著者
小方 孝 福田 和維 小野 淳平 伊藤 拓哉
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.3P5OS16b02, 2020

<p>「綯い交ぜ」は歌舞伎の物語を作り出すための単なる一手法ではなく,最重要な構成原理である.綯い交ぜに関しては様々な説明があるが,ここでは凡そ,既存のある物語―神話・伝説・民話・語り物・歴史等―の「世界」―人物・事件・時代背景等―をベースに,その他の物語の世界との様々な仕方での合成や関連付けを通じて,一つの新しい物語作品を作り出すという,物語創出原理のことを綯い交ぜと考える.それはその中に多様な手法や技法を含む総体的な用語である.なお歌舞伎の用語法では,ある世界に基づく物語の綯い交ぜによる再組織化の工夫のことを「趣向」と呼ぶ.また綯い交ぜという言葉自体は特に鶴屋南北の特異な作劇法のことを狭くは意味するが,ここではより広く一般的に捉えている.本研究では,綯い交ぜとは何かについて,従来の歌舞伎研究の調査・分析と筆者らの物語生成システム研究との綯い交ぜを通じて考察し,様々なアプローチの可能性を体系的に整理すると共に,その一例として,筆者らが実装した,関啓吾らの『日本民話大系』に記述された民話の型の概念表現化を用いて,複数のストーリーの合成による綯い交ぜのコンピュータシミュレーションを示す.</p>
著者
大工谷 新一 小野 淳子 鈴木 俊明
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会 第49回近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.7, 2009 (Released:2009-09-11)

【はじめに】 筆者らはスポーツ外傷後の神経筋機能を評価する目的で,理学療法評価に電気生理学的検査を取り入れている.今回,スポーツ動作中に足関節内反捻挫を受傷したバスケットボール選手に対する電気生理学的検査で特異的な所見を得たので報告する.【対象】 対象は本件に関する説明に同意を得た21歳の男子大学バスケットボール選手であった.診断は左足関節内反捻挫(II度損傷)であった.現症としては,応急処置が奏功した結果,腫脹と疼痛,可動域制限はそれぞれ軽度であった.筋力検査は疼痛のため不可能であった.ADLレベルは,歩行は疼痛自制内で可能であるものの,段差昇降には時間を要し,走行は不可であった.【方法】 電気生理学的検査として,ヒラメ筋からH反射を導出した.具体的には,筋電計Viking Questを用いて,安静腹臥位で足尖をベッド外へ出した状態の被験者の膝窩部脛骨神経に電気刺激を16回加えて,H反射を記録した.電気刺激強度は,振幅感度を500μV/divとした画面上でM波出現が同定できる最小強度とした.H反射の記録後,同部位に最大上刺激を加え,最大M波を記録した.H反射振幅とM波振幅の平均値を求めた後に各々の比(振幅H/M比)を算出して,受傷前,受傷後3日,受傷後1ヶ月の振幅H/M比を比較した.【結果】 受傷前,受傷直後,受傷後1ヶ月の振幅H/M比は,非受傷側で0.17,0.88,0.21,受傷側では0.62,1.23,0.58であり,受傷直後に顕著に増大していた.また,得られた波形の外観上の特徴として,受傷直後の受傷側には長潜時反射様の律動的波形がH反射出現後に記録された.【考察】 振幅H/M比は脊髄神経機能の興奮性を示す指標である.また,下肢における長潜時反射は脳幹または大脳皮質の興奮性を表す指標となる.本症例では,受傷直後に両側についてヒラメ筋に関連する脊髄神経機能の興奮性に著しい増大が認められた.また,通常は安静時には導出されない長潜時反射も受傷直後の受傷側において記録された.これより,本症例においては足関節内反捻挫の受傷によって,一過性の脊髄神経機能の興奮性の増大が両側性に認められ,受傷側においては脳幹より上位の神経機能の興奮性も増大していたことが明らかとなった.この機序としては,受傷そのものによる脊髄神経機能への影響と,受傷した状態でADLに適応する過程で脊髄神経機能に及ぼされる影響の2つの観点から考慮する必要がある.受傷そのものによる脊髄神経機能への影響としては,疼痛を回避するために脊髄反射が亢進していた可能性や腫脹による関節内圧の変化などが考えられ, ADLに適応していく過程で脊髄神経機能に及ぼされた影響としては,受傷直後の不安定感や疼痛を回避するために,ヒラメ筋などの足関節周囲筋群の緊張性収縮を常時亢進させた状態で姿勢保持や動作遂行を繰り返していた影響があった可能性が推察された.
著者
小方 孝 小野 淳平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1F2NFC103, 2019 (Released:2019-06-01)

筆者は物語生成の観点から,特に「統合物語生成システムを持つ芸能情報システ ム」の観点から,歌舞伎における要素と技法を調査・分析して来た.本論文の目 的は,歌舞伎における二つの要素(人及びストーリー)と同じく二つの技法(綯 い交ぜ及び尽し)を選び,その組み合わせ的な,あるいは多重的な使用について 考察することである.結果として,筆者は自動的に生成・編集された,役者の記 述・二つの歌舞伎作品の梗概・綯い交ぜと尽しの技法を利用して編集されたシナ リオを含む例を示す.この例は,「統合物語生成システムを持つ芸能情報システ ム」におけるある反復生成過程におけるある特定の地点におけるストーリーに対 応する.
著者
小野 淳平 小方 孝
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

開発中の統合物語生成システムでは,事象中の概念選択を概念辞書の候補範囲からランダム選択で行っていたが,これを小説中の単語の頻度情報で絞り込む方式を既に提案した.本稿ではその際問題となった名詞概念辞書の範疇の問題等を解決し,選択された概念を単語表記として表層化する機構と繋げる.更に事象の概念選択から文の表記選択迄の流れを,各々のパラメータ設定に基づき制御し言語表現の多様性を実現する仕組みを実装する.
著者
斎藤 富由起 吉田 梨乃 小野 淳
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.29-35, 2012-12-25

特別支援教育の実施に伴い,通常学級での発達障がいをもつ児童生徒への理解と支援が注目されている.その進捗状況を検討すると,障がいの概念については普及段階を終え,個別的・場面限定的な支援方法が模索されている.研究1では現在,教師が希求する支援方法の内容を検討した結果,特に「通常学級内でパニックを起こしている最中の児童生徒に対する支援方法」に課題があることが報告された.研究2では,「生じてしまった危険なパニック中の支援方法は確立されていない」との仮説(廣木,2012)に基づき,通常学級内での障がいを持つ児童生徒のパニックの種類と支援方法を検討した。その結果,80%以上の教師がパニック行動に悩まされた経験を持ち,危険性の高いパニック中の体系的な支援スキルも確立されていない現状が明らかにされた.危険性の高いパニック行動への対処は専門的なスキルであり,合理的配慮の中で検討されるべき事項である.「通常学級における危険性の高いパニック時の支援スキル」の確立が求められる.
著者
斎藤 富由起 小野 淳 社浦 竜太 守谷 賢ニ Fuyuki Saito Ono Atushi Syaura Ryuta Moriya Kenji 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 ものつくり大学 学生相談室 文教大学大学院 人間科学研究科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.69-81,

子どもの権利研究において居場所感と自己肯定感の関連性が指摘されているが、これらを実証的に検討した研究は非常に乏しい。本研究では、子どもの権利における心理学的実証研究の一環として、全日制普通科高校生版居場所尺度の作成を試み、自己肯定感との関連性を検証した。その結果、信頼性と妥当性のある居場所尺度が作成された。研究2では、居場所感と無効化環境体験(Invalidating Environment)の関連性を検討した結果、両要因に負の相関関係が確認された。
著者
斎藤 富由起 小野 淳 社浦 竜太 山内 早苗 井手 絵美 吉森 丹衣子
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.19-33, 2010-10-29

特別支援教育の中でADHDの特に衝動性と多動性が小学校内で「問題行動」と認識されやすいことが指摘されている(斎藤・小野・井手,2008).この結果は,家庭が行う支援構造と小学校での支援構造を比較検討することで,家庭と学校の支援への認識にずれがない「統合的な共通理解モデル」を作成する必要性を意味する.そこで本研究では家庭と小学校の調整役を担う臨床心理士に半構造化面接を試み,「家庭での支援モデル」と「小学校での支援モデル」を導いた.また両モデルの相異を踏まえ,時間軸の認識を書くとした協働的な「共通理解モデル」が提案された.
著者
小野 淳平 張 一可 小方 孝
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

先行研究において、テレビコマーシャルの分析により、人物、物、場所を非日常化する「異化」の修辞が多用されていることが明らかにされた。これまでこの知見を用いて概念辞書の階層を利用して単一事象を異化する技法のプログラム化を行なった。本稿では、個々の事象の異化の修辞をより大きなシナリオレベルに応用する手法について提案する。異化の度合いとストーリー性を制御して多用なシナリオ生成を実現することを目指す。