著者
斎藤 富由起 吉田 梨乃 小野 淳 Fuyuki Saito Yoshida Rino Ono Atushi 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 東京学芸大学大学院 教育学研究科 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.19-26,

三世代のボディワークとして注目されているロシア武術システマ(Systema)は1.護身術、2.怒りを中心とした感情コントロール技法としての呼吸法、3.自己への気づきを深めるためのボディワーク、4.非常に強いストレッサーへの対処法、5.親子関係や対人関係を中心としたコミュニケーションの質を高めるワークショップなどに活動領域を広げている。一方、システマは日本に導入されてから日が浅く、定義が不明確であり、基礎研究に乏しかった。本研究では、作成された定義に基づきシステマの公認インストラクターへの半構造化面接を通じてシステマの特徴を整理した。また参与観察法に基づきシステマ親子クラスの構造を分析し、ワークショップ性と即興性の観点からその活動の性質を考察した。システマ親子クラスは、親子のコミュニケーションの質を高める優れたワークショップであることが示唆された。
著者
斎藤 富由起 守谷 賢二 Fuyuki Saito Moriya Kenji 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 文教大学大学院 人間科学研究科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
pp.43-50, 2009

本研究では、境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療として注目されている弁証法的行動療法(DBT)の観点から、DBT版マインドフルネス尺度を追試的に検討するとともに、DBTにおけるマインドフルネスと境界性パーソナリティ傾向の関連性を検討することが目的であった。マインドフルネス尺度を検討した結果、先行研究と同じ「中核的マインドフルネス」、「課題への注意集中」、「効果的な対人コミュニケーション」、「情動コントロール」という4因子構造が得られ、先行研究(守谷・池田・斉藤,2005)以上に信頼性と妥当性の高い尺度が作成された。さらに、境界性パーソナリティ傾向の高低を独立変数としDBT版マインドフルネス尺度得点を従属変数とした結果、境界性パーソナリティ傾向の高い人は低い人と比較して、マインドフルネス得点が有意に低いことが明らかになった。
著者
小野 淳 斎藤 富由起 Atsushi Ono Saito Fuyuki 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
pp.35-47, 2008

いじめ現象の第三のピーク期(尾木・渡部,2007)において、子どもたちの約40-50%がいじめに関係している。こうした動向の中で、新しいいじめの形態として、携帯やEメール、インターネット上の掲示板などを媒介とする「サイバー型いじめ」(Cyber Bullying)が注目されている。本論文では、第一に「サイバー型いじめ」が登場した背景とその定義を紹介し、第二に、サイバー型いじめの特徴や種類を伝統型いじめ(Traditional Bullying)との比較を通じて論じた。第三に代表的な教育委員会の取り組みと海外での教育心理学に基づくサイバー型いじめ対策プログラムを紹介し、今後のサイバー型いじめ対策の課題を検討した。
著者
串崎 幸代 Yukiyo Kushizaki 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
巻号頁・発行日
vol.11, pp.11-17,

人は老いることによってさまざまな喪失を体験することが多い。老年期の課題については、そうした喪失などに対処し老いや死を受け入れることが挙げられるが、認知的・精神的な機能が衰退する後期高齢者や認知症の患者において、老いを生きることの意味はどのように考えるべきであろうか。文献を通して考察した結果、人生の最終段階においては他者を信頼して自己を委ねていくという課題が存在し、高齢者が認知的機能や自己意識を手放して生きることの意味や希望は高齢者を見守る側の他者に託されると考えられた。
著者
斎藤 富由起 吉森 丹衣子 守谷 賢二 吉田 梨乃 小野 淳 Fuyuki Saito Yoshimori Taeko Moriya Kenji Yoshida Rino Ono Atushi 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 公立中学校スクールカウンセラー 文教大学大学院 人間科学研究科博士後期課程 社会福祉法人聖音会鎌倉児童ホーム 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
巻号頁・発行日
vol.9, pp.13-20,

社会的ネットワークの希薄化を背景に,過剰な承認欲求(山竹,1998 ・2011)などの現代的な課題を反映した青年期心性が注目されている.こうした青年期心性の一つに「見捨てられ不安」(abandonment anxiety)がある.見捨てられ不安は,その概念の成立から精神分析理論の影響が強く,現在の社会的要因を独立変数とする数量的検証に乏しかった.本研究では見捨てられ不安を社会構造の変化に基づく現代的な青年期心性として,「重要で身近な他者(集団)に承認される自信がなく,自身の価値観をありのままに主張すると,重要で身近な他者(集団)から嫌われるのではないかという不安から自己犠牲的な認知・行動を過剰に選択する心理傾向」と定義し,質問紙の開発を試みた.その結果,「承認・注目欲求」と「過剰な自己犠牲」の2因子15項目の「見捨てられ不安尺度」の開発に成功した.
著者
宮里 慶子 森本 美絵 Keiko Miyazato Morimoto Mie 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 京都橘大学 人間発達学部 児童教育学科
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-12,

本稿は、養子縁組里親及び養親に対するインタビュー調査から、当事者自身が、抱える困難をどのように意味づけ、対処しているのか、その特徴をスティグマの問題から分析したものである。その結果、当事者は地域や学校等で特別視され排除されることがあり、その対処に迫られ、養育負担感が増す、抱える困難が拡大・深化する面がありながら、公的支援を受けることに消極的な傾向があるとわかった。
著者
斎藤 富由起 Fuyuki Saito 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
pp.65-72, 2007

「パーソナリティ障害ほどの重篤さはないが、BPDと類似した認知・行動パターン」は、境界性パーソナリティ特性(Borderline Personality Trait)と呼ぶことが出来る。BPT研究では信頼性と妥当性を備えた質問紙が作成されていないため、量的研究が遅れていた(加来・斎藤・守谷・末武、2005)。そこで本研究では、境界性パーソナリティ特性尺度の標準化を試みた結果、信頼性と基準関連妥当性の高い5因子38項目の尺度が作成された(α=90)。本尺度の因子は弁証法的行動療法における主要4スキルとの適合性が高いため、効果的な介入法と予防法の観点から、主要4スキルを尺度化し両要因の関連性を検討すること、また見捨てられ不安尺度や二分法的思考尺度との関連を求め、本尺度と境界性パーソナリティ障害との関連を検討することが今後の課題として指摘された。
著者
原 雅子 Masako Hara 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-9,

古典文学は新たな文学の典拠として援用され、時に飛躍転換し姿を変え文学として人を魅了する。古典は連続しつつ不連続に様々なジャンルの文学の中に糸を紡いできているといえる。古典文学と古典語を生かした現代絵画、現代の歌を掲げ底流に在る古典との意味を追求するものである。
著者
原 雅子 Masako Hara 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-9,

古典文学は新たな文学の典拠として援用され、時に飛躍転換し姿を変え文学として人を魅了する。古典は連続しつつ不連続に様々なジャンルの文学の中に糸を紡いできているといえる。古典文学と古典語を生かした現代絵画、現代の歌を掲げ底流に在る古典との意味を追求するものである。
著者
斎藤 富由起 小野 淳 社浦 竜太 守谷 賢ニ Fuyuki Saito Ono Atushi Syaura Ryuta Moriya Kenji 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科 ものつくり大学 学生相談室 文教大学大学院 人間科学研究科
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.69-81,

子どもの権利研究において居場所感と自己肯定感の関連性が指摘されているが、これらを実証的に検討した研究は非常に乏しい。本研究では、子どもの権利における心理学的実証研究の一環として、全日制普通科高校生版居場所尺度の作成を試み、自己肯定感との関連性を検証した。その結果、信頼性と妥当性のある居場所尺度が作成された。研究2では、居場所感と無効化環境体験(Invalidating Environment)の関連性を検討した結果、両要因に負の相関関係が確認された。