著者
山田 恵吾
出版者
筑波大学教育学系
雑誌
筑波大学教育学系論集 (ISSN:03858979)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-18, 2000-09

本稿は、民俗学者宮本常一(1907-81年)の民俗学受容における問題関心の所在を1930年代の「民俗学的郷土教育」論の形成過程を通じて検討するものである。1930年代半ばに一学問領域としての輪郭をほぼ整えた日本民俗学 ...
著者
山田 恵子
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.56-62, 2012-03-20 (Released:2017-03-27)
参考文献数
23

本研究は、乳幼児の小児一次救命処置に対する保育士のスキルの自信について明らかにすることを目的とした。対象者は保育士262名(回収率41.3%,有効回答率99.6%)であった。研究方法は質問紙法による量的記述的研究であり、小児一次救命処置の自信15項目について5段階のリッカート尺度を用いた。因子分析の結果「具体的対処法」「観察・確認」「AED使用方法」「連絡・要請」「心肺蘇生(CPR)」の5因子が導き出された。結果、尺度および因子ごとの平均が全体的に低く、保育士たちは小児一次救命処置について認識はあるが自信が持てていないと考えられた。その背景には、子どもの特徴を踏まえたPBLS教育やAEDの設置が不十分であるなど、質および量の両面での支援が必要であり、母子支援など共通のポイントを持ち乳幼児の特徴を踏まえたキメの細かい指導が可能な看護師による教育的支援が保育士の自信を高めるために有効ではないかと考えられた。
著者
橋口 裕樹 熊野 良平 山田 恵一 竹山 成奎 坂田 豊博 大野 栄三郎
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.1572-1578, 2022 (Released:2022-09-20)
参考文献数
20

症例は73歳男性.主膵管内の膵石を伴うアルコール性慢性膵炎で定期通院中.自宅にて突然,心窩部痛を認め,改善がみられないため当科を受診した.CT検査でVater乳頭部に10mm大の膵石を認め,同部位を閉塞起点とした総胆管および主膵管の拡張を認め,膵石嵌頓による閉塞性黄疸および急性胆管炎,急性膵炎と診断した.緊急ERCPでは乳白色調の膵石が膵管開口部から露出しており,緊急で内視鏡的膵管口切開術およびバルーンカテーテルを用いた膵石除去術を施行したところ症状改善を得た.
著者
小田 桂吾 大垣 亮 廣野 準一 山田 恵子 宮川 俊平
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.207-211, 2021-04-30 (Released:2021-08-19)
参考文献数
18

本研究は,国内大学女子バスケットボール選手を対象に1シーズンの前向き傷害調査を行い,その実態を明らかにすることを目的とした. 発生した傷害は延べ13件で,傷害発生率は1.36件/1000 player-hoursで、受傷部位は,足関節が6件で最も多かった.全傷害のうち,復帰まで29日以上を要する重症度の高い傷害が84%を占めていた.先行研究と比較して,競技復帰まで長期間であったことから,今後,傷害発生予防に向けた取り組みの必要があると考える.
著者
山田 恵子 壬生 彰 向後 響 井関 雅子 西上 智彦
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-14, 2021-04-30 (Released:2021-06-18)
参考文献数
9
被引用文献数
1

The Pain Disability Index (PDI) is a self–reported outcome measure initially developed in English to assess disability caused by pain in seven dimensions of daily life activity, including family ⁄ home responsibilities, recreation, social activity, occupation, sexual behavior, self–care, and life–support activity. This study aimed to develop a linguistical­ly valid Japanese version of the PDI (PDI–J) according to the guidelines for the translation and cultural adaptation of patient–reported outcome measures establish­ed by the task force of the International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Research. A draft of the PDI–J was developed through a forward translation of the original PDI from English to Japanese, reconciliation of the translation, back–translation from Japanese to English, and harmonization. We subsequently conducted a cognitive debriefing in five patients using the PDI–J draft and reviewed it before finaliz­ing a linguistically valid PDI–J. We also considered a five–item version of the PDI (PDI–5–J), which excluded two items (sexual behavior and life–support activity) from the original version. This consideration was made for brevity and because sexual behavior is a considerably personal parameter that some patients may be reluctant to answer and life–support activity because it was considered ambiguous in Japanese. Therefore, we were able to develop a linguistically valid PDI–J and PDI–5–J through this process. Further study is warranted to confirm the psychometric validity and reliabili­ty of the two indices (PDI–J and PDI–5–J).
著者
林 祐一 西田 承平 竹腰 顕 村上 宗玄 山田 恵 木村 暁夫 鈴木 昭夫 犬塚 貴
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.244-249, 2016-07-25 (Released:2016-08-18)
参考文献数
11
被引用文献数
1 4

症例は65歳女性.40年前,双極I型障害と診断され,リチウム製剤で治療を開始された.途中,数年の中断を経て,10年以上前から炭酸リチウム600 mg/日を内服していた.精神症状のコントロールは比較的良好であった.X年12月,高血圧の診断のもと,アジルサルタン20 mg/日の内服が開始されたところ,内服3週間後から動作時の両手指のふるえが生じるようになった.症状は進行性で,手指のふるえが強まり,内服4カ月後ごろからたびたび下痢,便秘を繰り返すようになった.経過観察されていたが,翌年10月下旬ごろから食欲の低下,認知機能の低下が生じ,2週間程度で進行するため当科に入院した.神経学的には,軽度の意識障害,四肢のミオクローヌス,体幹失調を認め,立位が困難であった.リチウムの血中濃度は3.28 mEq/lと高値を認めた.リチウム中毒と診断し,炭酸リチウムを含む全ての経口薬を中止し,補液を中心とした全身管理を行ったところ神経症状の改善を認めた.炭酸リチウムは長期間,適正な投与量でコントロールされていたが,降圧薬のアジルサルタンの投与を契機として,慢性的な神経症状が出現し,次第に増悪,下痢,脱水を契機にさらに中毒となったものと推定した.リチウム製剤はさまざまな薬剤との相互作用がある薬剤で,治療域が狭いという特徴がある.双極性障害は比較的若年期に発症し,リチウム製剤を長期内服している患者も多い.このような患者が高齢となり高血圧を合併することも十分考えられる.リチウム製剤投与者に対して,降圧薬を新たに開始する場合には,相互作用の観点から薬剤の選択ならびに投与後の厳重なリチウム濃度の管理が必要となる.現行の高血圧治療ガイドラインでは特にリチウム製剤投与者への注意喚起がなされておらず,このような高齢者が今後も出現する可能性がある.また,リチウム製剤投与高齢者の高血圧の管理において重要な症例と考え報告する.
著者
山田 恵理 田中 伸明 玉城 政和 YAMADA Eri TANAKA Nobuaki TAMASHIRO Masakazu
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践 = BULLETIN OF THE FACULTY OF EDUCATION MIE UNIVERSITY. Natural Science,Humanities,Social Science,Education,Educational Practice (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.395-402, 2018-01-04

これまでの統計教育は、生徒が統計的な知識を学んだ後、技能を身につけるために、データを含んだ課題の分析処理を行わせるものが主流であった。しかし今日、統計教育はより実践的な枠組みへと変革しつつある。すなわち、生徒が自らの身近な問題の解決を目指し、「計画立案、データ収集、分析、実践、総括」という段階を踏む中で、統計的な知識や技能を涵養する実践が注目を浴びているのである。このような統計教育では、その問題解決の中で、しばしばPDCAあるいはPPDACといった「改善サイクル」を周回させる手法が用いられる。しかし、例えば「学校の環境」等の大きな問題解決を扱い、「改善サイクル」を機能させるならば、どうしても、数学の枠組みを超えたものになってしまう。すなわち、「総合的な学習の時間」等との関連を図るなど、かなり「大掛かりなもの」にならざるを得ないのである。本研究は、あくまでも、数学Iの「データの分析」という1単元のなかで、統計的な知識や技能を学び、それを「改善サイクル」に活用することを試みたものである。かなりコンパクトな状況で、「改善サイクル」を3周回機能させるとともに、生徒自らが平均と分散が改善していく過程を見出していくことで、「改善サイクル」が機能したことを評価させ、「改善サイクル」の必要性や良さも実感させた実践例である。
著者
山田 和政 山田 恵 伊藤 倫之 塩中 雅博 植松 光俊
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.205-208, 2006 (Released:2006-09-22)
参考文献数
8
被引用文献数
2

長期臥床高齢患者の理学療法におけるリスクマネージメントを骨密度の観点から検討した。70歳以上の長期臥床患者33名(寝たきり群)と大腿骨頚部骨折患者29名(骨折群)を対象(すべて女性)に,踵骨の音響的骨評価値を測定し,比較した。寝たきり群は,骨折群と比較して有意に低い値であった(p<0.001)。理学療法実施時,1) 臥床期間・年齢・体重(栄養状態)に関する情報を事前に収集し,2) 廃用性症候群と老化によって著しい骨密度の低下をきたしている事を念頭に置き,3) 転倒・転落はもちろん,それより小さな外力でさえも容易に骨折を引き起こす危険性を有している事を再認識して,プログラムを進めていくことが重要である。
著者
細尾 咲子 森 伸晃 松浦 友一 森 直己 山田 恵里奈 平山 美和 藤本 和志 小山田 吉孝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.12, pp.2556-2562, 2015-12-10 (Released:2016-12-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

40歳,女性.実子に続く感冒様症状を主訴に来院し,急性呼吸不全と血圧低下を伴う重症肺炎の診断で入院となった.血液培養および喀痰培養からA群溶血性レンサ球菌(group A streptococci:GAS)が分離され,劇症型溶血性レンサ球菌感染症(streptococcal toxic shock syndrome:STSS)と診断した.Benzyl penicillin G(PCG)とclindamycin(CLDM)による治療を開始後,薬剤性肺障害などの有害事象が生じたため,ceftriaxone(CTRX)とlevofloxacin(LVFX)に変更し,計24日間の抗菌療法により軽快した.経過中,急性腎不全を合併し,計6回の血液透析を必要とした.GASによる市中肺炎は頻度が低く,時にSTSSを合併し致死率が高い.健常人におけるSTSSの発症機序は明らかでなく,解明が待たれる.
著者
山田 恵太
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.3-5, 2020 (Released:2020-04-05)

近年、障害のある人、特に知的障害、発達障害、精神障害等のある人が、刑事手続における被疑 者・被告人になっている事案について、注目が集まっている。刑務所に障害のある人や高齢の人が 多くいるという問題が明らかとなったことを発端として、そのような人たちを刑事裁判の段階から 支える「入口支援」にも目が向けられているのである。そして、その 1 つとして、弁護士と社会福祉 士等のソーシャルワーカーが連携し、ソーシャルワーカーに「更生支援計画」と呼ばれる支援計画を 作成してもらった上で、これを捜査や公判の場面で被疑者・被告人に有利な証拠として扱う活動が 行われている。本報告では、このような更生支援計画を作成する活動の紹介に加え、実際に更生支 援計画を作成してもらい、公判において立証し、これが量刑上有利に斟酌された事例について報告 した。あわせて、福祉的支援を考える上で、身体拘束中の被疑者被告人に対する意思決定支援のあ り方の問題が存在することなど、今後の課題についても報告した。
著者
粟生田 友子 長谷川 真澄 太田 喜久子 南川 雅子 橋爪 淳子 山田 恵子
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.21-31, 2007-11-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
20
被引用文献数
4

本研究の目的は,(1)せん妄発生因子を患者へのケア実践過程にしたがって構造化し,(2)その発生因子とせん妄発症との関連を明らかにすることである.せん妄発生因子は,【背景・準備因子】【身体・治療因子】【患者因子】【周辺因子】の4領域102項目と,薬剤104種類について,せん妄発症との関連を検証した.研究の場は一般病院1施設の,産科,小児科,脳神経外科病棟を除く7病棟であり,2005年1〜3月の3か月間に,基点となる週から2週間ごとに等間隔時系列データ収集法を用いて,6クールのデータ収集を行い,75歳以上の入院患者の全数を調査した.その結果,対象はのベ461名得られ,DRS-Nによってせん妄発症の有無を判定したところ,せん妄発生群96名(DRS-N平均得点16.16点),非せん妄発生群365名(2.44点)となった(発症率20.8%,t=37.687,p=.000).【背景・準備因子】では,「年齢」「入院ルート」「認知症または認知障害」「脳血管障害」「せん妄の既往」の5項目で両群に有意差が認められ,【身体因子・治療因子】で,身体因子の「せん妄を起こしやすい薬物の投与数」「高血圧の既往」「脳血管疾患の既往」「消化器疾患の既往」「感染症徴候(CRP,発熱)」「低血糖/高血糖」「肝機能障害(LDH)」の7項目,治療因子の「緊急手術」「緊急入院」の2項目に有意な差があった.【患者因子】では,日常生活変化の「陸眠障害(夜間不眠,昼夜逆転)」「排尿トラブル(尿失禁,おむつ使用)」「排便トラブル(下痢)」「脱水徴候」「低酸素血症(O2 sat)」「ライン本数」「可動制限(生活自由度)」「視覚障害(眼鏡使用)」の8項目,【周辺因子】では,物理的環境の「部屋移動」,物理的環境への認識/反応の「日にちの確認(カレンダーで確認)」「時間の確認(時計で確認)」「点滴瓶やルートが気になる」の4項目に有意差を認めた.今回抽出できた因子は,せん妄の発症リスクの判断指標となりうるもの,あるいは看護介入によって発症を予防できる可能性をもつものであり,看護職が日々のケアの中で介入可能なものに対して介入方法とその効果を明確にしていくことが今後必要であると考えられた.
著者
山田 恵一
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.43-64, 2001

<p>本論文は,セール・アンド・リースバック取引の会計基準等の比較検討を行い,その取引の経済的実質を明らかにし,会計理論上,その妥当な測定方法を提案することを目的としている.検討の結果,セール・アンド・リースバック取引は,経済的実質の相違に基づいてつぎの3つに分類される,1)その取引の経済的実質は,譲渡担保による資金の借入れである,2)その取引の経済的実質は,財産の売買取引とオペレーティング・リース取引とが一体となった取引である,3)その取引の経済的実質は,財産の売買取引と準フルペイアウトを満たすファイナンス・リース取引とが一体となった取引である.したがって,セール・アンド・リースバック取引の測定方法の妥当性については,それぞれの目的の取引の経済的実質を的確に写像する測定方法が必要である.</p>
著者
山田 恵敏 竹下 徹斎 田中 順太郎
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.268-284, 1982-04-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
137
被引用文献数
17 22

Phenols, quinones, chromans, and chromens which have polyprenyl units as the side chains in aromatic compounds, are widely distributed in the natural products and many of these compounds are known as biologically active compounds. This review deals with recent advances in the syntheses of Vitamin E (α-tocopherol and α-tocotrienol), Ubiquinones (Coenzyme Q) and Vitamin K (K1 and K2).
著者
山田 恵子 若泉 謙太 深井 恭佑 磯 博康 祖父江 友孝 柴田 政彦 松平 浩
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.125-134, 2017-09-20 (Released:2017-10-05)
参考文献数
29
被引用文献数
4

目的:就労環境における慢性痛の実態,及び慢性痛が仕事に影響する重症例でのリスク因子を明らかにする.対象と方法:大手製造業A社の首都圏にある1事業所,上記とは別の大手製造業B社の関西圏にある1事業所,及び大手小売業C社の関西圏にある16店舗,計3社18施設の被雇用者を対象に,「からだの痛みに関する調査研究アンケート」を施行した.A社B社では参加者の同意を得たうえでアンケートデータと企業健診の問診データを突合し,基本集計を行うと共に,対象者の生活習慣や心理社会的因子と慢性痛有症との関連について,性年齢調整ロジスティック回帰分析を用いて分析した.結果:調査対象2,544名のうち1,914名(男性1,224,女性690名)から有効回答が得られた(有効回答率75.2%).3か月以上持続する慢性痛を有するものは全解析対象者の42.7%であり,仕事に影響する慢性痛を有するものは全解析対象者の11.3%であった.痛みのない群と比較して,仕事に影響する慢性痛群は,肥満,喫煙習慣,不眠症,ワーカホリック度の高さ,上司・同僚からの支援の乏しさ,仕事の満足度の低さ,仕事の要求度の高さ,仕事のコントロール度の低さ,心理的ストレスの高さ,抑うつ状態と有意に関連があった.考察と結論:就労環境における慢性痛とそのリスク因子の実態が一部明らかとなった.産業衛生分野において健康関連リスク因子として重要視されてきた,肥満,喫煙,不眠症,職場環境,心理的ストレス,抑うつは職場の慢性痛対策をおこなう上でも重要であることが示唆された.
著者
山田 恵吾
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.443-453, 1999-12-30 (Released:2007-12-27)

本稿は、1926年(大正15)年地方官官制改正への千葉県労務当局の対応を通して「自由教育」に対する統制策を検討するものである。 従来、この時期の初等教育実践に関しては、いわゆる「大正自由教育」の展開として師範学校附属小学校や私立校における新しい実践の試みと、それに対する文部省側の政治的抑圧という観点から検討がなされてきており、児童の自発的学習に配慮した教育実践とその研究・運動が体制側に否定されていく過程として捉えられてきている。一方、地域レベルでの初等教育実践の展開については、いくつかの成果が認められるものの、十分検討されることのないまま対立的構図、及び「大正デモクラシー」から「ファシズム」へという歴史的文脈の中に解消される傾向にあったといえる。 そこで本稿では、地域における初等教育のありようを地方政治や地方行政の動向との関わりから捉えなおすことに積極的意義を認め、1920年代に千葉県労務当局が推進した「自由教育」に対する統制策に焦点を当てることにした。とりわけ、1926(大正15)年地方官官制改正(郡役所廃止や学務部設置)が教育行政体制に如何なる変容をもたらし、またそれが「自由教育」への統制策にどう結実していくのかを検討した。その結果、次の点が明らかになった。すなわち、(1)この時期の教育行政の専門家を背景として、(2)1926年地方官官制改正、とりわけ郡役所廃止に伴う公立校の監督指導体制の確立の要請、さらに(3)郡指導監督下の不統一な教育状況に対する県の姿勢を厳しく質した県会の圧力等を諸要因として、県は「自由教育」に対する「統制」を図ったことが明らかとなった。その「統制」とは具体的に千葉県師範学校附属小学校の「自由教育」の模範としての存在感を低下させるとともに、教育実践の新たな基準の創出=「小学校教育改善要項」の制定を通じて、県下公立校の統制を図ることであった。後者では、特に「自由教育」が附小と基本的条件の異なる公立校で実践されることによって生ずる様々な問題を「改善」することを意味していた。一方、「小学校教育改善要項」の基本理念として設定された「教育の郷土化」は、その後、文部省の推進する郷土教育に呼応しつつ、郷土教育展覧会を開催するなど県主導の下に具体化が図られていく。つまり、県の教育行政の自立性は、中央の政策を強化する方向で機能を果たすことになるのである。こうして1920年代の新しい教育実践の試みは、その独自の活動性を後退させるとともに、次第に行政機構内に収斂されていったのである。
著者
山田 恵美
出版者
日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.263-275, 2012-12-25

幼稚園の絵本コーナー内の場所(家具配置),設定(絵本の表紙の見え方)と幼児の絵本の読み方の関係を検討した。場所と読み方の関係からは,絵本コーナーには2人が並んで絵本を広げられる大きさのテーブルと,姿勢や子ども同士の位置関係をフレキシブルに変えられるくつろげるスペースの両方が必要であることが示された。絵本を介した他児との相互作用が見られ,様々な絵本の共有の仕方に柔軟に対応できる空間を用意しておくことが重要であるといえる。設定としての表紙の見えの効果については,実際に読まれる本の多くは表紙が見えるように置かれている本であり,特にコーナーが居場所として定着していない子にとってはディスプレイに飾られた絵本があることがコーナーの利用に効果を持つことが示された。