著者
武田 重信 小畑 元 佐藤 光秀
出版者
長崎大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

西部北太平洋に降下する黄砂などの大気エアロゾルから溶け出す微量金属元素が、海洋植物プランクトンの増殖に及ぼす影響について調べた。大気エアロゾルがアジア大陸から北太平洋に輸送される過程で人為起源物質の影響を受けると、鉄など微量金属元素の溶解率が高くなり、溶解した鉄の濃度に応じて植物プランクトンの増殖が促進されること、火山灰も大気から海洋への微量元素の供給源として重要であることなどが明らかになった。
著者
小畑 元 黄 国宏
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.33-46, 2022-09-25 (Released:2022-09-25)
参考文献数
98

Trace metals, like iron, copper, zinc and cobalt, in seawater are essential for phytoplankton growth and limit the primary production in some oceanic regions. It is crucial to reveal not only distributions of the metals but also their chemical speciation in seawater because their availability to phytoplankton depends on their speciation. At present, it is well known that more than 99% of iron and copper are complexed with organic ligands in seawater, which was revealed mainly by using voltammetry. In this review, we introduce the electroanalytical methods of organic ligands for trace metals in seawater. Moreover, we indicate the voltammetric methods to determine nanomolar levels of specific organic ligands for trace metals, such as humic substances and thiols, in seawater.
著者
則末 和宏 松原 由奈 中川 正親 小畑 元 岡村 慶 永石 一弥 石川 剛志
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>現代の海洋には人間活動によって負荷されたPbが存在しており,多くの海域で人為起源Pbが天然由来のバックグラウンドを大きく上回っている。人為起源Pbの発生源は様々であり,発生源に応じて特徴的な同位体比を示す。このため,海水中のPb同位体比を調べることにより,大気から海洋表層へもたらされた人為起源Pbの供給源を推定することができる。また,海水中のPb濃度と同位体比の時系列データがサンゴの骨格に記録されており,現在の海水中のPb の挙動を解析する上で有用な情報となる。このように,Pb同位体比は,人為起源の汚染物質の指標として重要であるのみならず,海洋物質循環の理解にも有用である。このような学術的な特性を有するPb同位体に着目した海洋化学研究を行う。</p>