著者
佐治木 弘尚 山田 強 井川 貴詞
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
MEDCHEM NEWS (ISSN:24328618)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.41-46, 2022-02-01 (Released:2022-02-01)
参考文献数
30

重水素標識化合物は、分子内のC-HをC-Dに安定同位体変換しただけの、最も小さな官能基変換を受けた化合物である。しかしHとDを比較すると、質量数には約2倍の差があり、他の各種の安定同位体と比較すると、その同位体効果は必然的に大きくなる。ましてや多重に重水素標識された化合物では、その差異はより大きく発現することとなる。特に質量の変化や結合安定化効果を利用して、非標識化合物を高機能化する研究は盛んに実施されており、その1つが重水素標識医薬品(ヘビードラッグ)の開発である。本稿では、重水素標識による高機能化の事例紹介とともに、重水素標識法のこれまでの到達状況に関する概要を紹介する。
著者
立花 潤三 迫田 章義 門脇 亙 山田 強 玉井 博康 稲永 忍 鈴木 基之
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.123-133, 2011

低炭素社会に向けた厳しい目標の達成には産業部門,民生部門等すべての部門における低炭素化の努力が不可欠であり,我が国の燃料消費の約15%を占めるとされる食料生産・輸送も当然にその対象に挙げられる。本研究ではまず,鳥取県において現在生産されている食料によって鳥取県民全員の栄養素を賄えるか(県内食料自給自足)の検討を行った。その結果マンガン,パントテン酸が少量不足する以外,他の19種類の栄養素に関しては県内産食料で賄え,一部栄養素に関しては供給過多であることが分かった。次に,県内食料自給自足の条件下において,移入だけを行わない場合は現状の生産・輸送エネルギーの約1割,生産量を一律1割削減した場合は約2割,現在県内生産量が2000[t/year]を超える食料品のみを生産することを条件とした場合には約3割,そして最もエネルギーが小さくなる食料生産を選択した場合には約5割のエネルギーを削減する事ができることが推算された。