著者
稲木 健太郎 泰山 裕 大久保 紀一朗 三井 一希 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47055, (Released:2023-09-04)
参考文献数
8

本研究は,思考ツールの選択に関するメタ認知にクラウドで共有した他者の振り返りの参照が与える影響を検討することを目的とした.小学校第4学年児童を対象に,思考ツールの選択に関する振り返りをクラウドで学級内へ共有し,参照させ,改めて自覚したことがある場合は振り返りを追記させた.参照前の振り返りにおいてメタ認知に該当する記述数の多かった群を高群,少なかった群を低群とし,記述の分析とインタビューにより参照の影響を検討した.結果,参照が高群と低群のメタ認知を促すこと,参照により,低群では特に自覚が困難だった経験が,高群では特に無自覚になっていた経験が想起され,メタ認知につながったことが示唆された.
著者
稲木 健太郎 泰山 裕 三井 一希 大久保 紀一朗 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46058, (Released:2022-07-26)
参考文献数
7

本研究は,児童が学習方法を自己選択する授業の経験と学習方法のメタ認知の関係を調査し,学力の高低ごとに検討することを目的とした.調査対象の授業を週15コマ程行った学級を高頻度群,週3コマ程行った学級を低頻度群とし,学習方法のメタ認知に関する振り返りの記述数と学力との関係を分析した.結果,経験頻度と学力の二要因が,学習方法のメタ認知的活動に関係する可能性が示唆された.一方,学習方法のメタ認知的活動を適切に行うには,学習方法を自己選択する経験だけでなく,学習方法に合わせたメタ認知的活動を適切に行うための支援や,学力下位群への支援が必要となる可能性が示唆された.
著者
恩田 真衣 大久保 紀一朗 板垣 翔大 泰山 裕 三井 一希 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46026, (Released:2022-10-13)
参考文献数
9

本研究では,小学校第4学年理科「物のあたたまり方」の単元で日常生活や社会との関連を図るアニメーション教材を開発し,その効果を検証した.その結果,開発したアニメーション教材を使用すると,学習内容と日常生活や社会との関連に気づき,理科学習に対しての興味が高まること,アニメーション教材に,児童が選択したり,繰り返し試行したりできるような機能をつけることで,思考を深めようとする理科学習に対しての興味が高まること,正しい概念形成が促されることが示唆された.
著者
板垣 翔大 浅水 智也 佐藤 和紀 中川 哲 三井 一希 泰山 裕 安藤 明伸 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.58-63, 2021-12-01 (Released:2022-06-02)

本研究では,中学校技術・家庭科技術分野におけるAIを活用したプログラミングを取り入れた授業を実施し,生徒のAIに対する意識の変容から授業を評価した。授業は3単位時間で行い,ビジュアル言語に,AIによる画像認識を組み合わせることができるツールを用いて,身近な問題解決の活動に取り組ませた。授業前後のAIに対する意識を比較したところ,AIの進歩に対する不安の軽減やAIを活用して身近な問題を解決できる自信の高まりなどが確認された。
著者
泰山 裕 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.44070, (Released:2020-12-21)
参考文献数
22

平成29・30年改訂学習指導要領において,情報活用能力は学習の基盤となる資質・能力と位置付けられ,教科等横断的な育成が求められている.しかし,各教科等の学習活動を通して指導可能な情報活用能力やその各教科等相互の関連は十分に整理されていない.本研究では,文部科学省による情報活用能力のIE-School体系表をもとに小学校,中学校,高等学校の各教科等の学習指導要領本文を分析した.分析の結果,各教科等にはIE-School体系表で整理された情報活用能力の項目のうち「問題解決・探究における情報活用の方法の理解」が多く求められているのに対して,操作技能や情報メディアの特徴,情報モラル等の知識及び技能,態度などは,各教科等の学習と対応づく数が少ないことが明らかになった.また,各教科等の学習活動を通して指導可能な情報活用能力とそれらの各教科等相互の関連が明らかになった.
著者
泰山 裕 小島 亜華里 黒上 晴夫
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.375-386, 2014

近年,小学校の教育課程において,体系的な情報教育が求められている.しかし,小学校の教育課程には情報教育を扱う専門教科は設定されておらず,情報教育に関わる目標は各教科の中に分散されており、明確に記述されていない.本研究では,体系的な情報教育のために教科横断的な思考スキルの指導が重要であると考える.先行研究において教科別に抽出された思考スキルを,個別に検討することで教科共通の19種類の思考スキルを得た.また,思考スキル同士の関係について,質的解釈と量的検討の2つの視点から分析を行うことで整理し,思考スキルの関係図としてまとめた.
著者
渡邊 智也 小野塚 若菜 野澤 雄樹 泰山 裕
出版者
日本テスト学会
雑誌
日本テスト学会誌 (ISSN:18809618)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.155-176, 2023 (Released:2023-06-30)
参考文献数
29

平成29年告示の中学校学習指導要領の要諦のひとつである「思考力・判断力・表現力等」(以下,思考力とする)の育成は,各教科等のみならず,教科等横断的に身につけていく力とを相互に関連付けながら行う必要があるとされている。本研究は,教科横断的に育成される思考力の学習達成を測定する総括的アセスメント開発に向けた環境整備を目的とし,第一に教科共通の「思考スキル」という理論的枠組みを用いて具体化した,思考力の学習到達の目標である思考力Can-do Statementsに基づき,アセスメントの測定対象領域を整理した。第二に,問題項目の試作版を開発した。第三に,そのアセスメントの受検対象者となる中学生の解答時の発話プロトコルデータによる項目分析,および量的な解答データによる項目分析の結果に基づき,項目の妥当性の証拠および項目を改善するための手がかりの収集を試みた。
著者
手塚 和佳奈 佐藤 和紀 三井 一希 板垣 翔大 泰山 裕 堀田 龍也
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.101-119, 2021 (Released:2021-05-08)
参考文献数
50
被引用文献数
1

本研究は,日本教育メディア学会における学校教育を対象としたメディア・リテラシー教育の実践研究を,「実践研究が対象としてきたカテゴリ(佐藤ほか 2020)」および「ソーシャルメディア時代のメディア・リテラシーの構成要素(中橋 2014)」に整理し,傾向を分析することにより,これまでの成果を把握し,今後の実践課題を考察することを目的とした。122件の実践研究を整理した結果,「教材開発」「評価・目標達成」をテーマにした実践研究および「メディアのあり方を提案する能力」の育成をねらいとした実践研究の割合が低く,今後の実践課題であることが示唆された。また,1つの実践においてともに育成することが有効である構成要素についての示唆が得られた。
著者
井澤 美砂 手塚 和佳奈 泰山 裕 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.4, pp.142-147, 2022-11-28 (Released:2022-11-28)

本研究では,算数科教科書における思考スキルを抽出し,その特徴について考察することを目的に,小学校第6学年の算数科教科書における「変化と関係」領域の一単元について,19種類の思考スキル(泰山ほか 2014)を基に分析を行った.結果,基本的な知識や既習事項を活用しながら発展的な課題に取り組むための「応用する」が全体の30.5%を占めた.また,本単元では,泰山ほか(2012)における「大きさなどを単位のいくつ分に変える」思考活動が多く見られ,「変換する」が全体の14.7%を占めた.
著者
板垣 翔大 岡本 恭介 佐藤 和紀 三井 一希 泰山 裕 安藤 明伸 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46030, (Released:2022-07-11)
参考文献数
8

本研究では,授業中の教育実習生に参観者が助言や励ましを送信可能なシステムを開発し,教育実習生の授業で実践利用した.授業者と指導教員へのインタビュー調査からシステムを評価した結果,授業中の助言により,その場で授業を改善するきっかけを与えられることや,送られる励ましによって安心感や心強さが生じること,また,授業中に助言等を受け取るツールとしてスマートグラスが妥当であることなどが示唆された.
著者
泰山 裕 三宅 貴久子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Suppl., pp.17-20, 2013-12-20 (Released:2016-08-10)

本研究は,習得した思考スキルが課題解決過程に与える効果を明らかにするものである.関西大学初等部で取り組まれている思考スキルの習得,活用を目指した実践を対象に,課題解決を行う際に習得した思考スキルをどのように用いているのかについて児童へのインタビューから明らかにした.結果,習得した思考スキルの効果として「課題分析,計画」「課題に合わせた思考のコントロール」「思考過程のメタ認知」「自分の思考の特徴把握」の4つが確認され,習得した思考スキルが課題解決過程におけるメタ認知を補助していることが示唆された.
著者
小野塚 若菜 泰山 裕
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
2021

<p>平成29年告示の中学校学習指導要領では,新しい時代に求められる資質・能力のひとつとして「思考力・判断力・表現力等」の育成が重視されており,教科横断的に取り組むことを求めている.そこで,中学校段階で各教科および教科共通で重点的に育成しようとする思考力の特徴を明らかにするため,新学習指導要領から思考スキルを抽出し,抽出数に基づく分析を行った.その結果,数多く抽出された思考スキルには教科に特徴的な傾向が見られた.また,教科共通で頻出する思考スキルも明確になった.本研究の結果は思考スキルでつながるカリキュラム・マネジメントの指針づくりに資することが期待できる.</p>
著者
石原 浩一 泰山 裕
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.105-113, 2020-07-10 (Released:2020-07-10)
参考文献数
19

本研究では,フィードバックと振り返りが学習者の認知欲求に及ぼす影響を明らかにするため に,中学生を実験群と統制群に分け,2群比較を通してその効果を検討した.社会科歴史的分野 の授業を2単元行い,その前後における認知欲求尺度の回答を分析した結果,毎単元末にレポー ト課題に対する評価結果のフィードバックと振り返りを行った群の方が認知欲求が高まる傾向 が確認された.また,実験群の振り返りを分析した結果,振り返りを具体的に記述できていた群 は認知欲求が有意に高まり,抽象的な記述にとどまっていた群は有意な高まりが認められなかっ た.研究を通して,認知活動の評価結果を学習者に返却し,振り返りを具体的に書かせることで 認知欲求が高まる可能性が示唆された.