著者
松山 太士 山田 和政
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.379-383, 2015
被引用文献数
1

〔目的〕大腿骨近位部骨折者のADL評価と再転倒リスク評価としてのtimed up and go(TUG)テストの有用性を検証した.〔対象〕当院回復期リハビリテーション病棟から自宅退院する大腿骨近位部骨折者40名とした.〔方法〕退院前に TUGテストとfunctional independence measure(FIM)を行い,両者の関連性を分析するとともに退院後3ヵ月間の再転倒の有無を調査した.〔結果〕TUG遂行時間とFIM得点に有意な相関が認められた.再転倒者は7名で,その中にはFIM高得点者も存在したが,TUG遂行時間20秒以下の条件を加えると再転倒者は0名であった.〔結論〕大腿骨近位部骨折者の退院時のADLおよび再転倒リスクを評価する上で,TUGテストは有用といえる. <br>
著者
山田 和政 山田 恵 伊藤 倫之 塩中 雅博 植松 光俊
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.205-208, 2006 (Released:2006-09-22)
参考文献数
8
被引用文献数
2

長期臥床高齢患者の理学療法におけるリスクマネージメントを骨密度の観点から検討した。70歳以上の長期臥床患者33名(寝たきり群)と大腿骨頚部骨折患者29名(骨折群)を対象(すべて女性)に,踵骨の音響的骨評価値を測定し,比較した。寝たきり群は,骨折群と比較して有意に低い値であった(p<0.001)。理学療法実施時,1) 臥床期間・年齢・体重(栄養状態)に関する情報を事前に収集し,2) 廃用性症候群と老化によって著しい骨密度の低下をきたしている事を念頭に置き,3) 転倒・転落はもちろん,それより小さな外力でさえも容易に骨折を引き起こす危険性を有している事を再認識して,プログラムを進めていくことが重要である。
著者
石橋 雄介 西田 宗幹 山田 和政
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.509-513, 2017 (Released:2017-08-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1

〔目的〕身体合併症を呈した精神科病棟入院患者を対象に,生活機能と精神機能に対する理学療法(PT)の有効性を検証した.〔対象と方法〕身体合併症に対してPTを実施した精神科病棟入院患者を対象に,理学療法開始時と終了時のBarthel IndexスコアおよびGlobal Assessment of Functioningスコアをカルテより収集した.〔結果〕両スコアともPT終了時で有意に高得点であった.〔結語〕身体合併症を呈した精神科入院患者に対するPTは,生活機能のみならず精神機能の改善も期待できることが示唆された.
著者
伊井 公一 山中 健行 鈴木 一弘 廣瀬 健人 神野 佑輔 山田 和政
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.763-767, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
27
被引用文献数
2 1

〔目的〕TUGテストにて転倒リスクが低いと判断される高齢者の転倒要因を明らかにし,転倒予防について検討した.〔対象と方法〕TUGテストが13.5秒以内の高齢女性29人を,非転倒群と転倒群に分類した.歩行課題と起立-歩行課題における定常歩行に至る歩数,起立-歩行課題における起立動作時の前方重心移動速度,身体運動機能,転倒恐怖心を調査し,2群間で比較した.〔結果〕非転倒群(19人)と比較して転倒群(10人)は,起立-歩行課題で定常歩行に至る歩数が1歩多く,前方重心移動速度は有意に遅く,また転倒恐怖心のみ有意に低かった.〔結語〕転倒経験のある転倒低リスク高齢者の転倒要因は転倒恐怖心であり,転倒予防として動作方法の工夫もそのひとつの手段であると考えられた.
著者
山田 和政 山田 恵 塩中 雅博 坂野 裕洋 梶原 史恵 松田 輝 植松 光俊
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.103-106, 2005 (Released:2005-07-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

本研究の目的は,閉眼および開眼片足立ち測定,Multi-Directional Reach Testの3評価結果における転倒群と非転倒群の比較,転倒回数との関連性および3評価結果間の相関について調べ,高齢者の転倒要因とされるバランス能力をどのような視点から捉えるべきか検討した。結果,いずれの評価結果においても転倒群が有意に少ない値を示し,また,転倒回数が多い者ほど値が少なかった。転倒群では,各評価結果間すべてにおいて有意な相関が認められた。以上より,転倒要因として圧中心保持能力と圧中心偏移能力の両方の視点からバランス能力を捉える必要のあることが示唆された。