著者
佐川 真由美 金子 武生 赤川 志郎 小野 憲一郎
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.871-874, 1995-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
8
被引用文献数
4 8

給餌後の血漿クレアチニン (Cre) 値の増加の割合と摂食フード中のCre含有量とは高い相関性を有し, 高Cre含有フード給餌猫では血漿Cre値が摂食前値に復するまで約24時間を要した.猫の血漿Cre値の評価に当たっては, 給餌の影響を考慮する必要があると考えられた.
著者
宮沢 孝幸 見上 彪 堀本 泰介 小野 憲一郎 土井 邦雄 高橋 英司 見上 彪 宮沢 孝幸 遠矢 幸伸 望月 雅美
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1997

本研究はベトナムに棲息する各種食肉類(ネコ目)から、レトロウイルスを分離・同定し、既知のレトロウイルスとの比較において、レトロウイルスの起源の解析を試み、さらにレトロウイルスの浸潤状況を把握し、我が国に棲息する野生ネコ目も含めたネコ目の保全に寄与することを目的とする。本年度はホーチミン市近郊およびフエ市近郊で2回野外調査を行い、ハノイ農科大学で研究成果発表を行った。さらに、台湾においても家ネコの野外調査ならびに学術講演を行った。まずホーチミン市近郊の家ネコおよびベンガルヤマネコより採血を行い、血漿中のネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ネコ巨細胞形成ウイルス(FSV)に対する抗体およびネコ白血病ウイルス(FeLV)のウイルス抗原を調べた。FeLVは家ネコ、ヤマネコともに陽性例は見られなかった。FIVは家ネコの22%が陽性であったが、ヤマネコには陽性例はなかった。FSVは家ネコの78%、ヤマネコの25%が陽性であった。次いで家ネコの末梢血リンパ球からFIVの分離を試み、6株の分離に成功した。env遺伝子のV3-V5領域の遺伝子解析から、5株がサブタイプCに、1株がサブタイプDに属することが明らかとなった。サブタイプCはカナダと台湾で流行していることが報告されている。今回の結果からホーチミン市近郊のFIVは、カナダや台湾から最近持ち込まれたか、もともと日本を除くアジアでサブタイプCが流行していた可能性が考えられた。アジアでのFIVの起源を明らかにするためには今後、ベトナム、台湾以外のアジア諸国のFIVの浸潤状況調査とザブタイピング解析を進める必要があると思われる。また、今回レトロウイルス以外のウイルス感染疫学調査から、ネコヘルペスウイルス1型、ネコカリキウイルス、ネコパルボウイルスの流行が明らかとなった。特に、ネコパルボウイルスでは今まで報告のない新しいタイプの株(CPV-2cと命名)を分離した。
著者
亘 敏広 辻本 元 小野 憲一郎 長谷川 篤彦
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.309-312, 1998-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

治療により血小板数が200×103/μl以上に維持されている特発性血小板減少性紫斑病 (ITP) 犬5例について臨床症状, 止血スクリーニング検査およびアデノシン二リン酸 (ADP) に対する血小板凝集能を検討した. 全例とも止血スクリーニング検査では異常は認められなかったが, 5例中3例で採血後の皮下出血, 止血遅延などがみられ, 4例においてはADPに対する血小板凝集能の明らかな低下が認められた. 以上から, ITP患犬の止血異常持続例は, 血小板凝集能低下によることが示唆された.
著者
古川 敬之 青木 創 藤井 豊 二瓶 和美 鈴木 学 小野 憲一郎 平尾 秀博
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.29-34, 2014-12-26 (Released:2014-12-26)
参考文献数
12

A 9-year-old neutered female Miniature Dachshund had undergone lobectomy of the left frontal lobe for lung carcinoma followed by nine post-operative doses of carboplatin chemotherapy(250 mg/m2, every 3weeks). The dog was referred to the Japan Animal Referral Medical Center (Nagoya), because of lung masses in the opposite right middle and posterior lobes. Whole body contrast-enhanced computed tomography(CT)was performed and revealed lung solitary tumors in the relevant areas. No abnormal findings were observed in other lobes or intrathoracic lymph nodes. Since the possibility of metastatic lesions of lung carcinoma incompletely removed in the previous surgery was considered, we performed CT again on day 45 for evaluation of the new tumor progression. The size of both tumors increased, and right middle and posterior lung lobectomies were carried out on day 53. There were no adhesive lesions around the tumors, carcinomatous pleuritis, pleural fluid or hilar lymphadenopathy. While histopathology revealed high-grade lung adenocarcinoma with numerous mitoses, there was no evidence of intravascular invasion, suggesting complete resection. A tentative diagnosis of metastatic lung tumor(T2N0M1)was made. Adjuvant chemotherapy with carboplatin(250 mg/m2, for every 3 weeks)and piroxicam(0.3 mg/kg/3 days)was also given starting on day 21, and no evidence of recurrent lesions was observed on day 726 with a good health condition maintained. From these results, it is suggested that aggressive surgery plus adjuvant chemotherapy can be appropriate treatments for metastatic lung carcinoma.