,および入院中の患者全てを対象に,「性別」,「年齢」,「診断名」を所定のマークシート調査に記録した.各調査期間における調査協力施設地域の気温,および湿度に関するデータは,気象庁・気象統計情報を使用した.[結果]4回の調査すべてに協力いただいた170施設(大学病院69施設,病院45施設,診療所56施設)から回収した67,448票を解析した.上位20疾患を列挙すると,その他の湿疹,アトピー性皮膚炎,足白癬,蕁麻疹・血管浮腫,爪白癬,ウイルス性疣贅,乾癬,接触皮膚炎,ざ瘡,脂漏性皮膚炎,手湿疹,その他の皮膚良性腫瘍,円形脱毛症,帯状疱疹・疱疹後神経痛,皮膚潰瘍(糖尿病以外),痒疹,粉瘤,尋常性白斑,脂漏性角化症,薬疹・中毒疹の順であり,上位20疾患で皮膚科受診患者の85.34%を占めた.疾患ごとに特徴的な年齢分布を示した.性差が明らかな疾患が存在した.気温や湿度と正負の相関を示す疾患が存在した.[結語]本調査によって21世紀初頭の皮膚科受診患者の実態を明らかにし得た.本調査が今後も定期的に継続されることで,社会皮膚科学的視野にたった皮膚疾患の理解が深まると考えた.