著者
宮沢 孝幸 見上 彪 堀本 泰介 小野 憲一郎 土井 邦雄 高橋 英司 見上 彪 宮沢 孝幸 遠矢 幸伸 望月 雅美
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1997

本研究はベトナムに棲息する各種食肉類(ネコ目)から、レトロウイルスを分離・同定し、既知のレトロウイルスとの比較において、レトロウイルスの起源の解析を試み、さらにレトロウイルスの浸潤状況を把握し、我が国に棲息する野生ネコ目も含めたネコ目の保全に寄与することを目的とする。本年度はホーチミン市近郊およびフエ市近郊で2回野外調査を行い、ハノイ農科大学で研究成果発表を行った。さらに、台湾においても家ネコの野外調査ならびに学術講演を行った。まずホーチミン市近郊の家ネコおよびベンガルヤマネコより採血を行い、血漿中のネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ネコ巨細胞形成ウイルス(FSV)に対する抗体およびネコ白血病ウイルス(FeLV)のウイルス抗原を調べた。FeLVは家ネコ、ヤマネコともに陽性例は見られなかった。FIVは家ネコの22%が陽性であったが、ヤマネコには陽性例はなかった。FSVは家ネコの78%、ヤマネコの25%が陽性であった。次いで家ネコの末梢血リンパ球からFIVの分離を試み、6株の分離に成功した。env遺伝子のV3-V5領域の遺伝子解析から、5株がサブタイプCに、1株がサブタイプDに属することが明らかとなった。サブタイプCはカナダと台湾で流行していることが報告されている。今回の結果からホーチミン市近郊のFIVは、カナダや台湾から最近持ち込まれたか、もともと日本を除くアジアでサブタイプCが流行していた可能性が考えられた。アジアでのFIVの起源を明らかにするためには今後、ベトナム、台湾以外のアジア諸国のFIVの浸潤状況調査とザブタイピング解析を進める必要があると思われる。また、今回レトロウイルス以外のウイルス感染疫学調査から、ネコヘルペスウイルス1型、ネコカリキウイルス、ネコパルボウイルスの流行が明らかとなった。特に、ネコパルボウイルスでは今まで報告のない新しいタイプの株(CPV-2cと命名)を分離した。
著者
望月 雅美
出版者
埼玉大学日本語教育センター
雑誌
埼玉大学日本語教育センター紀要 (ISSN:21875871)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.27-38, 2018

本稿は、ニーズ別語彙シラバスを作成する過程に、情報の重要度という新たな視点を加えるものである。幼稚園の配布文書を調査対象とし、全て一括で集計した場合と「情報のトリアージ」という考えをもとに情報の重要度別に集計した場合の頻出語の違いを比較した。その結果、使われている名詞には情報の重要度ごとに異なる特徴が見られた。ニーズ別語彙シラバスの作成のためには、学習者が読み取らなければならない情報の緊急性、重要性を考え、文書を選別して調査を行う必要性が示唆される結果となった。この「情報のトリアージ」という視点を入れることは、すべての読み手にとって読みかたを選べる有益な手段だと考えられる。
著者
望月 雅美 大澤 直子 石田 卓夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.1071-1073, 1999-09-25
参考文献数
33
被引用文献数
10

猫の消化器疾患に関係するウイルスの検索のために猫糞便を調べた. 特に逆転写酵素遺伝子増幅法を用いて猫コロナウイルス(FCoV)に焦点を当て検索した. 最も高頻度に検出されたのは猫汎白血球減少症パルボウイルス(FPLV;陽性率28.5%)で,次がFCoVであった(10.7%).FCoV陽性の猫に共通した症状は嘔吐, 下痢および脱水で, 多くは間もなく回復した. しかし, FPLVが混合感染していた猫は重症であった.
著者
見上 彪 前田 健 堀本 泰介 宮沢 孝幸 辻本 元 遠矢 幸伸 望月 雅美 時吉 幸男 藤川 勇治
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は猫に対する安全性、経済性、有効性全てに優れる多価リコンビナント生ワクチンを開発・実用化することである。以下の成績が得られた。1.我々は猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)のチミジキナーゼ(TK)遺伝子欠損株(C7301dlTK)の弱毒化とそのTK遺伝子欠損部位に猫カリシウイルス(FCV)のカプシド前駆体遺伝子を挿入した組換えFHV-1(C7301dlTK-Cap)の作出に成功した。C7301dlTK-Capを猫にワクチンとして接種した後にFHV-1とFCVの強毒株で攻撃したところ、猫は両ウイルスによる発病から免れた。しかし、FCVに対する免疫応答は弱かった。2.そこで、更なる改良を加えるために、FCVカプシド前駆体遺伝子の上流にFHV-1の推定gCプロモーターを添えた改良型組換えFHV-1(dlTK(gCp)-Cap)を作出した。培養細胞におけるdlTK(gCp)-Capのウイルス増殖能はC7301dlTKとC7301dlTK-Capのそれと同じであった。dlTK(gCp)-CapによるFCV免疫抗原の強力な発現は関節蛍光体法及び酵素抗体法にて観察された。加えてdlTK(gCp)-Capをワクチンとして接種した猫は、C7301dlTK-Cap接種猫と比較した場合、FCV強毒株の攻撃に対してその発症がより効果的に抑えられた。3.猫免疫不全ウイルス(FIV)のコア蛋白(Gag)をコードする遺伝子をFHV-1のTK遺伝子欠損部位に挿入したC7301ddlTK-gagを作出し、In vitroでその増殖性や抗原の発現を検討した。この2価ワクチンは挿入した外来遺伝子の発現産物が他の蛋白と融合することなく、自然の状態で発現するように改良されたリコンビナントワクチンである。培養細胞での増殖性は親株であるC7301とほぼ同じであり、イムノブロット解析により、C7301ddlTK-gagは前駆体Gagを発現していた。
著者
San Gabriel Maria Concepcion S. 遠矢 幸伸 杉村 崇明 清水 孜 石黒 信良 望月 雅美
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.97-101, 1997-02-25
被引用文献数
1 11

日本で分離されたイヌカリシウイルス(CaCV)No.48株をMDCK細胞で大量培養し, 塩化セシウム平衡密度勾配超遠心により精製した. 精製ウイルスをSDS-PAGE解析したところ, 約60キロダルトンの1種類の主要ウイルス蛋白のみの存在がクマシー染色により示された. カプシド蛋白と考えられる同一のバンドはマウス高度免疫血清を用いたウェスタンブロッテイングにより検出され, 本カプシド蛋白はMDCK細胞において感染後少なくとも2時間で合成されていた. 実験感染犬における抗CaCv抗体の産生がマイクロ中和試験とウェスタンブロッテイングにより示された. 同様に, 血清調査においても中和抗体の存在が示されるとともに, 精製ウイルスのカプシド蛋白に野外血清が反応することが明らかとなった. これらの結果はCaCV No.48株のカプシド蛋白が免疫原性を有し, 本蛋白に対する抗体をウェスタンブロッテイングにより検出しうることを示している.