著者
大津 耕陽 福島 史康 高橋 秀和 平原 実留 福田 悠人 小林 貴訓 久野 義徳 山崎 敬一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.2019-2029, 2018-11-15

近年さかんに行われているアイドルのライブにおいては,演者の演技に対し観客が「応援」という形で参加することにより,会場をともに盛り上げていこうとする様子が見られる.本稿では,アイドルのライブにおける演者の演技・それに対する観客の応援を振動・光に変換し,双方向に伝達しあうことで,演者・観客間の双方向インタラクションを拡張するライブ支援システムを提案する.提案手法を実現するために,応援したいメンバの演技をリアルタイムに観客の持つデバイスに振動・光として提示する機能,観客が自身の持つデバイスを振ることで光として応援を可視化して演者側に伝達する機能の2つを持つシステムを開発した.実際のライブ環境下において実験を行い,演者の動きの情報を観客に伝達することで応援したいメンバと観客の間の一体感が高まることを確認した.また,デバイスの振りの情報に基づいて観客の応援の大きさを演者の衣装に提示することによって,応援したい特定のメンバと観客間の一体感に加えて,特定のメンバを応援する観客同士の一体感が高まることを確認した.
著者
林 健太郎 久野 義徳 白井 良明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.556-566, 1999-02-15
被引用文献数
9

本論文では 画像から抽出した上半身の3つの特徴点を基準とし 手の3次元位置 方向を計測する手法を提案する. 著者らが先に発表した手法では 3次元情報を計算する際に基準となるアフィン座標系を作るための4つの特徴点をユーザの体から抽出していた. このとき 4点は同一平面上にあってはならないので ユーザの姿勢は大きな拘束を受けていた. 本論文では アフィン座標系を作る特徴点のうちの3点を体上にとり その3点が作る平面の法線上の1点を仮想的な4点目とする. このようにすれば3つの特徴点でアフィン座標系が作れるので ユーザの姿勢を拘束しないヒューマンインタフェースを構築できる. 実験として シミュレーションによって仮想基準点を求める手法を検証する. また 応用例として本手法を用いたプレゼンテーションシステムを構築し ヒューマンインタフェースとして有効であることを示す.This paper describes a method to measure the user's 3D hand position and orientation using 3 features on the upper body of the user. The method proposed by the authors before used 4 feature points attached on the user's body. The user's pose was restricted because these 4 features must not be coplanar. Thus, we propose to use a virtual feature as the 4th feature, which is calculated by using the normal direction of the plane made by the 3 features. This method allows the user to move freely. The experimental results show that the proposed method is useful for the interface of presentation systems.
著者
山崎 敬一 山崎 晶子 久野 義徳 池田 佳子 今井 倫太 小野 哲雄 五十嵐 素子 樫村 志郎 小林 亜子 関 由起子 森本 郁代 バーデルスキー マシュー 川島 理恵 中西 英之 小林 貴訓
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、人間の言語的・身体的相互行為とそれを支援する身体化されたテクノロジーのデザインに関心を持つ社会学者とロボット工学者の共同研究である。本研究では多文化に対応する身体化されたテクノロジーを開発するために、海外のミュージアム等で研究を行い、そこでの人間同士の言語的・身体的行為をヴィデオエスノグラフィーの手法で分析した。また、日本語話者と英語話者に対する比較ロボット実験と、日本とハワイを結ぶ遠隔ロボット実験を行った。
著者
久野 義徳 小林 貴訓 Lam Antony 福田 悠人
出版者
埼玉大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

まばたきはほとんど無意識のうちに行われているが、コミュニケーションの過程との関連が指摘されている。相手の話を理解して聞いているときは、相手のまばたきに同期して聞き手にまばたきが生じる。そこで、人間と円滑にコミュニケーションできるロボットの実現のために、ロボットのまばたきについて検討した。その結果、ロボットが話し手の場合、聞き手の人間は相手が人間のときと同様にまばたきの同期現象を示した。相手のまばたきをカメラ画像から検出して、それに同期してまばたきのできるロボットを開発した。これを用いて、ロボットが聞き手の場合の効果について実験したが、明確な結果は得られなかった。今後さらに検討が必要である。
著者
山崎 晶子 久野 義徳
出版者
特定非営利活動法人ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会誌 (ISSN:13447254)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.229-234, 2006-11

総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)特定領域重点型研究開発 次世代ヒューマンインタフェース・コンテンツ技術視覚情報に基づく人間とロボットの対面およびネットワークコミュニケーション(051303007)平成17年度〜平成19年度 総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)研究成果報告書(平成20年3月)研究代表者 久野 義徳(埼玉大学大学院理工学研究科 教授)より転載
著者
久野 義徳 小林 貴訓 児玉 幸子 山崎 敬一 山崎 晶子
出版者
埼玉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

目はものを見るためにあるが、アイコンタクト等の非言語コミュニケーションのためには他者に見せる機能も重要である。また、人間と共存するロボットとの目としては、人間に親しみやすい感じを与えるものが望まれる。そこで、この2点について、レーザプロジェクタにより種々の目の像を投影表示できるロボット頭部を試作し、どのような目の形状がよいかを被験者を用いた実験により調べた。その結果、人間の目の形状程度から、さらに目を丸く、また瞳も大きい形状が、親しみやすく、また視線がどちらを向いているかが読みとりやすいことが分かった。また、目や頭部の動かし方についても調査し、人間に自然に感じられる動かし方を明らかにした。
著者
長井 敦 久野 義徳 白井 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.1086-1095, 1997-05-25
被引用文献数
50

複雑に変動する背景を伴うシーンにおいても有効に機能する移動物体の検出手法を提案する. シーンの動き場において移動物体に対応する部分は, 空間方向に一様で, かつ滑らかに移動することを利用して検出を試みる. オプティカルフローを抽出し, 空間的に均一なフローをもつ領域を切り出して, 得られた領域が移動物体(若しくはその一部)であると仮定する. その後の予測される時空間上の位置に投票を行うことにより, シーン内を横切ったものだけを移動物体として検出する. 背景変動の程度に応じて, 適応的に検出の際の投票値のしきい値を決定する. 移動物体に対して等速直線運動の拘束を与える場合と, 加速度への対応のための拡張手法のそれぞれについて述べる.
著者
秋谷 直矩 丹羽 仁史 岡田 真依 山崎 敬一 小林 貴訓 久野 義徳 山崎 晶子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.302-313, 2009-01-15

高齢者介護施設において,高齢者とスムーズにコミュニケーションができるロボットを開発するためには,まず,「いかにしてロボットと高齢者がコミュニケーションチャンネルを確立するのか」ということを考えなければならない.そこで,高齢者介護施設における複数人環境でのケアワーカーと高齢者のコミュニケーションチャンネルの作り方を観察した.分析方法として,社会学の一領域であるエスノメソドロジーを用いた.そこでは,行為を始めることを可能にする「対応可能性」,指向の重なりを示す「受け手性」,そして指向の重なりを参与者相互が理解したことを示す「理解の表示」という一連の手続きの制度的特徴が見られた.この調査結果をリソースとして,ロボット開発を行った.その印象評価実験を行ったところ,開発したロボットがユーザに親近感や安心感を与えることが分かった.この実験の結果は,本稿の取り組みが一定の有効性を持つということと,人びとの日常的実践の場面において社会学の手法を用いて調査し,その結果を開発に生かすということの方法論的意義を示した.
著者
星 洋輔 小林 貴訓 久野 義徳 岡田 真依 山崎 敬一 山崎 晶子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.764-772, 2009-11-01
被引用文献数
1

我々は,美術館での学芸員と観客の相互行為を,言葉と身体の動きの連動に焦点を当て,エスノメソドロジーの観点から調査・分析してきた.その結果,ロボットが作品の説明を行う場合でも,文の切れ目などの適切なタイミング(TRP)で,観客の方向へ正しく振り向くことが,観客の反応を増加させることが分かった.このような観客の反応の増加は,観客をロボットの説明に引き付けることができたためと考えられるが,これまでの知見は実験室での実験によるものであるため,実際の美術館においても同様の結果が得られるかどうかは確認できていない.そこで,本論文では,実際の美術館において実施した実験とその結果について述べる.まず,実際の美術館では観客に対して立ち位置の指定などはできないため,説明対象者の頭部を検出・追跡して正しくその方向へ振り向くことができるロボットを新たに開発した.そして,実際の美術館において,実験目的やロボットの動作に関する知識を一切もたない一般の観客に対して,ロボットによる作品の説明実験を行った.その結果,これまでの実験室での実験結果と同様に,高い割合で観客の同期的な反応を促すことができた.
著者
島田 伸敬 白井 良明 久野 義徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRU, パターン認識・理解
巻号頁・発行日
vol.94, no.50, pp.25-32, 1994-05-19
被引用文献数
9

本論文では,手指の単眼視時系列シルエット画像から三次元形状モデルを用いて手指姿勢を解釈する手法について述べる.まず時間的な拘束から予測される手の平の姿勢をモデルを用いて生成し入力画像のシルエット形状との適合度を評価することで手の平の姿勢候補を選択する.さらに手の平の候補について各指の姿勢候補をモデルを用いて生成し,輪郭の突起特徴にもっとも適合するものを推定する.突起特徴に対応しない指の姿勢はシルエットとの重なりの形状と面積を考慮して選択する.最後に実際の手指画像に対して行った実験の結果を示す.
著者
秋谷 直矩 丹羽 仁史 坪田 寿夫 鶴田 幸恵 葛岡 英明 久野 義徳 山崎 敬一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.798-807, 2007-03-01
被引用文献数
7

筆者らはこれまで,依頼行為を理解するロボットを開発してきた.しかし,介護ロボットの実用化を目指すのであれば,どのような依頼行為が実際の介護場面でなされているかを分析する必要がある.そこで,介護ロボット開発のために,実際の介護場面におけるコミュニケーションを高齢者介護施設で観察した.そこでは,単に介護者が高齢者の依頼を受けて行動しているだけではなく,介護者と高齢者が同時に協同して作業している場面が多く見られた.この同時的協同的作業の達成のために,介護者と高齢者双方の予期的な調整行動が大きな役割を果たしていることが分かった.高齢者支援の開発のためには,この予期を支援するシステムの開発が必要である.
著者
秋谷 直矩 丹羽 仁史 久野 義徳 山崎 敬一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.684, pp.35-40, 2006-03-22
被引用文献数
2

高齢者社会が進む昨今、福祉ロボットの開発は時代のニーズに即したものである。本論文では、被介護者の簡単な依頼を理解するロボットを開発する基礎段階として、実際に人間同士の依頼行為がどのように組織化されているか、ということをエスノメソドロジー的見地により見ていく。この分析に基づき、依頼行為は、依頼行為が行われる以前にコミュニケーション・チャンネルが相互反映的な形で確立されていること、そして実際の依頼行為も依頼発話とジェスチャがお互いを精緻化しながら、相互反映的な形で組織化されているということがわかった。