著者
小鷹 研理
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

筆者の研究室は、ここ数年、一般的なHMD環境を使って、体験者の身体の外観に対応する「アバター」と「視点」を擬似的に分離する、種々のインタラクションを構成してきた。こうした「三人称的自己」は、夢や幽体離脱において立ち現れる特異的な自己のあり方と深く関係する点が重要である。本講演は、研究室の近年の試みを紹介するとともに、HMDによる構成的空間を通して「三人称的自己」を解明することの意義を議論する。
著者
小鷹 研理
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.407-409, 2019-12-01 (Released:2020-03-01)
著者
佐藤 優太郎 齋藤 五大 小鷹 研理
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回全国大会(2021)
巻号頁・発行日
pp.1E2OS201, 2021 (Released:2021-06-14)

自他の指の腹同士が隣接する状態で, 両者の指の背面を自ら同時にストロークすると麻痺感覚(numbness)が生じることが知られている. また, 本研究室は昨年, 自分の指の延長線上に他人の指を配置し, 自他の指の近傍二点を同期的にタップすることで, 他人の指への接触をもセルフタッチに感じられる自己誘導型の錯覚を考案し, その一般性を確認している. 以上の二つの錯覚を統一的な視点で捉えるとき, ダブルタッチの状況で, 自他の指を張り合わせている状態から180度開くことで, numbnessからセルフタッチ錯覚に転じている. すなわち, numbnessとセルフタッチ錯覚の間にトレードオフ性が存在すると推察される. 本研究は, 上記の仮説を検証するべく, 自他の指のなす角度を要因として, numbnessとセルフタッチ錯覚への影響を調べる被験者実験を実施した. 結果は予想に反し, トレードオフ性は確認されなかった. 一方で, 双方の感覚は, 自他の指の角度が90度の際に極小化し, 0度および180度のときに極大化するU字型の特性を持つこと, さらに相互に強力な正の相関がみられることがわかった.
著者
小鷹 研理
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

筆者の研究室は, 2016年以降, HMDを使って腕または脚が伸縮する感覚を誘発する研究(Elastic Limb(s) Illusion)を継続的にすすめている. このプロジェクトの中で. これまでに4つの異なるシステムを考案してきたが, いずれについても, 運動学的な力学作用(引っ張る/引っ張られる, 押し込む/押し込まれる)と, 見かけ上の四肢の長さの伸張との動的な関連付けをベースとし, それらの作用量を体重計の値を通して見積もる点で共通している. これらの4つのシステムは, 過去に様々な展示会で出展され, 錯覚の誘発に関して極めて個人差の少ない手法であることを示してきたが, 個々のシステムについて得られている効果の認知的根拠および, 各システム相互の関連について, これまでに俯瞰的に論じる機会がなかった. 本稿では, 4つのシステムをあらためて概観し, 他の研究者によって報告されている関連研究と比較しながら, Elastic Limb(s) Illusion研究の学術的な展望を議論する。
著者
石原 由貴 森 光洋 室田 ゆう 小鷹 研理
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.380-382, 2017-09-09

Newportらは、現実の指が引っ張られるのと同時に、指が伸びる映像を見せることによって、指が伸縮する感覚が得られることを報告している。本研究では、この方法論を腕の伸縮感覚誘発に適用した新たなインタラクション「Stretcharm」を提案する。具体的には、二人の人間が一本のポールを引っ張り合うことに伴う自重変化を、一人称視点において呈示されるCGの腕の長さと関連づけることにより、これを実現する。