著者
春原 亘 稲永 忍 劉 忠民 喜多 富美治
出版者
Japanese Society of Farm Work Research
雑誌
農作業研究 (ISSN:03891763)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.25-32, 1991-03-20 (Released:2010-02-09)
参考文献数
3

The authors made the survey of usual farm works for improving the cropping system as a part of the researches on the greenification of the loess plateau in China.In this paper, we described social and natural conditions of the loess plateau and agricultural indices of the surveyed district, and then the results of the survey which was carried out on the sequence of crops at one village.It was estimated that there were two kinds of crop-rotations. One was 4 years rotation, i.e. pes→wheat→millet or flax (edible oil), and another was 5 years rotation, i.e. pea→wheat→wheat→wheat→millet or flax (edible oil).Specific characters of estimated sequence of crops were discussed from the view points of trapping and holding rain-water in soil, fertility of soil, securing of food and edible oil, and seasonal dispersion of labor force.
著者
立花 潤三 迫田 章義 門脇 亙 山田 強 玉井 博康 稲永 忍 鈴木 基之
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.123-133, 2011

低炭素社会に向けた厳しい目標の達成には産業部門,民生部門等すべての部門における低炭素化の努力が不可欠であり,我が国の燃料消費の約15%を占めるとされる食料生産・輸送も当然にその対象に挙げられる。本研究ではまず,鳥取県において現在生産されている食料によって鳥取県民全員の栄養素を賄えるか(県内食料自給自足)の検討を行った。その結果マンガン,パントテン酸が少量不足する以外,他の19種類の栄養素に関しては県内産食料で賄え,一部栄養素に関しては供給過多であることが分かった。次に,県内食料自給自足の条件下において,移入だけを行わない場合は現状の生産・輸送エネルギーの約1割,生産量を一律1割削減した場合は約2割,現在県内生産量が2000[t/year]を超える食料品のみを生産することを条件とした場合には約3割,そして最もエネルギーが小さくなる食料生産を選択した場合には約5割のエネルギーを削減する事ができることが推算された。
著者
伊藤 浩司 稲永 忍
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.90-96, 1988-03-05
被引用文献数
5

ネピアグラス(品種メルケロン)について, 東京及び宮崎における植え付け当年の乾物生産力及び生長パラメーターを比較する目的で実験を行なった. 東京では1985年5月20日, 宮崎では1984年及び1986年の5月1日に苗を植え付け, 多肥条件下で圃場栽培した材料につき, 初霜直前の時期まで, 生長解析を行なった. 栽培終期は, 東京では11月上旬, 宮崎では11月中旬であった. 植物体全乾物重の栽培終期における値は, 東京では39.3t/ha, 宮崎の1984年度では51.8t/ha, 1986年度では40.1t/haであり, 必ずしも常に宮崎の方が高いという傾向はなく, いずれも南九州以北の耕地における各種作物の生産力の最高位値に匹敵する. 6月下旬以前及び9月上旬以後の期間は, 宮崎に比べて東京の方が, 気温及び日射量が低く生産速度も低い. また, 秋の気温低下に伴って生産が殆ど停止する時期は, 東京の方が早い. しかし, 7月上旬から8月下旬にかけては, 両地域の気温はほぼ等しく, 日射量は東京の方が低いにも拘らず, 宮崎の両年度に比べて東京の方が, 葉面積指数の増大速度が高いとともに吸光係数が小さく, 純同化率は高い. そのため, 葉面積指数の増大に伴う個体群生長速度の増加勾配及び最高値はともに東京の方が高くなる. このことは, 東京における, 生産可能期間が短く栽培期間中の気温及び日射量が概して低いことに伴う生産力の低下を, 補償することとなる.
著者
杉本 幸裕 稲永 忍
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

コウモリカズラ(M.Dauricum)培養根の生産するストライガ(Striga hermonthica)の発芽刺激物質の精製を行った。活性物質をXAD-4に吸着させ、メタノールで溶出し、溶媒留去後、酢酸エチルで回収した。その後Sephadex LH20、C18 SEP-Pak Cartridgeを用いて精製し最終的にHPLC分取により単離した。これらの過程で、活性はコンディショニングしたストライガ種子を用いた生物検定により測定した。その結果、3種の発芽刺激物質を見出した。このうち最も高い活性は、HPLCでストリゴールと同じ位置に溶出された。また、分取された画分のUV吸収スペクトルはストリゴールおよびストリゴール類縁体のソルゴラクトンの文献値ときわめてよく似ていた。マススペクトルはストリゴールの文献値とよく似た開裂パターンを示した。以上から、コウモリカヅラ培養根の生産する主なストライカ発芽刺激物質はストリゴール、またはストリゴール類縁体であると考えられた。本研究の結果、非宿主植物のコウモリカズラ培養根がストリゴール、またはストリゴール類縁体を生産していることが明らかになった。新規な発芽刺激物質の発見には至らなかったが、ストリゴール類が植物の代謝産物であることを初めて明らかにした。