- 著者
-
中井 俊子
- 出版者
- 日本大学医学会
- 雑誌
- 日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
- 巻号頁・発行日
- vol.78, no.2, pp.73-77, 2019-04-01 (Released:2019-05-30)
- 参考文献数
- 10
循環器領域においては,めまいを来たす病態が
進行していくと失神に至る,あるいは失神の前段階の症
状としてめまいを自覚することも多く,めまいと失神の
原因は,ほぼ同様と考えられるため,失神に焦点を絞っ
て述べることにする.失神を起こす原因には多くの疾患
があるが,共通の病態は「脳全体の一過性の低灌流」で
ある.日常診療でよくみられるものとしては,不整脈,
起立性低血圧,神経調節性失神,心不全などによるもの
である.診断において最も重要なことは,詳細な病歴聴
取である.失神が起こった状況,発生までの経過,その
時の体調などについて,患者本人あるいは発見者から詳
細に病歴を聴取することにより,疾患の概要が見え,的
を絞った検査を進めることで確定診断に導けることがあ
る.ここでは,失神患者への循環器領域におけるアプロー
チ,診断法を紹介する.