著者
尾崎 米厚 福島 哲仁 阿部 顕治 中川 昭生 岡本 傳男 山根 洋右
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.937-941, 1987

島根県農村部における輸入赤痢アメーバ症の2例について報告した。2例とも中華人民共和国のツアー中に, 北京にてスイカを食べており, これが感染経路と考えられた。<BR>症例1は, 帰路上海にて発症し, 患者は, 悪心・嘔吐・下痢・意識消失を来し, 上海病院に緊急入院し, 脱水症状に対する治療を受けた。帰国後, 糞便検査にて<I>Entamoeba histolytica</I>の栄養型が認められ, 赤痢アメーバ症と診断された。メトロニダゾールにて治療を行なったが, 高令で激症アメーバ性大腸炎を呈した本例においては, 効果があまりなく, チニダゾールの方が効果を示した。<BR>症例2では, 自覚症状が認められなかったが, 糞便検査にて, <I>Entamoeba histolytica</I>の嚢子型が認められ, キャリアと診断され治療を受けた。<BR>近年は, 都市部のみならず農村部においても海外渡航者が増えており, 旅行者における輸入赤痢アメーバ症の多発, およびその集団発生に, 今後注意を払う必要があるものと考える。
著者
乃木 章子 塩飽 邦憲 北島 桂子 山崎 雅之 アヌーラド エルデンビレグ エンヘマー ビャンバ 米山 敏美 橋本 道男 木原 勇夫 矢倉 千昭 花岡 秀明 井山 ゆり 三原 聖子 山根 洋右
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.649-659, 2004-11-30
被引用文献数
1 3

農村地域で肥満, インスリン抵抗性, 脂質異常, 高血圧を合併した代謝症候群が増加している。代謝症候群に対しては体重減少が有効とされているが, 白人と日本人では肥満と代謝症候群の関係に差異が見られる。日本人での体重減少と生活習慣変容, 体重減少と代謝症候群の改善についての実証的な研究は少ないため, 体重減少に寄与する要因, 体重減少と代謝症候群改善との関係を研究した。2000~2003年に健康教育介入による3か月間の肥満改善プログラムに参加した住民188名を対象とした。参加者の平均体重減少は1.3kgであり, BMI, ウエスト囲, 血圧,総コレステロール, LDLコレステロール, 中性脂肪の減少, HDLコレステロールの増加を認めた。相関および回帰分析により, 摂取熱量減少, 消費熱量増加が体重減少に寄与していることが明らかになった。一方, 体重変化との有意な相関が認められたのは, 各種肥満指標, 総コレステロール, 中性脂肪, HDLコレステロールであり, 血圧とLDLコレステロールでは有意な相関を認めなかった。体重変化量と有意な相関が認められた血液生化学的検査値の変化量との相関係数は比較的低く, 体重変化量は中性脂肪や総コレステロールの変動の10%以下しか説明しなかった。代謝症候群の改善における体重減少の有効性について, アジア人の民族差に着目した体重減少の有効性に関する実証的な研究が重要と考えられる。
著者
阿部 顕治 礒邉 顕生 山根 洋右 小笹 正三郎 吉富 裕之 山田 幸子
出版者
島根大学
雑誌
島根医科大学紀要 (ISSN:03879097)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.45-53, 1991-12

Four cases of cutaneous gnathostomiasis successively occurred in 1989 were reported with references to the loaches as the source of infection. The patients complained of migratory cutaneous swellings of their faces or the creeping eruption of the body after they took raw loaches at the Japanese restaurant in Tamayu-cho. They were diagnosed as cutaneous gnathostomiasis by their clinical course and immunological tests. Furthermore, loaches obtained from the Japanese restaurant were investigated, which were imported from China. We suspected Gnathostoma hispidum as the infection source, but no Gnathostoma hispidum were found in loaches except many worms of Nematodes, Pallisentis spp.