著者
山田 健史 飯田 和則 山子 茂
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.329-342, 2007 (Released:2007-10-01)
参考文献数
106
被引用文献数
1 1

リビングラジカル重合(LRP)が基礎,および応用化学の両面から多大な注目を集めている.その理由は,このような重合系の開発が化学における大きな挑戦であるとともに,ラジカル重合とリビング重合の優れた特徴を併せ持つこの方法が,高度な機能を持つ高分子材料創製の基盤技術となることが期待されているからである.本報では,この 15 年弱の間に開発されてきた,代表的な LRP 法であるニトロキシドを介するリビングラジカル重合(NMP),原子移動ラジカル重合(ATRP),可逆的付加・脱離連鎖移動重合反応(RAFT),有機テルル化合物を用いるリビングラジカル重合(TERP)を中心として,それらを重合機構から比較することで,それぞれの方法らの特徴を明らかにすることを目的とする.これを通じて,LRP の現状を概観するとともに,この方法の将来の展望を図るものである.本報は 2 回にわたり掲載される予定である.初回の本報では,LRP の定義とその開発の歴史的な経緯,共通する反応機構,および NMP の機構について紹介する.次論文では,ATRP, RAFT, TERP の反応機構と,LRP における最近のトピックスを紹介する予定である.
著者
小船 雅義 渡辺 一郎 芦野 園子 奥村 恭男 高木 康博 山田 健史 小船 達也 大久保 公恵 進藤 敦史 中井 俊子 國本 聡 平山 篤志
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.SUPPL.3, pp.S3_114-S3_117, 2009 (Released:2015-01-23)
参考文献数
4

植込み型除細動器 (ICD) は心室頻拍/細動 (VT/VF) に基づく突然死の1次/2次予防に有効な治療法であることが示されている. しかしながら, ICDの植え込みを施行したにもかかわらず救命困難な症例も存在する. 今回, VFに対しICDが作動したにもかかわらず死亡した2症例を経験したので報告する.  症例1 : 56歳, 男性. 陳旧性心筋梗塞後の低心機能症例で, VTに対しICD植え込みを施行したが, 約1年後, 心肺停止 (CPA) にて搬送され死亡した. ICDの記録にてVFによる作動が確認された.  症例2 : 69歳, 男性. 2004年4月にCPAで当院搬送され救命され, 冠攣縮性狭心症に伴うVFに対しICD植え込みを施行した. 心機能は良好であり狭心症治療薬の服用も励行していたが, 再びCPAとなり死亡した. ICDの記録にてVFによる作動が確認された.  結語 : 冠動脈攣縮に伴うVF症例および虚血性心疾患に基づく重度の低心機能例ではICDが作動してもVT/VFが停止しない場合もあり, 冠攣縮の薬物コントロール, あるいはアブレーションなどの心室性不整脈に対する対策が望まれる.