著者
白木 達朗 中村 龍 姥浦 道生 立花 潤三 後藤 尚弘 藤江 幸一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究論文集 (ISSN:13459597)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.135-142, 2006-10-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
30
被引用文献数
1

本研究は地産地消による環境負荷の変化を評価することを目的とした. キャベツとトマトに着目し, 地産地消によるCO2排出量削減効果を生産と輸送工程を考慮して推計した. その結果, キャベツは年間で12, 000tのCO2排出量を削減する可能性が示唆されたが, トマトは6, 000tに留まった. 生産の時期をずらす旬産旬消の効果を推計した結果, トマトは冬春から夏秋に一人当たり150gの消費量をシフトすることによって13, 000tのCO2削減効果が示唆されたが, キャベツは同程度のCO2削減効果を得るためには2, 000gを夏秋から春ヘシフトしなければならないという結果になった. 農業からのCO2排出量を削減するためには, 産地や季節を考慮した適産適消が有効である.
著者
長沼 悠介 立花 潤三 後藤 尚弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.II_351-II_359, 2014 (Released:2015-02-28)
参考文献数
27

本研究では,代表的な食料8種類について,食料供給システム(食料生産・流通・消費)における食料フローを解析し,1965年から2005年までの各消費量,食品ロス量,食料供給に係る投入エネルギー及び二酸化炭素排出量を明らかにした.二酸化炭素排出量は2005年において約5,400万t-CO2(日本の二酸化炭素総排出量の約4.5%)であることが明らかになった.また,国民が摂取した熱量(摂取熱量)と食料供給に要した熱量(投入エネルギー)の乖離幅と食品廃棄物量に関係があることが明らかになった.そして,必要とする栄養素量を満たしながら,投入エネルギーが最も少ない低炭素型の食生活を線形計画法によって明らかにした.その結果,穀類・豆類・肉類等の摂取を増加し,野菜類・魚介類等の摂取を減少させる解が得られた.この食生活を日本人全員が行うと,年間で約500万t-CO2の削減が可能である.
著者
立花 潤三 周 敦史 蒲原 弘継 後藤 尚弘
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.277-288, 2014-09-30 (Released:2015-10-06)
参考文献数
16
被引用文献数
1

陶磁器は少量多種のため使用後のリサイクルが進んでいない。陶磁器の産地では使用済み陶磁器を粉砕して,再生陶磁器の開発が実施されている。しかし,再生陶磁器の環境負荷低減効果,経済的効果は定量的に評価されていない。本研究では,再生陶磁器の環境・経済面の効果を明らかにするために,愛知県瀬戸市において開発された低温焼成再生陶磁器「Re 瀬ッ戸」のMFCA-LCA統合評価を行った。その結果,MFCAに関しては,資源ロスを表す負の製品コストが再生陶磁器製造では既存瀬戸焼と比較して粉砕・製土工程で20%,製造工程で1.0%低下した。また,環境影響については,粉砕・製土工程でLIME統合化指標が9.2%,製造工程で8.6%低下,全体では8.3%低下した。以上より,再生陶磁器の環境・経済面の有効性が明らかになった。
著者
立花 潤三 迫田 章義 門脇 亙 山田 強 玉井 博康 稲永 忍 鈴木 基之
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.123-133, 2011

低炭素社会に向けた厳しい目標の達成には産業部門,民生部門等すべての部門における低炭素化の努力が不可欠であり,我が国の燃料消費の約15%を占めるとされる食料生産・輸送も当然にその対象に挙げられる。本研究ではまず,鳥取県において現在生産されている食料によって鳥取県民全員の栄養素を賄えるか(県内食料自給自足)の検討を行った。その結果マンガン,パントテン酸が少量不足する以外,他の19種類の栄養素に関しては県内産食料で賄え,一部栄養素に関しては供給過多であることが分かった。次に,県内食料自給自足の条件下において,移入だけを行わない場合は現状の生産・輸送エネルギーの約1割,生産量を一律1割削減した場合は約2割,現在県内生産量が2000[t/year]を超える食料品のみを生産することを条件とした場合には約3割,そして最もエネルギーが小さくなる食料生産を選択した場合には約5割のエネルギーを削減する事ができることが推算された。