著者
岩原 信九郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.44-46, 1955 (Released:2010-07-16)
参考文献数
10

Psychological scales are either nominal, ordinal, interval or ratio. As no direct measurement of the psychological (intervening) variables is possible, overt behavioral variables must first be measured. The latter are based on physical scales, which may be called phenotypic or peripheral scales as contrasted with indirect, genotypic scales of psychological variables.Thus, relationships between the two types of scales should be made clear in any psychological measurement. Many people believe that transformation of variables for homogeneity of variance, for instance, is done purely from statistical expediency. This, however, does not seem to be correct on the basis of the fact that we are always dealing with psychological or genotypic scales and not numbers per se. Transformation of scores is only legitimate if it improves the meaning of the psychological variables.Traditional statistical tests may be used for psychological scales provided that they are additive or they have equal units. Non-parametric tests, on the other hand, are most appropriate to ordinal scales. Attention is called, however, to the fact that some nonparametric methods assume additivity of the scale and that, therefore, they should not be used for the ordinal scale.Three uses of nonparametric statistics may be mentioned. First, the methods may be applied to ordinal and nominal scales. Second, they can be used for interval or ratio scales in place of traditional statistical methods because nonparametric tests do not have such assumptions as normal distribution, homogeneity of variance and the like. Third, nonparametric methods are superior to traditional methods in the simplicity of computation for small samples.
著者
佐藤 愛子 岩原 信九郎
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.232-235,254, 1962-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
5

某県の高校入学者の女子について,入学試験,入学時の知能検査結果,および入学後の学業成績間の相関を求めたところ,入試と学業の相関がきわめて高く,また学業成績は学年がすすんでもあまり相対的位置をかえないにもかかわらず,知能と成績との相関は意外に低く,しかも学年のすすむにつれて低下の傾向を示した。このことは入学後の成績の予言には入試のもつ重みはきわめて高いが,知能の重みは無視できるほど低いことと,学業成績は年とともに知能の因子を含む割合が減少する傾向のあることを示している。この点,大学入学のときの学科試験や進学適性検査のもつ意味といちじるしく異なる。なぜなら大学の場合はこれら2つの変数は入学に適さないものを落すという意味はあるかもしれないが,入学後の成績を予言することは非常に困難であるからである。
著者
岩原 信九郎
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.24-31, 1958-12-25 (Released:2010-01-22)
参考文献数
25

以上, 介入変数 (IV) と仮定的構成体 (HC) に関する主な研究をとりあげ, その要点を述べ, これに関する論争の生じた原因の一つが用語上のものであることを指摘した. そして何れも刺激Sと反応Rの間に介入する媒介概念 (MV) であり, SとMV, MVとRの間には因果関係のあることを述べた. 一般にIVは解析的であるか, 便宜的であると考えられているがこれは心理学においてIVといわれる概念には妥当しない. 即ちSとIVの間には常に因果性を予想し, 仮定的因子を含んでいるという意味でHCと本質的に異なるものとはいえない. 勿論IVがHCより操作水準が高いとはいえようが, この事はIVがHCより科学性が高いことにもまたHCが純化されてIVになることをも示さない. 何故ならかゝる意味でのHCは予言性の高い点ではIVと比べるべくもなく, またHCが証明され直接観察されれば既にIVではなくなってしまう. またHCを生理的概念とのみ考えることも正しくない. かゝる見地は心理学の生理学への還元を意味するものであって事実と必らずしも一致しない. 仮定的なMVとしては生理的なもののみでなく行動的なものもある. 然し行動的なものに実在性がないという批判があるがこれは実在性の理解をあやまっているものといえよう. 真か偽かいえるものはすべて実在性があるとみなければならず, 直接観察 (時空的定位) のみが実在性の根拠にはならない. 行動的であれ, 生理的であれ, MVはつねに直接観察しうるSとRの両方に足場をもたねば科学的概念とはいえない. 然しゲシタルト心理学, 特にLewinの理論ではMVのSへの足がかりが明らかにされていない欠点がある. 勿論S自身もRと無関係でないばかりかRによって規定されるが, それはRがMVの函数であるという時の因果性でなく, 概念的定義の問題にすぎず, またR=f (S) が適用される場合のRとは独立に規定されるからSとMVとは厳密に区別されねばならない.