著者
比嘉 詠美 桃原 由二 池宮城 梢 吉田 朝秀 屋良 朝雄
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.305-308, 2020

<p> 母児間輸血症候群(FMT)は母体血液循環に胎児の血液が流入する現象である.症例は29週1日にFMTによると思われる胎児機能不全のため緊急帝王切開で出生した児である.出生時Hb 2.0g/dLと重度の貧血を認めたが,部分交換輸血により全身状態は安定した.その後動脈管開存症の治療や経腸栄養の開始などを経て,日齢6に胃破裂を発症した.新生児胃破裂のリスクとして重度の貧血が挙げられた報告はこれまでになく,FMTによる重度の貧血が他の因子とともに複合的に胃破裂発症に関与した可能性があり,考察とともに報告する.</p>
著者
阿部 仁美 百名 伸之 中西 浩一 浜田 聡 屋冝 孟 屋良 朝太郎 上原 朋子 屋良 朝雄 玉城 昭彦 佐辺 直也 新垣 京子
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.168-172, 2020

<p>症例は生来健康な1歳男児.主訴は咳嗽,発熱,多呼吸.レントゲン所見から横隔膜ヘルニアが疑われ紹介となり,血液検査および画像検査にて感染を合併したCPAMと診断された.抗菌薬投与により症状は改善したが,その後症状が再燃したため肺部分切除術を施行した.病理検査で胸膜肺芽腫の診断に至り,切除断端は陰性であった.腫瘍細胞の遺伝子解析でDICER1遺伝子にホモ変異が検出されたが,生殖細胞変異は認めなかった.術後化学療法(IVADo療法)を施行し,終了後9か月時点で寛解生存中である.胸膜肺芽腫は稀な予後不良の悪性腫瘍であり,一部では様々な悪性疾患に関連するDICER1遺伝子変異を有する.本症例より嚢胞性肺病変の鑑別診断として,胸膜肺芽腫を念頭に置くべきである.また今後再発や遠隔転移の可能性も含め,長期的なフォローを要する.</p>