著者
山浦 玄嗣
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.108-119, 2004-09-30 (Released:2017-04-30)

岩手県気仙地方の言語ケセン語には文字がなかった.著者はこれにケセン仮名という固有の文字を与え,さらにその不足を補ってケセン式ローマ字を考案し,文法的構造から音調までも正確に記述できる正書法を確立した.その文法体系を総合的に記述し,これを学習するための教科書を作成した.またすべての語彙に豊富な用例がついている,3万4000に反ぶ語彙項目を収載する辞書を編纂した.これらの研究によって,ケセン語による文学の創出が可能になり,多くの作品群を生み出した.方言差別による劣等感に悩んできた気仙衆は大きな勇気と誇りを回復している.ケセン語による詩作,歌曲の創作,ケセン語演劇の劇団の活動,ケセンそのものについての数多くのテレビ・ラジオ番組などが次々に生まれ,最近はギリシャ語原典から直接ケセン語に翻訳された,朗読CDつきのケセン語訳新約聖書も発行されている.文字は文化を発展させるのだ.
著者
窪田 和雄 松沢 大樹 藤原 竹彦 伊藤 健吾 渡辺 弘美 小野 修一 伊藤 正敏 山浦 玄嗣 滝田 公雄 佐々木 雄一郎
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.503-509, 1985-11-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
21

脳は老化に伴ない, 神経細胞を減じ, 体積が減少し, 脳室, 脳溝が拡大してゆく. 我々はこの過程をCTスキャンで定量的に解析し, 脳は加齢に伴ない著明に萎縮するだけでなく, 個人差が非常に大きくなることを明らかにしてきた. 今回脳萎縮の個人差を生ずる要因を明らかにするために, 喫煙が脳萎縮に及ぼす慢性効果について調べた.神経学的に, またCTスキャン上異常のない40歳から69歳までの喫煙者159人, 非喫煙者194人について, 脳萎縮を測定した. コンピューターを使用し, CT像を構成している画素を数え, 頭蓄内の脳実質の割合を求め, 更に若い健常者の脳に比べて何%萎縮したかを示す脳体積指数 (Brain Volume Index) を求めた. BVIは加齢に伴ない低下するだけでなく, 喫煙者において, 50歳~54歳, 55歳~59歳では危険率0.1%以下で, 65歳~69歳では危険率5%で非喫煙者よりも有意に低く, これらの年代では喫煙者の脳萎縮が非喫煙者よりも進んでいることを示した. また非喫煙者では男女差は見られなかった. 喫煙量に対する依存関係を50歳代男性で調べたところ, 喫煙者各群は非喫煙者よりも有意にBVIは低下し, 喫煙指数が多くなるにつれBVIは低下する傾向があったが, 喫煙者各群に有意差はなかった. また喫煙者では血清トリグリセライド (p<0.002) 及び収縮期血圧 (p<0.05) が非喫煙者よりも有意に高かった.脳血流が喫煙者では減少しているという我々の先の報告と合わせ, 喫煙は慢性的に動脈硬化を促進し, 動脈硬化や血圧の上昇その他の要因とともに脳血流を低下させ, 加齢に伴なう神経細胞の喪失を助長し, 脳萎縮を促進させると考えた.
著者
山浦 玄嗣
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.108-119, 2004

岩手県気仙地方の言語ケセン語には文字がなかった.著者はこれにケセン仮名という固有の文字を与え,さらにその不足を補ってケセン式ローマ字を考案し,文法的構造から音調までも正確に記述できる正書法を確立した.その文法体系を総合的に記述し,これを学習するための教科書を作成した.またすべての語彙に豊富な用例がついている,3万4000に反ぶ語彙項目を収載する辞書を編纂した.これらの研究によって,ケセン語による文学の創出が可能になり,多くの作品群を生み出した.方言差別による劣等感に悩んできた気仙衆は大きな勇気と誇りを回復している.ケセン語による詩作,歌曲の創作,ケセン語演劇の劇団の活動,ケセンそのものについての数多くのテレビ・ラジオ番組などが次々に生まれ,最近はギリシャ語原典から直接ケセン語に翻訳された,朗読CDつきのケセン語訳新約聖書も発行されている.文字は文化を発展させるのだ.