著者
山田 幸三
出版者
企業家研究フォーラム
雑誌
企業家研究 (ISSN:24340316)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.15-32, 2022-02-20 (Released:2023-03-10)
参考文献数
31

COVID─19 has expanded from early 2020 rapidly and has dramatically revealed the negative aspects of accelerated globalization and pursuit of mobility. In the Age of Living with COVID─19, there will be increasing urgency to rebuild society in a decentralized form, to ensure the independence and resilience of regional cities and communities in Japan.This paper explores the role of family business in regional revitalization by focusing on the relationship between the characteristics of the socioemotional wealth of the family business and entrepreneurship.In order to create regional revitalization, innovation that creates economic and social value by taking advantage of regional characteristics is necessary. This and other elements of regional strength, such as tradition-based innovation and entrepreneurship, the curbing of excessive competition such as cutthroat competition, and a shift from quantitative growth to qualitative growth, are the antithesis of the various problems of modern society that must be reflected on. The key is the producers’ sense of belonging and attachment to the region: the region and their own survival are perceived as two sides of the same coin.This paper insists that the leading force behind regional revitalization is a family business that conducts business succession in the region over a long period of time, retains SEW, and has indigenousness and legitimacy. Family business is expected to play a role in contributing to the realization of a decentralized society as a driving force for an independent local economy.
著者
山田 幸三 伊藤 博之
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.89-99, 2008-12-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
25

有田焼と京焼の陶磁器産地を比較事例とし,産地の分業構造を事業システムの概念に依拠して捉えて形成メカニズムを探る.有田では中核となる窯元が技能や伝統を伝承して産地を方向付けする責任を果たし,産地のヘゲモニーをもってきた.一方,京都では生産者の窯元,顧客,問屋が「顔の見える」関係にある.両地域とも窯元は他者の真似をしないという不文律があった.産地の分業構造は人材育成の仕組みを基盤とする競争の不文律に支えられてきたことを主張する.
著者
北居 明 山田 幸三 伊藤 博之 河合 篤男 吉村 典久 井上 達彦 石川 敬之
出版者
大阪府立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

前年度の研究成果を踏まえ、中部地方を中心に蔵元へのヒアリング調査を行った。また、丹波杜氏記念館へのヒアリング調査も併せて行った。研究者グループが全員集合した研究会を、神戸大学と大阪府立大学中之島キャンパスで計2回行った。中之島キャンパスの研究会では、静岡県立大学の尹大栄准教授を研究会に招聘し、静岡県における酒造りについて研究発表をお願いした。このような研究活動の結果、まず杜氏と蔵元の関係の地域ごとの違いが明らかになった。桶買いが主な製造方法となった灘においては、主な杜氏供給元であった丹波は徐々に杜氏の数を減らして行き、平均年齢も高くなっていることがわかった。また、蔵元へのヒアリング調査からは、桶売り依存度が高い蔵元は、衰退する傾向があることも明らかになった。一方、蔵元の地域にこだわらない杜氏供給によって、南部杜氏は杜氏の数をあまり減らしておらず、若い杜氏も育ちつつあることがわかった。また、杜氏も、複数の蔵元を経験しつつ、ある蔵元での在籍期間が長い方が品評会で高い評価を受けることが明らかになった。その一方で、独自の酵母や発酵技術の開発により、杜氏を用いない蔵元も出現しつつあることが明らかになった。前述の尹准教授による静岡における酒造産業の研究からは、近年独自の酒造りによって品評会で高い評価を受けたり、国内での売上を伸ばしつつある蔵元には、このような蔵元が多いことも示唆された。このように、日本酒産業全体の衰退の中で、伝統的な事業システムである杜氏と蔵元の関係は、近年変貌を遂げつつあり、このような変化が次世代の酒造りに対しても、杜氏への依存度が低い事業システムへの圧力となりうることが予想される。
著者
戸前 壽夫 山田 幸三 于 琳
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

岡山県にあるオンリーワン型中小企業に対してヒアリング調査を行い、その特徴について研究を行った。特定のセグメントに特化することで技術的な強みを築き上げ、セグメント内での高いシェアを有することで寡占的な供給者になっていて、規模の経済を活かしている。地方立地の中小企業であるため、取引先との距離は離れているが、さまざまな工夫で克服していた。地方立地の中小企業の可能性を見出すことができた。