著者
倉元 綾子
出版者
鹿児島県立短期大学
雑誌
研究年報 (ISSN:02885883)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.63-90, 2005-03-31

以上の結果を要約すると次のようになる。(1) 2004年3月, 鹿児島県奄美大島龍郷町において小中学生205名を対象に食生活と日常生活に関するアンケート調査をおこなった。(2) 子どもたちの94.1%がきょうだいをもち, 家族の人数は平均5.2人であった。(3) 平均すると, 平日の就寝時刻は22時3分, 起床時刻は6時45分, 睡眠時間は8時間49分であった。休日の就寝時刻は22時19分, 起床時刻7時30分, 睡眠時間は9時間11分であった。(4) 学校以外の活動では, 「外で遊ぶ」54.1%, 「スポーツをする」54.0%, 「TVおよびTVゲーム」30.7%が多かった。スポーツ活動の頻度は「毎日」28.8%, 「週3-5日」33.7%, 「週1-2日」24.4%で, 「しない」は10.7%であった。(5) 食事のあいさつを「いつもしている」は45.9%で, 「たまに」32.7%, 「めったにしない」8.8%, 「まったくしない」9.8%であった。(6) 朝食は97.1%が摂取し, 平均時刻は7時9分, 「家族みんな」と食べる割合は24.9%, 子どもだけで食べる割合は31.7%, 食事前に空腹だと感じていたのは67.3%, 主食は「ごはん」46.3%, 「パン」36.1%, 品数は平均3.03品, 主食・主菜・副菜の全てがそろっていたのは27.3%, 食事が「楽しかった」50.7%, 「楽しくなかった」45.9%で, 約2/5の子どもが食事のときに「料理をはこぶ」18.0%, 「飲みものを用意する」16.1%, 「あとかたづけ」15.6%, 「食器や箸を用意する」146%, 「テーブルをふく, かたづける」12.2%などのお手伝いをしていた。 (7) 夕食は96.6%が摂取し, 平均時刻は19時49分, 「家族みんな」と食べる割合は56.1%, 子どもだけで食べる割合は20.5%, 食事前に空腹だと感じていたのは83.9%, 主食は「ごはん」66.8%, 「パン」24%, 品数は平均3.50品, 主食・主菜・副菜の全てがそろっていたのは49.3%, 食事が「楽しかった」71.2%, 「楽しくなかった」24.4%で, 約2/3の子どもが食事のときに「料理をはこぶ」36.1%, 「食器や箸を用意する」34.6%, 「飲みものを用意する」28.3%, 「あとかたづけ」24.9%, 「テーブルをふく, かたづける」20.0%などのお手伝いをしていた。(8) 食事が楽しいと回答した子どもは, 食事前に空腹であると感じ, 大人と食事をし, 早寝早起きで睡眠時間が長く, 活発にスポーツをしており, 食事のあいさつができ, お手伝いを多くする傾向があった。(9)「郷土料理」については平均3.11品を知っており, 「鶏飯」86.8%, 「やぎ汁」41.1%などがあげられた。
著者
倉元 綾子
出版者
一般社団法人 日本家政学会家政学原論部会
雑誌
家政学原論研究 (ISSN:24335312)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.2-13, 2010-08-20 (Released:2017-04-07)
参考文献数
11

The Family Life Education Programs in Taiwan require a minimum of 10 subjects and 20 credits for successful completion, and gender education is a compulsory component of the curriculums. The Gender Equality Education Act 2004, which aims to promote gender education, and the contents of gender education were investigated. The major findings are as follows: 1) "Gender education" in the Family Life Education Programs in Taiwan corresponds to "human sexuality" in the Family Life Education Programs of the National Council on Family Relations (NCFR)of the U.S. 2) Based on the Gender Equality Education Act, gender equality education is provided in Taiwanese schools and is integrated with all areas of learning. It is comprehensive and reformative, and its contents include "development of body and spirit," "self-confidence," "human relations," and "social and cultural contexts." 3) The contents of gender equality education in Taiwan are similar to those stated in the Guidelines for Comprehensive Sexuality Education-Kindergarten through 12th Grade (3^<rd> edition) by the Sexuality Information and Education Council of the United States. In both the above guidelines, the social and cultural contexts are reinforced.
著者
倉元 綾子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, 2015

【目的】子どもの貧困,虐待,殺人など,個人・家族・社会において生活をめぐる多様な問題・課題が発生している。このような状況において,個人・家族の生活に関する教育の必要性が認識され,米国,韓国,台湾,シンガポールをはじめ,諸外国では家族生活教育が様々な形態で提供されるようになっている。日本においても家庭科・家政学を基礎にした家族生活教育を展開しようとしてきている。その方法論については従来の講義を中心とした授業の形態を発展させ,ワークショップなど理論と実際の生活を結びつける実践的な教育方法が求められている。ここでは家族生活教育をいち早く確立し発展させてきた米国の家族生活教育における方法論に関する言説を検討する。<br>【方法】『家族生活教育 人の一生と家族 第2版』(パウエル,キャシディ著,倉元,黒川監訳,南方新社,2013),Family Life Education Working with Families across the Lifespan 3rd ed. (Darling & Cassidy with Powell, Waveland Press, 2014),米国家族関係学会(NCFR)などの文献を用いた。<br>【結果】米国における家族生活教育方法論に関して検討した結果,以下のようなことが明らかになった。<br>(1)米国家族関係学会では,2011年に「生涯にわたる家族生活教育のための枠組み」(The Family Life Education Framework)を改訂し,家族生活教育方法論を新たに加えている。 <br>(2)同枠組みのまえがきは,「幅広い,生涯にわたる家族生活教育プログラムのための主要な内容を特定することによって、家族生活教育の定義について詳述する。 これは、それぞれの内容領域における最近の概念の発達や経験的知識を反映しており、関連知識、態度、スキルに注意を払っている。枠組みは,カリキュラムではなく、プログラム開発、普及、調査のためのガイドを目的としている。実践者は特定の対象者のニーズを満たすために,最も適切な概念組織と最も適切な種類の方法論を選択することが望ましい。コミュニケーション、意思決定、問題解決は、個別の概念としては取り扱っていない。しかし,それぞれの内容領域に組み入れなければならない。」と記されている。<br>(3)提示された枠組みのなかの,家族生活教育方法論のうち,「FLEプログラムを計画し実行しなさい。」では「プログラムを設計して、対象者のニーズを満たしなさい。/FLEの材料、関与している進歩、およびプログラムの有効性を評価しなさい。/さまざまな教育技術を使用しなさい。/教育学と成人教育学の原則を適用しなさい。/関係者と利害関係者を関係させ、教育的有効性を高めなさい。/すべてのフォームの多様性を尊重して、敏感にコミュニティ関心と価値に応じなさい。/奉仕活動と広報戦略を実行しなさい。/個人的な値/信念とFLE領域との関係を理解しなさい。」としている。また,「ベスト・プラクティスを利用しなさい。」では,「さまざまな習慣と戦略を使いなさい。/基本規則を使用するか、または集団規範を特定しなさい。/教育の年齢に適した原則を適用しなさい。/(あなたの対象者にとって適切)で段階ごとの認識的な内容を構造化しなさい。/学習スタイルの好みを尊重しなさい。/特定のグループの過程を支持して、管理できるグループサイズを使用しなさい。」<br>(4)さらに,家族生活教育方法論では,プログラム計画の循環的ステップが示されている。<br>(5)Family Life Education&nbsp; 3rd ed.&nbsp;では,新たにワークショップに関する記述が追加され,家族生活教育におけるワークショップの定義が提案されている。<i></i><br>&nbsp; 以上のことから,米国では家族生活教育方法論に関する認識の高まりが見られ,優れたプログラムの実践に高い関心がはらわれていることが分かる。家族生活教育の実際を分析検討が今後の課題である。
著者
倉元 綾子
出版者
一般社団法人 日本家政学会家政学原論部会
雑誌
原論研究 (ISSN:24335312)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.22-29, 2016

The issues over the Healthy Family Act as a new family life support system in South Korea were examined by using Introduction to Healthy Family (the second edition, 2010). As a result, the following points were clarified.(1)The concerns for healthy family have risen by the importance of the family, concerns for the quality of life, a paradigm conversion to the respect for life and dignity, revalues of caring, the appearance of various families, etc.(2)The researches on "Healthy family" have been done aggressively in South Korea since the beginning of the 1990's. The themes were as follows; the concept and characteristic of healthy family, programs, the Healthy Family Support Centers, the Healthy Family Professionals, etc.(3)The effects of the Act are as follows; specification of family policy, installation of special department for families, expansion of range related to the family policy, accomplishment of prior and preventive business, reduction of societal cost, etc.(4)Social contribution of the Act are the improvement of policy efficiency, long-term effect on the family issues, achievement of social integration, comprehensive and long-term policies, the creation of employment, etc.
著者
倉元 綾子 正保 正惠 山下 いづみ
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

【目的】 2011年の東日本大震災と福島原発事故を契機に,日本社会においては家族やコミュニティに対する関心が高まっている。一方,女性に対する暴力,子ども虐待,無縁死など,多様で複雑な個人・家族・コミュニティをめぐる問題が山積している。本報告では,日本における家政学を基礎とする家族生活支援の仕組みづくりへの示唆を得るために,台湾・新北市の家庭教育センターにおける家族生活教育教材『幸福家庭』を分析する。<br>【方法】 2009年9月,台湾・新北市家庭教育センター等を訪問し,実地調査を行い,関連する資料などを収集,分析をおこなった。<br>【結果】 (1)台湾においては,家族生活教育の「幸福家庭123」のもとに,「1.親が毎日,2.20分間,3.子どもと一緒に3つの活動 ①読書,②共同活動,③スポーツ・遊び」の活動をすることが提唱されている。(2)『幸福家庭123 親子ハンドブック』は趣旨,意義,子どもの学習の特徴,幼稚園段階における方法,小学校低学年における方法,小学校中学年における方法,小学校高学年における方法,留意点から成っている。(3)『幸福家庭Easy Go』は,結婚前教育編,結婚生活経営編,親としての教育編,医療保健編,家庭資源編,家庭法律編から成っている。(4)「幸福家庭123」を通じて,親密な家族関係・親子関係を育成することが重視されている。また,読書活動は,学習型家庭を建設する基礎と考えられている。
著者
木村 範子 竹田 美知 正保 正惠 倉元 綾子 細江 容子 鈴木 真由子 永田 晴子 中間 美砂子 内藤 道子 山下 いづみ
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

今日の日本社会では、家族をめぐる問題は、虐待や暴力など複雑で多様となってきている。その打開のためには、人や物にかかわる「家族生活」のトータルな支援・教育と、地域のネットワークづくりが必要である。そのことは、日本のみならず、グローバル・ウェルビーイングの観点から,世界共通の家族問題の打開のために必要な視点である。本研究は、日本で生涯学習として「家族生活教育」を行うために「家族生活アドバイザー」の資格化を視野に、その養成のための研修講座のカリキュラム開発を行うことを目指して行われた基礎的研究である。
著者
山下 いづみ 倉元 綾子 黒川 衣代 正保 正惠
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.275, 2017 (Released:2017-07-08)

目的 今日,日本の個人・家族・コミュニティにおいては,晩婚化・未婚化,DV等に対する取組が求められている。米国等では,家政学・家族研究を基礎とした生活課題の予防・支援が行われてきている。ここでは,米国の家族生活教育の主要文献である Family Life Education: Working with Family across the Life Span,Chapter10: Education for Relationships and Marriage を分析し,結婚前教育と結婚教育について明らかにする。  方法 Family Life Education: Working with Family across the Life Span (2nd Ed.), Lane H. Powell & Dawn Cassidy, 2007, Waveland Press, USA(邦訳『家族生活教育:人の一生と家族』倉元綾子・黒川衣代監訳,2013,南方新社)等の文献を研究した。結果 (1)第10章「結婚前教育と結婚教育」は,結婚教育の必要性,結婚教育の歴史,予防的方法対治療的方法,哲学・理論およびプロセス,結婚教育へのアプローチ,プログラム評価,要約の各節と,討論問題・復習問題から成る。 (2)結婚教育は,長く続く幸せな結婚を支える順調な人間関係を築くために準備する方法を見つけることである。 (3)結婚エンリッチメント・プログラムにおける必要最小限のスキルは,個人・関係・パートナーの成長への関与,理解につながるコミュニケーション方法,創造的変化を刺激するために葛藤を用いる能力,親密性を作り維持する能力である。 (4)結婚教育は,認識行動学,学習理論,宗教的指導,ロジャーズ学派,人間性心理学,システム理論,コミュニケーション・システム理論,社会的学習理路,認知行動理論などを理論的基礎としている。
著者
倉元 綾子 高橋 桂子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 第56回大会・2013例会
巻号頁・発行日
pp.58, 2013 (Released:2014-01-25)

【目的】家庭科は生活課題を取り扱うことから,問題解決能力(現実の領域横断的な現状に直面した場合に,認知プロセスを用いて,問題に対処し,解決することができる能力。問題解決の道筋が瞬時には明白でなく,応用可能と思われるリテラシー領域あるいはカリキュラム領域が数学,科学,または読解のうちの単一の領域だけには存在していない。PISA)の育成に大きな役割を果たすことが従来から指摘されてきた。また,平成20年度学習指導要領改訂では家庭科に「生活の課題と実践」が加わったことから,問題解決型の授業がますます重要視されてきている。本報告では,韓国・家庭科における実践的推論プロセスにもとづく授業の導入について明らかにする。【方法】ユ・テミョン,イ・スヒ著『実践的問題を中心とする家庭科の授業-理論と実践』(2010年,ブックコリア)および韓国教育課程に関する文献資料などを分析した。【結果】(1)韓国の家庭科では,2007年の教育課程改正以後,問題解決型学習,プロジェクト学習,実習中心学習,特に実践的推論プロセスの本格的導入が進められている。(2)『実践的問題を中心とする家庭科の授業-理論と実践』は,新教育課程に向けて,プログラム開発・実行・評価など家庭科教員の教授能力を高めることを目的としている。(3)同書は,第1部 実践的問題を中心とする家庭科の授業の理解,第2部 実践的問題を中心とする家庭科の授業の設計,第3部 実践的問題を中心とする家庭科の授業の実際から構成されている。(4)第2部 実践的問題を中心とする家庭科の授業の設計は全5章から構成されている。授業の中心的観点の明確化,実践的問題の開発,シナリオ製作,授業における質問の開発,評価のための質問項目の開発などを具体的に扱っている。実際に授業を開発し実施するうえで訓練を必要とする部分についても多様な事例を用いて具体的に説明している。(5)第2部の各章(節)は以下のとおりである。第1章 授業の観点(教育プロセスを重視した授業設計,教師の授業観点,実践的問題を中心とする授業と能力形成を中心とする授業の事例),第2章 実践的問題開発(教育プロセスを基礎とする実践的問題の構成,子どもの個人・家族・家庭生活の実態を基礎とする実践的問題の構成,米国の実践的問題を中心とする教育プロセス),第3章 実践的問題のシナリオ製作(直接製作した実践的問題のシナリオ,新聞資料を活用した実践的問題のシナリオ,写真資料を活用した実践的問題のシナリオ,映像資料を活用した実践的問題のシナリオ),第4章 質問の開発(三つの行動体系と関連した質問,推論段階にともなう質問例,実際の授業での質問の構成例),第5章 評価のための質問項目の開発(評価における二者択一的観点,二者択一的評価ツール)。(6)同書第3部 実践的問題中心家庭科授業の実際は2つの章から構成されている。第2部を基礎にして,実践的問題を中心とする授業の中心的要素が授業過程全体を通してどのような役割を果たしているのか,授業を作る過程を通じて実践的問題を中心とする授業を理解するようにしている。さらに,実際に授業を開発し実施する過程の理解を助けるために事例を通して具体的に説明している。(7)第3部の各章(節)は以下のとおりである。第1章 実践的問題を中心とする授業のプロセス(実践的問題を中心とする授業の準備,実践的問題を中心とする授業の流れ),第2章 実践的問題を中心とする授業の開発と実施(授業の観点,実践的問題の開発,実践的問題を中心とする授業の実施)。(8)『実践的問題を中心とする家庭科の授業-理論と実践』の実践編は豊富な事例と具体的な説明を用いて,実践的推論プロセスにもとづく授業に取り組むことができるようにしている。
著者
倉元 綾子
出版者
鹿児島県立短期大学
雑誌
鹿児島県立短期大学紀要. 自然科学篇 (ISSN:02861208)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.25-44, 1998-12-25

This is the first interview on the Tokyo Domestic Science Research Institute (1933-1935) and its education to its graduates. On June 2nd, 1997,Professor SUZUKI Toshiko and I have done the interview to the graduates from the Institute, which was coordinated by Dr. KOURA Tomi. KOURA Tomi was one of the most famous women in the movement for peace and women in Japan. Before World War II, she had dedicated herself to women's education through this institute and others. In this institute, she had tried to educate the young women with practices and experiences of their own. The Institute built in 1933,and it was closed in 1935. The number of graduates was approximately 20,and they are all over 70 years old now. But they have clear memories of their young school days in the institute, and their teachers. This is one of the most important record on home economics education and it gives important hints for home economics today. In part 1,I described the circumstances of the interview, the establishment of the Institute, the motive behind entering the Institute, its teachers and the education.