著者
秋谷 直矩 丹羽 仁史 岡田 真依 山崎 敬一 小林 貴訓 久野 義徳 山崎 晶子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.302-313, 2009-01-15

高齢者介護施設において,高齢者とスムーズにコミュニケーションができるロボットを開発するためには,まず,「いかにしてロボットと高齢者がコミュニケーションチャンネルを確立するのか」ということを考えなければならない.そこで,高齢者介護施設における複数人環境でのケアワーカーと高齢者のコミュニケーションチャンネルの作り方を観察した.分析方法として,社会学の一領域であるエスノメソドロジーを用いた.そこでは,行為を始めることを可能にする「対応可能性」,指向の重なりを示す「受け手性」,そして指向の重なりを参与者相互が理解したことを示す「理解の表示」という一連の手続きの制度的特徴が見られた.この調査結果をリソースとして,ロボット開発を行った.その印象評価実験を行ったところ,開発したロボットがユーザに親近感や安心感を与えることが分かった.この実験の結果は,本稿の取り組みが一定の有効性を持つということと,人びとの日常的実践の場面において社会学の手法を用いて調査し,その結果を開発に生かすということの方法論的意義を示した.
著者
星 洋輔 小林 貴訓 久野 義徳 岡田 真依 山崎 敬一 山崎 晶子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.764-772, 2009-11-01
被引用文献数
1

我々は,美術館での学芸員と観客の相互行為を,言葉と身体の動きの連動に焦点を当て,エスノメソドロジーの観点から調査・分析してきた.その結果,ロボットが作品の説明を行う場合でも,文の切れ目などの適切なタイミング(TRP)で,観客の方向へ正しく振り向くことが,観客の反応を増加させることが分かった.このような観客の反応の増加は,観客をロボットの説明に引き付けることができたためと考えられるが,これまでの知見は実験室での実験によるものであるため,実際の美術館においても同様の結果が得られるかどうかは確認できていない.そこで,本論文では,実際の美術館において実施した実験とその結果について述べる.まず,実際の美術館では観客に対して立ち位置の指定などはできないため,説明対象者の頭部を検出・追跡して正しくその方向へ振り向くことができるロボットを新たに開発した.そして,実際の美術館において,実験目的やロボットの動作に関する知識を一切もたない一般の観客に対して,ロボットによる作品の説明実験を行った.その結果,これまでの実験室での実験結果と同様に,高い割合で観客の同期的な反応を促すことができた.