著者
山田 明子 栗原 琴美 立木 規与秀 重光 胤明 福家 顕宏 山口 利昌 山上 啓子 南 美枝子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.1, pp.92-98, 2016-01-10 (Released:2017-01-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

症例は36歳,女性.発熱,嘔吐,下痢症状に続いて筋肉痛,四肢脱力が生じ,ショック状態となり,救急搬送.全身性浮腫と血液濃縮所見,低アルブミン血症,筋逸脱酵素の上昇を認め,血管透過性亢進による循環血漿量減少性ショック及び横紋筋融解症と診断した.大量補液とカテコラミン,アルブミン,ステロイドホルモンの投与を行い,病状は改善した.約3年前より程度の差はあるが,数カ月おきに同様のエピソードを繰り返していた.除外診断を行い,IgG-κ型のM蛋白血症を認めたことからSystemic capillary leak syndrome(SCLS)と診断した.
著者
笠置 智道 高見 和久 山田 明子 坂井 聡美 原 高志 酒井 勝央 安田 圭吾 今井 裕一
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.336-341, 2015-05-30 (Released:2015-06-01)
参考文献数
11

症例はうつ病の36歳女性.糖尿病は未診断.入院1週間前より食事をせず飲酒のみの生活が続き,反復する嘔吐と共に意識状態が悪化し救急搬送された.糖尿病性ケトアシドーシスと診断しインスリン持続投与を開始.それに伴い血清K値は入院時の2.7 mEq/lから1.3 mEq/lまで低下したため,インスリン投与を一時中断しその間72時間で計660 mEqのKを補充した.その後血中ケトン体は減少するもアシデミアがさらに進行し,低Alb血症,低P血症を伴い複雑な酸塩基平衡異常を呈した.Stewartのphysicochemical approachにより酸塩基平衡を解析すると,強イオン性代謝性アシドーシスが主体で,原因として希釈,大量食塩水負荷,急性尿細管障害,ケトン体尿排泄の関与が示唆された.種々の電解質の欠乏を伴った酸塩基,水電解質平衡を総合的に理解するためにStewart法が有用であった.
著者
山田 明子 玉置 幸雄 久永 豊 石川 博之
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic Waves. Japanese edition = 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13490303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.85-94, 2004-06-25
参考文献数
25
被引用文献数
3

骨格性下顎前突症の患者に適用される外科的矯正治療では,下顎枝矢状分割術と上下顎移動術の2つの術式が多用されているが,術後の軟組織側貌を予測するためには,両術式による硬組織変化が軟組織変化に与える影響や,術式間の相違を把握することが重要である.そこで本研究では,骨格性下顎前突症と診断され外科的矯正治療を適用した女子50症例を対象として,下顎枝矢状分割術と上下顎移動術を施行したそれぞれ25症例について,歯槽性および骨格性の変化と軟組織変化との相関性を比較検討した.その結果,両群ともに顎関係の変化が大きいほどNasolabial angleが増加し,また下唇最深点が後退する関係が認められた.さらに,上下顎移動群では,Interincisal angleの減少にともない上唇点が前方へ,下唇点および下唇最深点が後退する関係が認められた.上下顎移動群では骨格性および歯槽性変化の双方において軟組織変化との有意な相関が認められたが,下顎枝矢状分割群では骨格性変化にのみ軟組織変化との有意な相関が認められた.これについては,下顎枝矢状分割群では上下顎移動群よりも下顎骨の後方移動に伴い下顎骨に付着する筋肉や軟組織にかかる緊張が大きくなりやすく,骨格性変化が歯槽性変化よりも軟組織変化に大きく影響するためと考えられた.以上から,下顎枝矢状分割術単独を施行する場合と上下顎移動術を行う場合では,術前矯正治療による前歯歯軸傾斜の変化が治療後の顔貌に与える影響が異なっており,この点を考慮した上で治療計画を立案する必要のあることが示唆された.(Orthod Waves-Jpn Ed 63(2):85~94,2004)