著者
岡田 庄生
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングレビュー (ISSN:24350443)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.40-47, 2020-03-04 (Released:2020-03-04)
参考文献数
23
被引用文献数
1

ユーザー(消費者)が企業の製品開発プロセスに参加する共創活動が活性化している。また,ユーザーのアイデアで生まれた製品であるという情報表示は,一般消費者の購買意向を高める効果がある。ユーザー創造製品の情報表示の有効性の背景を探る研究が進んでいるものの,ユーザー創造製品の情報表示と消費者の購買行動における動機との関係は十分に明らかになっていない。本研究は,ユーザー創造製品の情報表示が製品選択に与える影響の媒介要因を,制御焦点理論を用いて定量的に分析した。その結果,ユーザー創造製品の情報表示は,消費者の予防焦点と促進焦点を媒介して,製品選択に正の影響を与える事が明らかになった。ただし,消費者の製品関与の高さは促進焦点の媒介効果に負の影響を与える事が確認された。
著者
岡田 庄生
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.61-67, 2019-09-27 (Released:2019-09-27)
参考文献数
35
被引用文献数
7

企業の新製品開発プロセスに参加するユーザー(消費者)が増えている。企業はユーザーから製品アイデアを得るだけでなく,ユーザーのアイデアから生まれた製品であるという情報を表示することで,その表示を見た消費者の購買意向を高めることが可能である。本稿では,製品アイデアの発案者が企業ではなくユーザーであることを明示することで,消費者が購買の意思決定に影響を与える効果を「発案者効果(Originator Effect)」と名付け,その既存研究を整理する。発案者効果の既存研究は,以下の2つの潮流,すなわち(1)発案者効果の背景を探る「媒介要因研究」,(2)発案者効果が失われる条件を探る「境界条件研究」に分類して整理できる。また,発案者効果研究の発展のため,今後の研究課題として,(1)媒介要因研究の課題,(2)境界条件研究の課題,(3)両研究における研究方法の課題を提示した。
著者
岡田 庄生 西川 英彦
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.85-94, 2022-01-07 (Released:2022-01-07)
参考文献数
14

近年,クラウドソーシングを新製品開発に活用する企業は増えているが,十分な数のアイデアが集まらないなどの要因で,失敗に終わることも多い。こうした中,知名度がないにも関わらず,アイデア投稿数を継続的に増加させ,商品化を実現しているのが,百円均一商品に特化したモバイル向けのクラウドソーシング・プラットフォームの「みん100」である。本稿では,みん100の仕組みの変遷や,開発プロセス,ヒット商品の事例を確認しつつ,顧客志向をもとに仕組みを進化させてきたことを理解する。その上で,みん100の実現した,モバイル・クラウドシーシング・プラットフォームが持つ,3つの優れた点,すなわち,(1)モバイルファースト,(2)共通認識,(3)プロセスマネジメントについて述べる。
著者
岡田 庄生
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.32-43, 2024-01-10 (Released:2024-01-10)
参考文献数
34

デジタルの進化と共に,ユーザー共創型の新製品開発が増えている。そのような新製品を販売する際,ユーザーのアイデアから生まれたと伝えることで消費者の購買意向を高める「発案者効果」の存在が既存研究で明らかになっているが,その効果が失われる境界条件については十分に解明されているとはいえない。そこで本研究では,制御焦点理論に着目して,制御焦点の違いが発案者効果の境界条件に与える影響を探るための実験を行った。具体的には,複雑さが高い製品における促進焦点型の製品タイプに関する実験と,複雑さが低い製品における予防焦点型の広告メッセージに関する実験を行った。その結果,発案者効果が失われるとされる複雑さが高い製品であっても,促進焦点型の製品タイプでは発案者効果が得られることが明らかになった。また,複雑さが低い製品において,予防焦点型の広告メッセージとユーザー発案情報とは,負の交互作用効果があることも明らかになった。