- 著者
-
山下 かなへ
- 出版者
- 公益社団法人 日本栄養・食糧学会
- 雑誌
- 日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.4, pp.155-163, 2009 (Released:2009-10-28)
- 参考文献数
- 29
- 被引用文献数
-
1
2
ゴマとビタミンEは, ともに老化抑制効果をもつ物質として古くから認識されてきた。ところが, ゴマに含まれるビタミンEの98%は, ビタミンE活性の低いγ-トコフェロール (γ-Toc) である。筆者らは, ゴマとしてγ-Tocを摂取するとγ-Toc単独摂取では認められない高い生体内γ-Toc濃度を観察した。そして, ゴマの特徴的成分であるゴマリグナンがビタミンEの主要代謝物であるカルボキシエチルヒドロキシクロマン (CEHC) への分解を阻害することを認めた。この作用はゴマリグナンに特異な作用で, 他のリグナン物質, たとえばflaxseedやエゾ松に含まれるリグナン物質では認められなかった。また, 筆者らは, トコトリエノールが血漿や肝臓に比べ, 皮膚や脂肪組織に特に多量に貯留することを認め, ゴマリグナンがこれら組織のトコトリエノール濃度を増加させることを見出した。そして, ヘアレスマウスに紫外線を照射した実験で, 皮膚に貯留したトコトリエノールが紫外線照射による皮膚障害を軽減させる可能性を認めた。