著者
田中 裕 岩渕 和久 中村 有紀 岡本 健 平野 洋平 石原 唯史 近藤 豊 末吉 孝一郎
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

多臓器不全は大きな侵襲や重篤な感染症が契機となることが多く、治療に難渋しその死亡率も未だ高い。生体侵襲時には補体活性化が生じ、TMAが引き起こされる。TMAは全身臓器の微小血管の血栓形成と、血管内皮細胞障害を呈する。しかし生体侵襲時の補体活性化による多臓器不全の機序については明らかでない。本研究目的は侵襲時の多臓器不全の病態を補体活性化によるTMAという新たなる視点から解明することである。侵襲時における、(1)補体活性の定量評価、(2)TMAとの関連、(3)補体活性化と白血球・血小板連関、(4)補体活性の制御による多臓器不全抑制の検討を行う。
著者
久保田 早苗 工藤 綾子 岩渕 和久
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.87-96, 2020-05-25 (Released:2020-11-25)
参考文献数
17

本研究の目的は,理学療法士の訓練時における感染予防意識と行動について明らかにすることである.感染管理認定看護師が所属する施設に勤務する理学療法士,5施設計18名を対象に半構造化面接を行い,感染予防意識と行動に関する語りをコード化,類似するコードをカテゴリー化し,質的帰納的に分析した.理学療法士の感染予防意識は432生成され,98サブカテゴリー,28カテゴリーに分類され,5コアカテゴリーが抽出された.コード数の多いコアカテゴリーとして,【職種間の感染予防策の認識の差と危機管理意識】【感染症患者の増加によるリハビリ調整の困難さと超高齢社会への危機感】などが生成された.理学療法士の感染予防行動は684生成され,93サブカテゴリー,25カテゴリーに分類され,7コアカテゴリーが抽出された.コード数の多いコアカテゴリーとして,【感染症や指示による手順通りの防護服の着脱と定期的な白衣・リネンの交換】【感染症情報の確認・連絡による日常や汚染時の清掃徹底】などが生成された.患者との接触が多い理学療法士が行う標準予防策は感染症の有無や健康状態によって予防策を決めていくことではないことを理解し,実践していくことが求められる.また,感染事例に応じて自らが判断し根拠をもった知識の習得を目指す必要がある.
著者
島田 和典 内藤 久士 岩渕 和久
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

M1とM2 マクロファージは酸化LDL刺激による反応が異なり、主にM1がNF-kB経路に関連して反応した。大動脈瘤モデルの動脈瘤部および腹腔マクロファージはM1優位であった。動脈硬化モデルでは、骨格筋の炎症性細胞浸潤が確認された。動脈硬化病変は、強制的運動や自発的運動により抑制され、その機序としてマクロファージ動員や炎症の抑制が考えられた。嫌気性代謝閾値に基づいた運動処方を含む心臓リハビリテーションにより、筋量、筋力、運動耐容能は有意に改善し、運動耐容能の低下は予後と関連した。以上より、高強度運動のみならず身体活動維持の運動介入においても炎症抑制により動脈硬化病変を抑制する可能性が示唆された。
著者
田部 陽子 岩渕 和久 笹井 啓資 金 林花
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、低線量放射線がヒト生体内の微小環境の中で、前がん状態の細胞に対して発がんに関与する遺伝子発現やその調節機構にどのような影響を与えるのかを調べることを目的とした。研究の結果、①低線量放射線ストレスによって前がん状態の細胞内では遺伝子の発現を抑制するmicroRNAを介した遺伝子発現コントロールが機能し、遺伝子とタンパク発現が変化すること、②生体微小環境内に存在する間質細胞が、直接・間接的にこれらの前がん細胞内での低線量放射線による遺伝子・タンパク発現変化に関わっていること、が明らかになった。