著者
市川 富夫 飯沢 裕美 津田 明子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.400-402, 1987-12-20

1)野菜を次亜鉛素酸ソーダで殺菌したとき生成するクロロホルムを除去する方法について検討した。処理野菜を十分に水洗するかまたは冷凍庫にて48時間保存することにより、生成したクロロホルムの大部分を除去することが出来た。2)次亜鉛素酸ソーダ処理した野菜のビタミン含量について検討した。千切りに刻んだキャベツではビタミンB_1、B_2、Cの50%前後が処理により破壊したが、包丁を入れていない春菊ではビタミン類の、破壊は全く認められなかった。3)野菜の次亜鉛素酸ソーダによる殺菌はカット野菜ではなく、包丁などで切っていない野菜について行い、その後十分に水洗することにより、食品衛生上、栄養面の両方において不都合なく行えることが明らかとなった。
著者
市川 富夫 飯沢 裕美 津田 明子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.400-402, 1987-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1

We investigated the devices for removal of chloroform formed in vegetables treated with NaClO and the changes in contents of vitamin B1, B2 and C.Washing five times with distilled water could remove almost chloroform of vegetables sterilized with NaClO and storage of the vegetables at 4°C in a refrigerator also showed the same effect.Vitamin B1, B2 and C in cabbage were destroyed by about 50% by the treatment with NaClO but those in garland chrysanthemum were not destroyed, These resutls might be due to destrucof cells of cabbage by cutting with a knife and then easy contact of NaClO to the vitamins in cells. But it was not the case in garland chrysanthemum.It is concluded that washing vegetables with water is necessary when NaClO is used for the sterilization.
著者
新藤 辰二 佐々木 義幸 三木 啓道 江口 通 萩原 清和 市川 富夫
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.419-422_1, 1988-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
15
被引用文献数
23 34

新しい天然甘味料として期待されるエリスリトールのイオン交換樹脂カラム CK 08SHを使用した, 示差屈折計付き高速液体クロマトグラフィーによる迅速, 簡便な定量法を検討し, 良好な結果を得た. この方法により, 清酒, ワイン, しょう油, みそそしてビール中の含量を測定した. この結果エリスリトールは清酒, ワイン及びしょう油0.015~0.09w/v%, みそ0.13%, ビールには微量含まれていることが分かった.
著者
阿部 稚里 池田 彩子 山下 かなへ 市川 富夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.187, 2005 (Released:2005-12-08)

【目的】私達は、日常摂取しているビタミンEの約半分を植物油から摂取している。サフラワー油、サンフラワー油、オリーブ油などに含まれるビタミンEは、生理活性が最も高いα-トコフェロールがほとんどであるが、コーン油、大豆油、ゴマ油などには、α-トコフェロールよりもγ-トコフェロールが多く含まれる。そこで、本研究では、ビタミンEとしてα-トコフェロールのみを摂取した場合と、α-およびγ-トコフェロールを同時に摂取した場合の体内のα-トコフェロール濃度を、ラットを用いて比較した。【方法】ビタミンE無添加飼料を4週間摂取させたラットに、α-またはγ-トコフェロールのみを各10mg、あるいはα-およびγ-トコフェロール各10mgの混合物をそれぞれ胃内に経口投与し、8または24時間後に屠殺した。血清および組織のα-およびγ-トコフェロールを、HPLC法で定量した。【結果】α-トコフェロールの摂取によって、8時間後には血清、肝臓、肺、副腎のα-トコフェロール濃度は著しく上昇したが、心臓、筋肉、脂肪組織、皮膚などでは、24時間後でもその上昇の程度は小さかった。α-トコフェロールのみを摂取した場合と、α-およびγ-トコフェロールを同時に摂取した場合で、血清および肝臓のα-トコフェロール濃度に変化は見られなかったが、肺、心臓、大動脈などのα-トコフェロール濃度は、γ-トコフェロールの同時摂取によって有意に低下した。以上の結果から、体内のα-トコフェロール濃度は、γ-トコフェロール摂取によって低下することが明らかになり、ビタミンE同族体の摂取量によっては、ビタミンE要求量が増加する可能性が示された。
著者
萩原 清和 小篠 栄 矢野 友啓 市川 富夫
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.111-116, 1994-04-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
37
被引用文献数
1 2

VE欠乏ラットのGSH低下による腎臓障害に対するγ-glutamylcysteine ethyl esterの投与効果を明らかにするため, リポフスチン生成および腎臓機能や組織障害を指標に検討を行った。1) γ-GC投与およびGly+γ-GC投与は腎臓内GSH量を増加させ, リポフスチン量の急激な上昇を抑制した。2) Gly+γ-GC投与は血清クレアチニン量の増加, LDH活性の上昇, および腎臓内酵素活性の低下を抑制した。3) γ-GC投与は近位尿細管上皮細胞壊死を完全には防御することはできなかったが, Gly+γ-GC投与は近位直尿細管上皮細胞の壊死が観察される程度に障害をとどめることができた。4) GSHは過酸化脂質からのリポフスチン生成を抑制し, 腎機能低下や腎障害の防御に関与する可能性が強く示唆された。
著者
新藤 辰二 佐々木 義幸 三木 啓道 江口 通 萩原 清和 市川 富夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.419-422_1, 1988
被引用文献数
34

新しい天然甘味料として期待されるエリスリトールのイオン交換樹脂カラム CK 08SHを使用した, 示差屈折計付き高速液体クロマトグラフィーによる迅速, 簡便な定量法を検討し, 良好な結果を得た. この方法により, 清酒, ワイン, しょう油, みそそしてビール中の含量を測定した. この結果エリスリトールは清酒, ワイン及びしょう油0.015~0.09w/v%, みそ0.13%, ビールには微量含まれていることが分かった.
著者
辻 啓介 市川 富夫 田辺 伸和 阿部 士郎 樽井 庄一 中川 靖枝
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.1241-1246, 1992-08-01 (Released:2008-11-21)
参考文献数
19
被引用文献数
29 34

食塩を1%含む半合成飼料に黄麹または紅麹を添加し,高血圧自然発症ラット(SHR)に3週間与え, SHRの血圧とミネラル代謝に及ぼす影響を検討した. 第1の実験では,1%塩化ナトリウム含有飼料に麹を10%添加した.その結果,黄麹群,紅麹群ともに血圧降下作用が認められ,とくに紅麹群では29mmHgもの低下がみられた.市販の固形飼料に切り替えた後,1週間後でも紅麹群では対照群に比べ有意に低い値であった.血圧に関与するミネラルの出納にはあまり変化はみられなかった.また,血漿のコレステロール,中性脂肪,グルコースレベルについてもほとんど変化はなかった. 第2の実験では,黄麹を5%,紅麹を5%または3%に減少して効果を判定したが,SHRの急激な血圧上昇がとくに紅麹で顕著に抑制された.血漿中のNa量,K量,Na/K比を調べたが,それらの注目すべき変動は認められなかった. 以上のことより,麹,とくに紅麹は,すぐれた血圧降下作用があり,その作用機序は,ミネラル代謝の変動によるものではないことが明らかになった.
著者
市川 富夫 辻 啓介 萩原 清和 津田 明子 山中 優美子
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.44-48, 1986-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

スクアレンを多量に含有する深海産サメ肝臓エキスが健康食品として市販されているが, 根拠となる作用機作については明らかにされていない部分が多い. スクアレン経口投与ウィスター系ラットの体重変化, 血清及び肝臓中の脂質濃度を測定した. 0.1ml及び0.5mlのスクアレンを41日間投与したとき, 体重増加量はコントロールに比べて小さかった. 血清中ではHDL-コレステロールの減少と過酸化脂質 (チオバルビツール酸反応陽性物質値=TBA値) の増加が認められ, 肝臓ではトリグリセリド, リン脂質, TBA値の増加が見られた. 0.1ml, 0.5ml投与時における見かけの吸収率は50%前後であった. 肝臓中のスクアレン量は投与量に比例して増加した. 以上のことからスクアレンは吸収され, 体内において脂質代謝に影響を与えていることが推測された.
著者
内田 三香子 村上 亜由美 松浦 寿喜 市川 富夫
出版者
武庫川女子大学
雑誌
武庫川女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:09163123)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.35-41, 1996
被引用文献数
2

本研究は,生体内酵素においての水解活性が極めて低いとされるトレハロースに注目し,ラットのカルシウム吸収に及ぼす影響を検討した.1)in vitroでのラット小腸アセトン粉末による糖の消化分解性を検討した.37℃3時間反応ではトレハロースはシュクロース同様,殆どが消化分解された.ラクトースでは15%しか消化されなかった.2)5週齢SD系雄ラットを1群6匹の3群に分け,15%シュクロース飼料,15%ラクトース飼料,15%トレハロース飼料でそれぞれ23日間飼育後解剖した.飼育期間中に2回の出納実験を行い,カルシウム吸収に及ぼす影響を検討した.解剖時には臓器および大腿骨を摘出し,盲腸については盲腸内pHおよび盲腸内揮発性脂肪酸量を定量し,大腿骨についてはカルシウム含有量を測定した.(1)カルシウム吸収率ならびに体内保留率はラクトース群で有意に高くなり,トレハロースによる影響は見られなかった.(2)ラクトース群はシュクロース群,トレハロース群よりも2倍以上もの盲腸重量を産出した.また,ラクトース群は盲腸内pHを有意に低下させ,揮発性脂肪酸量は有意に高値を示した.トレハロースはシュクロース同様,差は見られなかった.以上から,トレハロースは小腸内で殆どが消化分解された可能性があり,カルシウム吸収には影響を及ぼさなかったと考えられる.