著者
長岡 和則 佐藤 昭二 山中 武 大西 由子
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 : hoken buturi (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.66-71, 2009-03-01
参考文献数
20
被引用文献数
2

In order to estimate the environmental radiation dose rate level, measurements of the terrestrial gamma ray dose rates and cosmic ray ionizing components were conducted in public places such as park, street and train in Tokyo area. Measurements for 10 s with a NaI(Tl) scintillation spectrometer were repeatedly carried out with walking. Terrestrial gamma ray dose rate ranges from 10 nSv/h in a train to 80 nSv/h on the stone road. Although cosmic ray ionizing component was constantly 30 nSv/h in the outdoor, reductions by shielding effect were observed at underground and in the concrete building. Influence of radiopharmaceutical was measured in the stations where so many people exist. This shows that the same effect may occur in the environmental radiation monitoring.
著者
三中 信宏 岩田 洋佳 伊達 康博 曹 巍 Harshana Habaragamuwa 桂樹 哲雄 小林 暁雄 山中 武彦 櫻井 玄
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.55-82, 2023-10-31 (Released:2023-12-06)
参考文献数
100

This review provides a comprehensive introduction to recent developments in agricultural statistics. Agricultural statistics, which began with Fisher’s design of experiments, has developed in various directions as the nature of the data it handles has changed. The ability to rapidly measure omics data, including DNA sequences, has led to methods such as genomic selection. It has become possible to comprehensively measure even the metabolites of living organisms, giving birth to a new field called metabolomics. The development of machine learning, including deep learning, has enabled the use of image data, which has been difficult to connect with agriculture and is creating new areas such as disease diagnosis of crops. In this review, we first refer to the statistics of Fisher’s era, recall the philosophy of science in statistics, and look at the prospects of modern agricultural statistics by taking a broad overview of new fields.
著者
中村 泰久 / 穴水 幸子 / 山中 武彦 / 石井 文康 / 三村 將
出版者
日本福祉大学健康科学部, 日本福祉大学健康科学研究所
雑誌
日本福祉大学健康科学論集 = The Journal of Health Sciences
巻号頁・発行日
vol.21, pp.25-35, 2018-03-30

Based on the test outcomes of divergent and convergent thinking tasks, we examined the characteristics of patients with schizophrenia through an intergroup comparison with a control group, as well as through an intragroup comparison. The study involved the schizophrenia group and healthy control group. Both groups were administered the divergent thinking tasks, and convergent thinking tasks. Psychological symptoms were assessed of the schizophrenia patient. The outcome of the intergroup comparison showed that patients with schizophrenia show a decline in multiple The Tinkertoy Test (TTT) revised version subitems and Idea Fluency Task (IFT) Task-modified response number in the divergent thinking tasks. Furthermore, the result of a logistic regression analysis concerning the items that showed a decline indicated intergroup discrimination for TTT revised version name and IFT Task-modified response number. Subsequently, in the intragroup comparison of patients with schizophrenia, there was a positive correlation between positive symptoms and Design Fluency Test (DFT) Score. From these outcomes, we suggest that patients with schizophrenia tend to score lower on divergent thinking tasks, and that among the divergent thinking tasks, the TTT revised version and IFT are capable of measuring independent cognitive functions that are less susceptible to the influence of psychological symptoms.
著者
岩佐 厚志 裏 直樹 山中 武彦 川村 康博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.E-145_2-E-145_2, 2019

<p>【はじめに・目的】</p><p>延髄外側梗塞において特徴的な所見のひとつにlateropulsion(以下:LP)がある.LPは,病巣側に体が不随意に倒れる症候である.これまで,急性期におけるLPに対する病巣を考慮した治療や客観的指標を用いた効果に関する報告は少ない.そこで本研究では,脳画像所見よりLP出現の責任病巣を同定し,損傷神経路を考慮した治療の選択と,体圧分布測定システムで測定した立位足圧分布を用いて治療効果を検証した.</p><p>【方法】</p><p>症例は,50歳代男性.左延髄外側に梗塞巣を認め,立位・歩行時wide baseでありLPのため左への傾きを認めた.第1病日から理学療法(以下,PT)を開始.第4病日より本研究を開始した.LPに対する治療効果は,シングルケースデザイン(ABA法)を用いて検証した.A1期,A2期は一般的なPTを実施.B期は一般的なPTを行う際に,左膝関節に対して弾性包帯(Osaki製ウエルタイ)を,足底には表面に凹凸のあるインソール(キャンドゥ製オウトツタイプインソール)を装着し,触圧覚入力を増強した状態で実施した.各期は各々1日とした.足圧分布は体圧分布測定システム(NITTA製BPMS)を用いて開眼閉脚立位にて20秒間測定し,左右比率,左右差の平均値を算出した.臨床的指標としてPostural Assessment Scale for Stroke Patients(以下,PASS),Scale for the assessment and rating ataxia(以下,SARA)を用い,その他立位時の傾きに対する内省を聴取し,転倒に対する恐怖感をvisual analogue scale(以下,VAS)で評価した.評価時期は足圧分布,VASを各期の前後に,PASS・SARAはA1前,B前,B後,A2後に行った.</p><p>【結果】</p><p>A1前,A1後,B前では足圧左右比率,左右差,PASS,SARA,VASに明らかな変化を認めなかった.B前とB後では,足圧左右比率が右64%から51%,左36%から49%,足圧左右差は5591mmHgから369mmHg,SARA 5点から3点,PASS30点から33点,VAS4/10から1/10と改善を認めた.傾きに対する内省はA1前とB前で「自分ではよくわからないけど倒れそう」であったが,B後では左足に「違和感を感じ右へ重心が行くようになった」「左足に意識が行くようになった」と左下肢に対する認識に変化を認めた.また,A2前後では各評価項目ともに明らかな変化を認めなかった.</p><p>【考察】</p><p>今回,延髄外側梗塞によりLPを呈した症例に対し,下肢への触圧覚入力により即時的な効果を認めた.LPの責任病巣として前脊髄小脳路,後脊髄小脳路,前庭脊髄路などの報告がある.本症例は拡散強調画像より,前脊髄小脳路の損傷が疑われた.前脊髄小脳路はL2以下の意識にのぼらない深部感覚を伝える上行性伝導路であることから,膝、足底への触圧覚刺激の増強により,LPが改善したと考える.このようにLPの原因となる損傷神経路を脳画像により同定し,治療方法を決定していくことは重要であり,前脊髄小脳路損傷によるLP例に対しては膝,足底への触圧覚入力が効果的であることが示唆された.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究はヘルシンキ宣言に基づき,対象者に研究内容の説明と書面による同意を得た.</p>
著者
森 直樹 山中 武志 福島 久典
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.139-150, 2006-12-25
被引用文献数
6

細菌が菌体外多糖(exopolysaccharide: EPS)を産生し,バイオフィルムを形成すると,たとえ弱毒菌であっても難治性感染症を惹起し得ることが近年の研究で明らかとなっている.我々はこれまでに,歯周病原細菌の1つであるPrevotella intermedia (P. intermedia)のなかに,EPSを産生してバイオフィルム様構造をもつものが存在すること,EPSを産生するP. intermediaのマウスにおける膿瘍形成誘導能は,EPSを産生しない株と比較すると100〜1,000倍強いことを報告してきた.EPS産生性はP. intermediaの病原性を決定する重要な因子であると考えられるが,その産生調節に関わる遺伝子は未だ不明である.本研究では,当研究室で辺縁性歯周炎病巣より分離した,EPSを産生するP. intermedia strain 17と,strain 17のvariantで,EPS産生性を失ったstrain 17-2を用いて,両菌株の病原性と遺伝子発現の差について検討した.マウスにおける膿瘍形成試験の結果,strain 17の膿瘍形成能はEPSを産生しないstrain17-2と比べ,約100倍強いことが明らかとなった.ヒト好中球を用いた貪食試験により,strain 17は好中球の貪食に対して抵抗性を有することが確認された.Strain 17の全ゲノム配列をもとにマイクロアレイを作製し,strain 17が菌体周囲に網目状構造物の産生を開始する培養12時間頃の遺伝子発現を,これを産生しないstrain 17-2と比較した.その結果,strain 17において21遺伝子が2〜4倍発現上昇していた.機能の特定が可能であった遺伝子としては,熱ショックタンパクである10 kDa chaperonin, 60 kDa chaperonin, DnaJ, DnaK, CIpB遺伝子が含まれていた.また,膜輸送に関わるABC transporter遺伝子の1つであるATP結合タンパク遺伝子も発現上昇していた.以上の結果から,EPS産生性はP. intermediaの病原性に強く関わっており,その産生に熱ショックタンパクとABC transporter関連遺伝子が介在することが示唆された.
著者
松浦 修 山中 武志 福島 久典
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学 (ISSN:00306150)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.141-150, 2007-06-25

我々はこれまでに臨床分離のPrevotella intermedia(P.intermedia)のなかに,菌体外多糖(exopoly-saccharide:EPS)を多量に産生して単独でバイオフィルムを形成する株が存在することを明らかにしてきた.また,バイオフィルムを形成するP.intermediaのマウスにおける膿瘍形成誘導能は,非形成株と比較すると100〜1,000倍強いことや,EPS産生に関わる遺伝子発現についても報告してきた.EPS産生性獲得に伴うバイオフィルム形成性は,口腔常在菌であるP.intermediaの病原性を決定する重要な因子であると考えられるが,膿瘍形成誘導との直接的な繋がりについてはいまだ不明である.そこで今回,当研究室で辺縁性歯周炎病巣より分離した,P.intermedia strain OD 1-16よリ分離精製したEPSを用いて,これがヒト貪食細胞に与える影響について検討を試みた.貪食試験には,ヒト単球系細胞であるTHP-1細胞と直径2.0μmのラテックスビーズを用いた.オプソニン化したラテックスビーズを0.5〜2.0mg/mL濃度のEPSでコートし,HP-1細胞の貪食に与える影響を透過型電子顕微鏡にて観察した.THP-1細胞をEPSコート/非コ一トラテックスビーズと共培養したのち,RNAを回収し,純度を確認後,マイクロアレイにアプライし,遺伝子発現の差を検討した.精製したEPSでコートしたラテックスビーズを走査型電子顕微鏡観察し,OD 1-16のバイオフィルムに特徴的な菌体間の網目状構造がラテックスビーズ間にも再現されることを確認した.これをTHP-1細胞に貪食させたところ,EPSが濃度依存的にラテックスビーズの細胞内への取り込みを抑制することが明らかとなった.EPSによる貪食抑制を受けたTHP-1細胞と,活発にビーズを貪食した細胞の遺伝子発現をマイクロアレイ解析したところ,EPSによる貪食抑制を受けた細胞の約140遺伝子で2倍以上の発現上昇がみられた.今回の研究結果より,バイオフィルムを形成するP.intermedia由来のEPSが,ヒト単球系細胞であるTHP-1細胞の異物認識後の捕食を障害し,その遺伝子発現にも影響を与えることが明らかとなった.これらのことから,バイオフィルム形成細菌のEPS産生性は貪食細胞に対する抵抗因子として働き,さらには宿主細胞の動態に影響を与えることで組織侵襲性に関与していることが示唆された.