著者
奥 恒行 中村 禎子 岡崎 光子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.89-99, 1998-04-01 (Released:2010-02-09)
参考文献数
16
被引用文献数
1

女子大生について, 排便及び便性状 (形, 量, 色, 臭い) に及ぼす低分子化アルギン酸-Na含有飲料 (1缶150ml, 低分子化アルギン酸-Na4g) 摂取の影響をプラセボ飲料摂取と比較した。結果は次のとおりである。1) 1週間当たりの排便日数は, アルギン酸飲料1缶以上を摂取した時“軽い便秘群”において用量依存的に有意に増加したが,“正常排便群”においては有意な改善は認められなかった。また, プラセボ飲料摂取では,“軽い便秘群”,“正常排便群”のいずれにおいてもこのような改善は認められなかった。2) アルギン酸飲料1缶以上を摂取した時“軽い便秘群”の便形状は軟化して“正常排便群”の形状に近づいたが, プラセボ飲料摂取ではこのような改善はみられなかった。3) アルギン酸飲料1缶以上の摂取で“正常排便群”の便量に増大がみられ, 2缶摂取では“軽い便秘群”に顕著な増量効果が出現して“正常排便群”の便量に近づいた。プラセボ飲料摂取ではこのような改善はみられなかった。4) アルギン酸飲料1缶以上の摂取で“正常排便群”と“軽い便秘群”に便の色の改善がみられたが, 2缶摂取では“軽い便秘群”の効果が顕著になり,“正常排便群”の便の色に近づいた。プラセボ飲料摂取ではこのような改善はみられなかった。5) アルギン酸飲料1缶摂取で“軽い便秘群”に便臭の改善がみられたが, 2缶摂取では“正常排便群”にも改善がみられた。プラセボ飲料摂取ではこのような改善はみられなかった。以上の結果, アルギン酸飲料 (150ml/缶, 低分子化アルギン酸-Na4g) 1缶以上の摂取によって排便及び便性状 (形, 量, 色, 臭い) の改善効果が期待できるとの示唆を得た。
著者
奥 恒行 岡崎 光子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.201-207, 1999-08-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
19
被引用文献数
8 8

健康な女子学生17名 (延22名) について, ガラクトシルスクロースの1日総摂取量を同一にして一括摂取した場合と1日2-3回に分散して摂取した場合の下痢に対する最大無作用量への影響を観察した。ガラクトシルスクロース60gの一括摂取では被験者14人中9人 (64.2%) が下痢を生じ, 45g一括摂取では被験者8人中3人 (37.5%) が下痢を生じた。しかし, 1日2-3回に分割摂取した場合, 下痢はいずれの被験者にも観察されなかった。さらに, ガラクトシルスクロース60gの一括摂取で下痢を生じた被験者9人のうち5人に30gの3回摂取 (1日90g) させたところ, 3名は下痢を生じなかった。すなわち, ガラクトシルスクロースを分割摂取する場合の下痢に対する最大無作用量は同量の一括摂取よりもかなり高くなるととが明らかになった。ガラクトシルスクロースの一括摂取による最大無作用量は体重kg当り0.80gで, 他の難消化吸収性糖質のそれの2倍以上であった。また, 腹部症状のうち「吐き気」「上部腹痛」「悪心」は, 試験物質量が多い一括摂取にみられ,「グル音」は2-3回分割摂取に多かった。「違和感」「おなら」「おなかが張る」はいずれの摂取時にも観察された。
著者
岡崎 光子 矢崎 美智子 豊川 裕之
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.219-226, 1974

Not few investigators have story interest on the relation between food intake and mortality. From the viewpoint of Dr. Kondo, we have also been motivated to survey Yonaguni Island of the Ryukyu Islands.<br>Dr. Kondo suggested that food consumption in this island would be characteristic and biased to the large intake of fish and meat.<br>But nobody can exactly describe the status of food in Yonaguni Island because no dietary survey on its inhabitants has been conducted.<br>We had a happy chance to do make a dietary survey there in October 1973, in jointwork of the Yaeyama Health Center.<br>Subjects; The subjects of this survey were fifty eight families selected at random from three hamlets (Sonai, Kubra and Hikawa)<br>Results; The results are shown below.<br>1. The intake of calories, protein, fat and vitamin C was estimated to be higher than the average of the Japanese National Nutrition Survey of 1971.<br>On the other hand calcium and vitamin B<sub>2</sub> was estimated as fairly lower than national levels.<br>2. In comparison with those surveys, the amount of several food items; fish, meat, green and yellow vegetables in Yonaguni are estimated to be higher than the National Level and Okinawa Island.<br>3. Food intake patterns differ among the three hamlets, which compose the community of an isolated island.<br>4. On the other hand, there is little difference in food preparation among them.<br>5. From above it may be said that the dietary intake of the hamlets is in unity, whereas food preparation is definite as the whole island.
著者
岡崎 光子 柳沼 裕子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.61-69, 2001
被引用文献数
3

食物の噛みごたえ量や食べ方, 保護者の食事づくりに対する態度などが, 幼児の咀嚼能力や歯の擦り減りとどのように関連しているかについて検討した。<br>1) 歯の擦り減りが観察された幼児は22.8%であり, むし歯や不正咬合が観察された幼児の割合より多かった。<br>2) 歯の擦り減りは4歳児より5歳児, そして1~2歳の頃にタオルしゃぶり癖のあった幼児に多かった。<br>3) 擦り減りは, 口腔機能の発達を考慮して離乳食を与えられたり, 現在, 手づくりの食事を心がけられている幼児に多かった。<br>4) 擦り減りは, 外食の多い幼児に少なかった。<br>5) 歯の擦り減りあり群の幼児の咬合力は, 擦り減りなし群に比較し, 大きかった。<br>6) 外食の少ない幼児, 市販食品の使用頻度の少ない幼児の咬合力は, そのような状況にない幼児に比較し大きかった。<br>7) 咬合力に影響を及ぼす食品として, いか (煮), 豚ヒレ肉, 油揚げ, ほうれん草が選出された。<br>8) 咬合力は, 食物繊維摂取量と有意な相関関係がみられた。<br>9) 母親の離乳食の与え方や食事づくり, 食事の食べさせ方に関する態度と食物繊維摂取量に関連がみられた。