著者
大前 敦巳 岡山 茂 田川 千尋 白鳥 義彦 山崎 晶子 木方 十根 隠岐 さや香 上垣 豊 中村 征樹
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

大学は都市の発達とともに拡大発展を遂げてきた。両者の間にどのような歴史的関係性を築いてきたか、学際的な観点から問い直すことが、今日世界的に注目されている。本研究は、中央集権の近代国民国家を形成した日本とフランスを対象に、都市との相互浸透性の中で大学が拡大し、学問が変容してきた歴史をたどり、大学人にとどまらない重層的な行為者との関わりを考慮に入れた国際比較を企てる。その基底に潜在する学問的無意識を、日仏の経路依存性の違いをふまえながら省察し、今日のグローバル化する共通課題に対し、大学のユニバーサリズムとローカリズムを両立させる持続的発展がいかに可能になるか、国際的な議論と対話を展開する。
著者
山崎 晶子
出版者
一橋大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-08-30

フランスにおいて、エリートの再生産が階層の固定化を促進していると言われている。しかし、研究代表者は中等教育未修了程度の学歴もしくは移民の親を持ちながら出身階層を乗り越えてエリートとなった人物(非再生産型エリート)と少なからず出会ってきた。親から継承する「資本」を持たない彼らはいかに階層を上昇することができたのだろうか。この問いの解明のために、本研究は、主に非再生産型エリートを対象とするライフストーリー・インタビューを実施する。この調査によって、従来型と言える再生産システムによるエリート形成との違いを示しながら、21世紀のフランスにおけるエリート形成過程の多様性と階層の乗り越え方を見いだす。
著者
山崎 敬一 山崎 晶子 久野 義徳 池田 佳子 今井 倫太 小野 哲雄 五十嵐 素子 樫村 志郎 小林 亜子 関 由起子 森本 郁代 バーデルスキー マシュー 川島 理恵 中西 英之 小林 貴訓
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、人間の言語的・身体的相互行為とそれを支援する身体化されたテクノロジーのデザインに関心を持つ社会学者とロボット工学者の共同研究である。本研究では多文化に対応する身体化されたテクノロジーを開発するために、海外のミュージアム等で研究を行い、そこでの人間同士の言語的・身体的行為をヴィデオエスノグラフィーの手法で分析した。また、日本語話者と英語話者に対する比較ロボット実験と、日本とハワイを結ぶ遠隔ロボット実験を行った。
著者
菅 靖子 山崎 晶子 山崎 敬一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.1-10, 2003
参考文献数
14
被引用文献数
1

本稿は,ミュージアム研究の展示空間における観客の相互行為に焦点を当てた鑑賞の「質」的分析を行うことにより,観客同士がつくりだす共有空間の形成の重要性および鑑賞行為における観客の相互関係を明らかにしたものである。特に,本研究では,これまで着目されていなかった共有空間に参与する「傍観者(bystander)」の役割に注目して,鑑賞行為を分析した。傍観者(bystander)と実践者との基本的な関係について,個別的なケースからより基本的な構造を分析し解明した結果,ミュージアムの展示において,傍観者(bystander)の動きは,共有空間の形成に参与するだけではなく,鑑賞行為全般を導くものである。なぜなら,傍観者(bystander)は実践者に対して,発話と共に指さしなどの非言語的なコミュニケーションを行い,情報・知識の伝達を行いやすい身体配置を取る,ということが明らかになった。
著者
山崎 敬一 葛岡 英明 山崎 晶子 池谷 のぞみ
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.32-45, 2003-03-20 (Released:2022-08-03)
参考文献数
15

この論文では,リモートコラボレーション空間において,遠隔地にいる作業者がどのようにして時間と身体的空間を組織化しているかを,エスノメソドロジー的相互行為分析の手法で明らかにする.さらにそうしたリモートコラボレーション空間での共同作業に対するエスノメソドロジー的・社会学的分析に基づき,社会学者と工学者からなる筆者らの共同研究グループがデザインした,いくつかのリモートコラボレーションシステムについて紹介したい.
著者
山崎 晶子 錦戸 典子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.272-282, 2020-04-15 (Released:2020-05-08)
参考文献数
18

目的 二次医療圏において地域・職域が連携して実施していた活動とそれによる成果を明らかにするとともに,地域・職域連携推進協議会(以下,協議会)の開催状況との関連を検討する。方法 全国464保健所に所属し,地域・職域連携推進事業を担当またはそれに準じる保健師を対象に,無記名式質問紙調査を実施した。連携活動22項目の実施の有無,および連携活動による成果の実感程度について4件法で回答を求め,それぞれ階層クラスター分析によりカテゴリーに分類した。これらの活動・成果カテゴリーと協議会等の開催の有無ならびに開催頻度との関連をMann-WhitneyのU検定等により,活動・成果の各カテゴリー間の関連をSpearman順位相関分析により,各々検討した。結果 有効回答176件を分析し,3つの連携活動カテゴリー[関係者間の情報交換],[健康相談や健康教育における協働],[新たな企画立案や調査]が得られた。[関係者間の情報交換][新たな企画立案や調査]については,協議会等開催「無」群より「有」群で有意に高値であり,[新たな企画立案や調査]は協議会開催「1回」群よりも「2回」ならびに「3回以上」群で有意に高値だった。連携成果カテゴリーは,【連携窓口の共有が出来た】,【信頼関係の構築と健康課題の把握が出来た】,【達成感獲得,情報交換システム構築,費用削減】,【健康づくりの取り組みが進展】,【ヘルスリテラシーの向上】,【保健事業の質の向上と参加人数の増加】の6つに分類された。【連携窓口の共有が出来た】,【信頼関係の構築と健康課題の把握が出来た】,【達成感獲得,情報交換システム構築,費用削減】,【保健事業の質の向上と参加人数の増加】の4つの成果カテゴリーについては,協議会開催「有」群で有意に高値だった。さらに,上記のうち1~3番目までの成果カテゴリーについては,協議会等を3回以上開催することにより1回開催と比べて高値だった。また,連携活動[健康相談や健康教育における協働],[新たな企画立案や調査]と,ほとんどの連携成果カテゴリー間で有意な関連が認められた。結論 本研究により3つの連携活動カテゴリー,6つの連携成果カテゴリーが得られ,それぞれ協議会開催の有無や開催回数との関連が明らかとなった。また,実質的な協働や新たな事業等を共に企画する等の連携活動を活発に行うほど,連携成果を実感できていた可能性が示された。
著者
山崎 晶子 久野 義徳
出版者
特定非営利活動法人ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会誌 (ISSN:13447254)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.229-234, 2006-11

総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)特定領域重点型研究開発 次世代ヒューマンインタフェース・コンテンツ技術視覚情報に基づく人間とロボットの対面およびネットワークコミュニケーション(051303007)平成17年度〜平成19年度 総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)研究成果報告書(平成20年3月)研究代表者 久野 義徳(埼玉大学大学院理工学研究科 教授)より転載
著者
久野 義徳 小林 貴訓 児玉 幸子 山崎 敬一 山崎 晶子
出版者
埼玉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

目はものを見るためにあるが、アイコンタクト等の非言語コミュニケーションのためには他者に見せる機能も重要である。また、人間と共存するロボットとの目としては、人間に親しみやすい感じを与えるものが望まれる。そこで、この2点について、レーザプロジェクタにより種々の目の像を投影表示できるロボット頭部を試作し、どのような目の形状がよいかを被験者を用いた実験により調べた。その結果、人間の目の形状程度から、さらに目を丸く、また瞳も大きい形状が、親しみやすく、また視線がどちらを向いているかが読みとりやすいことが分かった。また、目や頭部の動かし方についても調査し、人間に自然に感じられる動かし方を明らかにした。
著者
秋谷 直矩 丹羽 仁史 岡田 真依 山崎 敬一 小林 貴訓 久野 義徳 山崎 晶子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.302-313, 2009-01-15

高齢者介護施設において,高齢者とスムーズにコミュニケーションができるロボットを開発するためには,まず,「いかにしてロボットと高齢者がコミュニケーションチャンネルを確立するのか」ということを考えなければならない.そこで,高齢者介護施設における複数人環境でのケアワーカーと高齢者のコミュニケーションチャンネルの作り方を観察した.分析方法として,社会学の一領域であるエスノメソドロジーを用いた.そこでは,行為を始めることを可能にする「対応可能性」,指向の重なりを示す「受け手性」,そして指向の重なりを参与者相互が理解したことを示す「理解の表示」という一連の手続きの制度的特徴が見られた.この調査結果をリソースとして,ロボット開発を行った.その印象評価実験を行ったところ,開発したロボットがユーザに親近感や安心感を与えることが分かった.この実験の結果は,本稿の取り組みが一定の有効性を持つということと,人びとの日常的実践の場面において社会学の手法を用いて調査し,その結果を開発に生かすということの方法論的意義を示した.
著者
星 洋輔 小林 貴訓 久野 義徳 岡田 真依 山崎 敬一 山崎 晶子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.764-772, 2009-11-01
被引用文献数
1

我々は,美術館での学芸員と観客の相互行為を,言葉と身体の動きの連動に焦点を当て,エスノメソドロジーの観点から調査・分析してきた.その結果,ロボットが作品の説明を行う場合でも,文の切れ目などの適切なタイミング(TRP)で,観客の方向へ正しく振り向くことが,観客の反応を増加させることが分かった.このような観客の反応の増加は,観客をロボットの説明に引き付けることができたためと考えられるが,これまでの知見は実験室での実験によるものであるため,実際の美術館においても同様の結果が得られるかどうかは確認できていない.そこで,本論文では,実際の美術館において実施した実験とその結果について述べる.まず,実際の美術館では観客に対して立ち位置の指定などはできないため,説明対象者の頭部を検出・追跡して正しくその方向へ振り向くことができるロボットを新たに開発した.そして,実際の美術館において,実験目的やロボットの動作に関する知識を一切もたない一般の観客に対して,ロボットによる作品の説明実験を行った.その結果,これまでの実験室での実験結果と同様に,高い割合で観客の同期的な反応を促すことができた.