著者
倉元 綾子 正保 正惠 山下 いづみ
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

【目的】 2011年の東日本大震災と福島原発事故を契機に,日本社会においては家族やコミュニティに対する関心が高まっている。一方,女性に対する暴力,子ども虐待,無縁死など,多様で複雑な個人・家族・コミュニティをめぐる問題が山積している。本報告では,日本における家政学を基礎とする家族生活支援の仕組みづくりへの示唆を得るために,台湾・新北市の家庭教育センターにおける家族生活教育教材『幸福家庭』を分析する。<br>【方法】 2009年9月,台湾・新北市家庭教育センター等を訪問し,実地調査を行い,関連する資料などを収集,分析をおこなった。<br>【結果】 (1)台湾においては,家族生活教育の「幸福家庭123」のもとに,「1.親が毎日,2.20分間,3.子どもと一緒に3つの活動 ①読書,②共同活動,③スポーツ・遊び」の活動をすることが提唱されている。(2)『幸福家庭123 親子ハンドブック』は趣旨,意義,子どもの学習の特徴,幼稚園段階における方法,小学校低学年における方法,小学校中学年における方法,小学校高学年における方法,留意点から成っている。(3)『幸福家庭Easy Go』は,結婚前教育編,結婚生活経営編,親としての教育編,医療保健編,家庭資源編,家庭法律編から成っている。(4)「幸福家庭123」を通じて,親密な家族関係・親子関係を育成することが重視されている。また,読書活動は,学習型家庭を建設する基礎と考えられている。
著者
木村 範子 竹田 美知 正保 正惠 倉元 綾子 細江 容子 鈴木 真由子 永田 晴子 中間 美砂子 内藤 道子 山下 いづみ
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

今日の日本社会では、家族をめぐる問題は、虐待や暴力など複雑で多様となってきている。その打開のためには、人や物にかかわる「家族生活」のトータルな支援・教育と、地域のネットワークづくりが必要である。そのことは、日本のみならず、グローバル・ウェルビーイングの観点から,世界共通の家族問題の打開のために必要な視点である。本研究は、日本で生涯学習として「家族生活教育」を行うために「家族生活アドバイザー」の資格化を視野に、その養成のための研修講座のカリキュラム開発を行うことを目指して行われた基礎的研究である。
著者
山下 いづみ 倉元 綾子 黒川 衣代 正保 正惠
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.275, 2017 (Released:2017-07-08)

目的 今日,日本の個人・家族・コミュニティにおいては,晩婚化・未婚化,DV等に対する取組が求められている。米国等では,家政学・家族研究を基礎とした生活課題の予防・支援が行われてきている。ここでは,米国の家族生活教育の主要文献である Family Life Education: Working with Family across the Life Span,Chapter10: Education for Relationships and Marriage を分析し,結婚前教育と結婚教育について明らかにする。  方法 Family Life Education: Working with Family across the Life Span (2nd Ed.), Lane H. Powell & Dawn Cassidy, 2007, Waveland Press, USA(邦訳『家族生活教育:人の一生と家族』倉元綾子・黒川衣代監訳,2013,南方新社)等の文献を研究した。結果 (1)第10章「結婚前教育と結婚教育」は,結婚教育の必要性,結婚教育の歴史,予防的方法対治療的方法,哲学・理論およびプロセス,結婚教育へのアプローチ,プログラム評価,要約の各節と,討論問題・復習問題から成る。 (2)結婚教育は,長く続く幸せな結婚を支える順調な人間関係を築くために準備する方法を見つけることである。 (3)結婚エンリッチメント・プログラムにおける必要最小限のスキルは,個人・関係・パートナーの成長への関与,理解につながるコミュニケーション方法,創造的変化を刺激するために葛藤を用いる能力,親密性を作り維持する能力である。 (4)結婚教育は,認識行動学,学習理論,宗教的指導,ロジャーズ学派,人間性心理学,システム理論,コミュニケーション・システム理論,社会的学習理路,認知行動理論などを理論的基礎としている。