著者
鈴木 創三 田中 治夫 浮田 美央 斉藤 政一 杉田 亮平 高橋 直史 古川 信雄 矢野 直樹 双胡爾 竹迫 紘 岡崎 正規 豊田 剛己 隅田 裕明 犬伏 和之
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.9-16, 2005-03-31
被引用文献数
1

千葉大学森林環境園芸(利根高冷地)農場内の森林土壌および果樹園土壌(地点名は各TNF-3およびTNO-5)の無機成分および粘土鉱物組成を分析した結果,以下のことが明らかとなった.1.両土壌ともに,現在の表層と下層の土壌の下に過去の表層と下層の土壌が埋没し,それぞれA/Bw/2A/2Bw層およびAp/2BC/3BC/4Bw/5AB/6A層の配列であった.2.両土壌ともに可給態リン酸含量は表層(A, Ap層)が下層よりも高く,とくにTNO-5のAp層はTNF-3のA層より8倍程度も高かった.逆にリン酸吸収係数はA, Ap層が下層より低く,リン酸吸収係数とアロフェン推定含量とは高い正の相関関係が認められた.3.陽イオン交換容量はTNF-3ではA層のほうがBw, 2A, 2Bw層より高かったが,TNO-5ではAp層より5AB, 6A層のほうが高かった.交換性のカルシウム,マグネシウム,カリウム含量および塩基飽和度はTNF-3よりTNO-5が大きかった.4.両土壌ともに,A, Ap層は下層よりも粗砂の割合が大きく,粘土,シルトおよび細砂の割合が小さかった.5.両土壌ともに,A, Ap層の酸化物(OX),非晶質粘土鉱物(AC)および結晶性粘土鉱物(CC)の割合は概ね30, 40および30%であった.しかし,TNF-3の2A層,TNO-5の4Bw, 5ABおよび6A層ではOX, AC, CCの割合は約10, 30および60%で,A, Ap層よりOX, ACの割合が小さく,CCの割合が大きかった.6.両土壌ともに,結晶性粘土鉱物組成はいずれの層もアルミニウム-バーミキュライト(Al-Vt)およびクロライト(Ch)を主体とし,これにアルミニウム-スメクタイト(Al-Sm),スメクタイト(Sm)およびバーミキュライト(Vt)が含まれる組成であった.
著者
岡崎 正規 山根 一郎 佐藤 幸一 小林 裕志
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.219-225, 1983

青森県十和田湖の北東部の火山灰地帯の山間部において,草地基盤を造成した。切盛土工は,急傾斜の局部だけをえらび,盛土の縁端部には転圧工法を適用して崩壊防止策を講じた。その切土部,盛土部の両方に牧草を生育させねぼならない。まず盛土部において種々の方法によって牧草栽培の試験を行った。盛土部には,この地域の土壌の下層土で,しかも不良土であるアオバンとアカツチとがほぼ1:2の割合で混合されていたが,適切な施肥を行えば良好な牧草地を確立することができた。すなわち,10aあたりイタリアンライグラス,オーチャードグラスをそれぞれ2kg,ラジノクローバー1kgを用い,元肥には苦土石灰100〜150kg,P_2O_530kg,NとK_2Oを5kg施用したのち雨天日の多い晩夏8月中下旬に播種する。そして翌春早く,N,P_2O_5,K_2Oをそれぞれ5kgづつ追肥に用いればよいと思われる。
著者
米林 甲陽 JONG Foh Sho CHAI Oi Khun LIM Chin Pan 糟谷 信彦 舟川 晋也 金子 信博 犬伏 和之 岡崎 正規 足立 忠司 松本 聰 有賀 祐勝 CAO Van Sung ERNEST Chai YUSUP Sobeng 金子 隆行
出版者
京都府立大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

東マレーシア・サラワク州シブのナマン泥炭地自然保護林内において土壌調査,森林植生調査を行った。アッサン川岸から森林内部に入るに従い地下水位は低まり,泥炭に埋没している木質量は表層で減少していた。泥炭湿地林は周辺部から中心部に向けて同心円状に変化し,川に近い周辺部は混合湿地林であるが,3kmより奥はフタバガキ(アラン)の純林となっている。泥炭湿地林の林床は局所的に凹凸を示すため,微地形の定量化と凹地と凸地での落葉分解速度,土壌動物の生息密度を測定した。凹地と凸地の高低差は最大1mであった。凸地は大きな木の周りの根の盛り上がった場所であり,若木は凸地にしか見られない。木の存在が微地形の形成に関与し,さらに微地形が樹木の実生の定着に影響していることが明らかとなった。リターバッグ法で測定した落葉の分解速度は凸地で高く,他の熱帯林と同様の値を示した。凹地ではリターバッグ中のリターはほとんど形態変化しておらず,重量変化はリーチングによるものである。また,凹地には土壌動物はほとんど生息していないことが明らかとなった。泥炭湿地林ではシロアリが比較的少なく,ミミズも採取されていない。一方,小型節足動物であるササラダニは凸地で極めて高い密度を示した。リターフォール量の測定と養分分析を行った結果,リターフォールの季節変化は認められず,年間を通してほぼ一定量のリターが林床に供給されており,その量は8.35トン/年であった。この量は他の熱帯林で報告されている値の範囲内にある。また,養分還元量も他の熱帯林にほぼ匹敵する値を示し,特にリンの還元量は比較的多かった。熱帯湿地林は貧栄養な条件下で有機物分解が抑制されながら成立していると考えられているが,泥炭地の周辺部に位置する混合湿地林では,リターフォール量,養分還元量から考えると,栄養塩類が特に不足しているとは考えられない。養分元素の循環量を評価するため,地下30cm,80cmの土壌間隙水を毎月採水して日本に送付し,無機成分分析を行った。泥炭地周辺部では土壌間隙水中の窒素,リンの濃度は決して低くなく,日本の都市河川水に匹敵する値を示した。しかし,湿地林の奥地のアラン林下では下層のリン濃度が低いことを認めた。森林の自己施肥機能による養分循環量が高いことを示唆する。ムカのタウラ泥炭試験場において,地中探査機を用いてレーダー探査を行ない,20×10mの開墾地を幅1mおきに走査した。探査地点で長さ10m深さ1mのトレンチを掘り,断面を精査しレーダー探査結果と比較した結果,よく一致しており,泥炭土壌における埋没大径木の分布状態の図化が可能となった。泥炭地における持続的開発のための最重点作目としてサゴヤシをとりあげ,タウラ泥炭地試験場サゴ圃場,周辺サゴ栽培農家圃場で、土壌調査,サゴヤシの伐倒調査を行った。サゴヤシの生育測定を行なった結果,泥炭層の厚い圃場では泥炭層の薄い圃場に比べて成長が遅く,幹にデンプンを蓄積するまで時間がかかることを認めた。また,厚い泥炭で生育したサゴヤシ中の銅濃度はきわめて低く,亜鉛濃度は鉱質土壌の場合の2分の1であった。泥炭地のサゴヤシ栽培生態系における微量元素の循環量を,雨水による付加量,排水による流出量,サゴヤシの収穫による搬出量から計算した。銅は系内に蓄積される傾向が見られたが,亜鉛は系外に失われていく傾向にあることが明らかとなった。泥炭地から発生しているメタンをチャンバー法により測定し、湛水下層土から多量のメタン放出を認めた。メタン発生活性は表層付近で高かったが,好気条件での潜在的メタン酸化活性は全層で検出された。泥炭土壌中の微生物バイオマス量は表層で最も高く,下層ほど低下する傾向を示した。タイ国ソンクラ湖南湖で水質分析,プランクトン,クロロフィル測定等を行った。懸濁物質濃度は雨期に高く,乾期に低い傾向が認められた。クロロフィルaを指標とする植物プランクトン量は比較的低レベルであり,顕著な季節変動は認められなかった。さらに,湖底堆積物の性質は,内陸と外洋に接する部分で全く異なり,外洋側底泥土は酸性硫酸土壌であるため,酸化状態で著しい酸性を示すが,内陸側底泥土は陸地還元が可能であることを明らかにした。
著者
吉村 季織 岡崎 正規 中川 直哉
出版者
Society of Computer Chemistry, Japan
雑誌
Journal of computer chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.49-56, 2003-06-15
被引用文献数
1 1

Microsoft Excelに添付されている最適解の検索ツール、ソルバーを用いて滴定曲線から試料溶液のp<I>K</I>分布を見積もった。p<I>K</I>分布はp<I>K</I>と濃度の関係を示し、不均一表面などの分析に用いられている。滴定曲線は、クエン酸水溶液を水酸化ナトリウム溶液で滴定することによって得た。滴定曲線の式を線形で表し、Excel ソルバーの線形計画法によって実験値にフィッティングした。Excel ソルバー によって見積もられたp<I>K</I>分布は、シンプレックス法を用いた自作プログラムで見積もったp<I>K</I>分布と比べても遜色がないものであった。p<I>K</I>分布の見積もりに、Excel ソルバーを充分に活用できることを示すとともに、すべてのExcelユーザが気軽にp<I>K</I>分布を見積もることができることを示している。