著者
吉田 安規良 小田切 忠人 Yoshida Akira Kotagiri Tadato
出版者
琉球大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
琉球大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466038)
巻号頁・発行日
no.20, pp.133-158, 2013

2013年から4年制大学で本格実施される「教職実践演習」に先立ち、沖縄こどもの国と連携しながら「ドリームフェスティパル2012」という行事の企画・運営を主とする、特別活動の運営をモチーフとした試行実践を行った。受講した学生は「対人関係能力」や「協働体制の構築」の重要性を理解し、これらに代表されるこれからの教員として必要な資質能力を修得していたと判断できる。学生にとってこの取り組みそのものは達成感や充実感を味わえるものであり、今回の試行実銭は「教職実践演習」 の一形態として有効であると判断できる。しかし、とりわけ卒業研究との両立に際して負担感があることもわかった。
著者
小寺 隆幸 浪川 幸彦 小田切 忠人 伊禮 三之 井上 正允 梅原 利夫
出版者
京都橘大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

PISAの数学的リテラシー論の枠組みと調査問題を分析し、さらにPISAに影響を及ぼしたニスによるデンマークの数学教育改革について研究した。PISAの数学的リテラシーは単なる活用ではなく、現実の問題を数学化して考える能力であるが、テストで測りうるのはその断片にすぎない。重要なことはテスト結果ではなく、現実の問題と向き合い、思索し、仲間と対話をする授業を創造することである。日本には量を基礎にする数学教育の豊かな蓄積があり、それを発展させることが求められる。ただこれまでは全員が共通の目標を目指してきたが、授業の中に個々の子どもの数学的コンピテンシーを伸ばすという視点をも位置づける必要がある。
著者
小田切 忠人
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は,数学的な着想が個の知的活動の中でどのように発現するのかということに関心を置きながら,学習活動において子どもはどのように数学的概念を獲得するのか,できるのかということを観察することをねらいとして始めた。ここでは,「答え」の出し方を機械的に覚え込むということでなく,分かること,分かり方が研究の対象になる。その研究の方法として,数と計算の学習に困難を抱える子どもたちに治療的な教育介入を行い,その学習の様子を観察することにした。したがって,ここでの学習活動は,学校のような場における教師の意図的な教育介入のある知的な活動であり,生活や遊びの中で行われる無意識的な学びのことではない。その結果として,本研究での観察は,教師の意図的な教育介入の,求められる有様を,結果として探ることになるものともなった。本研究の成果として,数と計算の学習につまずき,低達成のままであった,学習障害などの発達障害が疑われる子どもたちや知的障害がある子どもたちを含む,数学学習にスペシャル・ニーズのある子どもたちが,基礎的な数概念や計算技能を獲得する学習の過程を,生のデータで記録に残し,それをWEB上で検索可能なデータベースにすることができた(http://plaza4ts.edu.u-ryukyu.ac.jp)。このデータベースは,一冊の報告書に載せきれるものではないほどの大きなものとなった。そして,今なお,治療的な教育介入を継続し,データの蓄積を続けている。最終年度報告書には,データベースの概要と,そのデータベースに収められている学習記録に基づいて進めた研究成果の一部を掲載した。