著者
瀬崎 颯斗 渡邊 智也 小野塚 若菜
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.3, pp.152-159, 2023-10-16 (Released:2023-10-16)

近年,海外の高等教育分野を中心に,学習者中心の考えに基づくフィードバック研究が進んでおり,フィードバック・リテラシーの概念が注目されている.本稿では,本概念の研究動向に関するレビューを通じて,学習者のフィードバック・リテラシーの定義と構成概念,それを高める介入方法としての学習活動に関する検討を行った.これまでの動向としては,理論研究による概念枠組み提案,学生調査によるカテゴリー生成,尺度開発研究への発展,という流れで研究が進展しており,介入方法としては学習者による評価活動やフィードバックに関するワークショップ等が存在することが示された.
著者
葦原 恭子 小野塚 若菜
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.157, pp.1-16, 2014 (Released:2017-03-21)
参考文献数
17

経済のグローバル化を背景に,日本企業に就職を希望する高度外国人材に対する就職支援事業が実施されている。一方で,企業における高度外国人材の活用があまり進んでいない要因として,採用時の能力判定が難しいことが挙げられている。また,高度外国人材のビジネスコミュニケーション能力を伸ばす教育の必要性が指摘されている。そこで,本研究では,ビジネス日本語能力を評価するシステムとして,また,ビジネス日本語教育の現場における到達目標レベルの設定に活用することを目的としてビジネス日本語Can-do statementsを開発した。開発にあたっては,BJTビジネス日本語能力テストの測定対象能力を参考に項目を構築した。そして,予備調査に基づいて再検証を行った結果,ビジネス日本語Can-do statementsの妥当性が高まった。しかし,一部の項目には問題点が残っていることから,今後の更なる検証の必要性を指摘した。
著者
渡邊 智也 小野塚 若菜 野澤 雄樹 泰山 裕
出版者
日本テスト学会
雑誌
日本テスト学会誌 (ISSN:18809618)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.155-176, 2023 (Released:2023-06-30)
参考文献数
29

平成29年告示の中学校学習指導要領の要諦のひとつである「思考力・判断力・表現力等」(以下,思考力とする)の育成は,各教科等のみならず,教科等横断的に身につけていく力とを相互に関連付けながら行う必要があるとされている。本研究は,教科横断的に育成される思考力の学習達成を測定する総括的アセスメント開発に向けた環境整備を目的とし,第一に教科共通の「思考スキル」という理論的枠組みを用いて具体化した,思考力の学習到達の目標である思考力Can-do Statementsに基づき,アセスメントの測定対象領域を整理した。第二に,問題項目の試作版を開発した。第三に,そのアセスメントの受検対象者となる中学生の解答時の発話プロトコルデータによる項目分析,および量的な解答データによる項目分析の結果に基づき,項目の妥当性の証拠および項目を改善するための手がかりの収集を試みた。
著者
小野塚 若菜 泰山 裕
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
2021

<p>平成29年告示の中学校学習指導要領では,新しい時代に求められる資質・能力のひとつとして「思考力・判断力・表現力等」の育成が重視されており,教科横断的に取り組むことを求めている.そこで,中学校段階で各教科および教科共通で重点的に育成しようとする思考力の特徴を明らかにするため,新学習指導要領から思考スキルを抽出し,抽出数に基づく分析を行った.その結果,数多く抽出された思考スキルには教科に特徴的な傾向が見られた.また,教科共通で頻出する思考スキルも明確になった.本研究の結果は思考スキルでつながるカリキュラム・マネジメントの指針づくりに資することが期待できる.</p>