- 著者
-
池田 彩子
- 出版者
- 公益社団法人 日本油化学会
- 雑誌
- オレオサイエンス (ISSN:13458949)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, no.12, pp.539-545, 2014 (Released:2017-02-01)
- 参考文献数
- 16
ビタミンK代謝に及ぼすビタミンEの影響を明らかにするために,ラットのビタミンK濃度に対するトコフェロール摂取の影響を調べた。ラットにα-トコフェロール(αT)添加飼料を6週間摂取させたところ,肝臓以外のさまざまな組織のフィロキノン(PK)濃度が低下した。また,PK経口投与後の組織への移行を調べたところ,αTによっていくつかの肝外組織のPK濃度が低下した。さらに,トコフェロール異化の律速酵素であるトコフェロール水酸化酵素が,PKの水酸化も触媒することが明らかになった。PKの水酸化は,PK異化の第一段階である。そこで,トコフェロールの異化を阻害するゴマリグナンが,PK濃度に与える影響を調べたところ,セサミン添加飼料の7日間の摂取によって,肝臓のPK,メナキノン-4 (MK-4),トコフェロール濃度が上昇した。以上の結果から,体内のPK濃度は,トコフェロール代謝の変動によって大きく影響を受けることが明らかになった。