著者
岩木 信喜 田中 紗枝子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.42, 2017 (Released:2017-10-16)

問題に対する回答に与えられる正答フィードバック(FB)を遅延させると、回答直後に与える場合よりも正答の記憶が定着すると言われてきた(e.g., Kulhavy, 1977)。しかし、手続き上の問題が指摘され、正答FBを与えてから再テストまでの時間(lag-to-test, Metcalfe et al., 2009)を直後FB条件と遅延FB条件の間で統制すると効果が消失したという報告がある。これについては、そのように統制してもなお効果を認めた研究(Mullet et al., 2014)もあり、結果が一致していない。本研究では、漢字熟語の読み課題を使って追試し、効果の有無を検討した。その結果、lag-to-testを統制した場合、遅延FBの学習促進効果は認められなかった。
著者
宮谷 真人 中尾 美月 山本 文枝 岩木 信喜 藤本 里奈
出版者
広島大学
雑誌
広島大学大学院教育学研究科紀要. 第三部, 教育人間科学関連領域 (ISSN:13465562)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.301-308, 2002-02-28

In this article, the influence of different reference electrodes on the scalp distribution of event-related potentials (ERPs) was evaluated. The search-related negativity (SN) is one of negative ERP component which varies with memory and display load in a visual search task. The amplitude and topography of SN were sensitive to the selection of reference site. The effects of memory and display load at frontal and temporal sites were larger when ERPs were referred to tip of nose compared with linked-ear reference. In contrast, the attenuation of N400 due to semantic relation between word pairs was almost invariable with use of different reference sites. These results suggest that optimal reference electrode selection depends on what component of ERPs is a research target, and has to be evaluated not only theoretically but also empirically.
著者
岩木 信喜/小坂 圭子/近藤 武夫/羽渕 由子 小坂 圭子 近藤 武夫
出版者
九州ルーテル学院大学
雑誌
紀要visio : research reports (ISSN:13432133)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.1-10, 2003-07-31

本研究では,互恵的利他行動の文脈における裏切り者の名前が,再発チェックのために効率的に検索されるのかどうかを検討した。16名の大学生が2セッションからなる実験に参加した。被験者には,第1セッションで互恵的利他行動が破綻する文章を読ませた。文章には,裏切り者と蔓切られる者,利害には無関係の中立者の3名が登場した(利害変数)。また,この文章読解では,被験者自身の名前が裏切られる者として登場するかどうかによって関与の有無を操作した(関与変数)。第2セッションでは,先の文章に登場した人物名かどうかを判断して選択的に反応する記憶探索課題を行った。もし裏切り者の検索過程が再発チェックのために効率化されるならば,その反応時間は少なくとも中立条件よりも短くなるはずであり,その程度は被験者自身に損害が及ぶと想定される場合の方が顕著であると予想された。実験の結果,関与有り条件では裏切り者に対する反応時間が中立条件よりも有意に短かったが,そのような差は関与無し条件では認められなかった。この結果は,先の予想を支持するものであった。