著者
尾崎 康子 杉本 宜子
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.37-45, 2007-11

乳幼児期に,養育者と子どもとの間の相互交渉を通して愛着が形成されるが,その後,愛着は内在化され,表象レベルの内的作業モデルとして機能するようになる。Bowlbyの愛着理論では,内的作業モデルは,成長の過程でその人の対人関係,情動,行動など広範囲に影響を及ぼし,また一度内在化された内的作業モデルは生涯にわたり変わることがないと言われている。従って,愛着は,乳幼児期のみならず青年期においても連続して機能する重要な課題と言えよう。本研究では,青年期の愛着を質問紙法によって調べるとともに,攻撃性を多次元尺度と表出抑制の表現形式の観点から計測し,青年期の攻撃性のどのような特性が愛着と関連しているのかを検討することを目的とする。
著者
尾崎 康子 小林 真 水内 豊和 阿部 美穂子
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.335-345, 2013 (Released:2015-03-19)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

保育者が発達障害児や発達が気になる子どもを評価するスクリーニング尺度として、幼児用発達障害チェックリスト(CHEDY)を作成した。CHEDYは、広汎性発達障害(PDD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、知的障害を測定する3尺度で構成されている。PDDはADHDや知的障害との合併が認められることがあるが、CHEDYはこれら3つの障害を一度に調べることにより、子どもの様子を的確に把握し、保育指導に生かすために開発された。PDD群(682名)、ADHD群(48名)、知的障害群(267名)、定型発達群(897名)について調べたところ、これら3尺度には十分な内部一貫性が示され、また群間の有意な区別がなされたことから、信頼性と妥当性をもったスクリーニング尺度であることが示された。さらに、定型発達群との識別性を調べたところ、各障害の識別に有用であることが示された。
著者
尾崎 康子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.96-104, 2003-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
32

週1回開催される親子教室に参加している101名の2, 3歳児が母親から離れて仲間集団に参加する経過を1年間観察し, 母子分離の状況を過分離型, 徐々分離型, 一定分離型, 不分離型の4つのパターンに分類した。これらの各母子分離型における子どもの愛着安定性と気質の特徴を調べ, この時期の母子分離に関わる要因を検討した。母子分離の様相が相反する過分離型と不分離型に分類された子どもは, 共に愛着安定性は低かったが, 過分離型の子どもは新奇場面にしり込みしないのに対して, 不分離型の子どもは新奇場面にしり込みし, 順応性も低かった。このように, 愛着の安定性が低い子どもでも, 子どもの気質により母子分離の状況が異なることが示された。一方, 新奇場面にしり込みをしても, 愛着が安定していた徐々分離型の子どもは, 次第に母子分離しており, 2, 3歳児が仲間集団に参加する際の母子分離は, 愛着安定性と気質が相互に関係して特徴づけられることが示唆された。