著者
綿引 清勝 澤江 幸則 島田 博祐 中井 昭夫
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.59-67, 2020-02-29 (Released:2021-02-28)
参考文献数
16

本報告では、身体的不器用さを有する学齢期の自閉スペクトラム症児の運動発達上の困難さと支援方略を検討するため、投運動の困難さを主訴とした2 名を対象に、3 種類の投運動課題を用いた介入の結果から、その特徴を分析した。方法は20XX 年1 月~3 月の3 カ月間において、アセスメントは協調運動の発達を調査するためにMovement Assessment Battery for Children-2(M-ABC2)を実施した。運動に対する心理的な評価は、運動有能感に関する質問紙調査を実施した。介入プログラムは、課題指向型アプローチの理念に基づき「強く投げる課題」、「弱く投げる課題」、「ねらった所に投げる課題」の5 つの課題を含むプログラムを5 回実施した。その結果、投動作の改善では、2 名ともに体幹部の評価得点の向上が見られた。しかし末梢部の評価得点は、協調運動全般に遅れがある事例で向上が見られなかった。以上のことから投運動の質的な変化を踏まえ、身体的不器用さを有する自閉スペクトラム症児の臨床的な特徴と介入効果について得られた知見を報告する。
著者
渡辺 勧持 薬師寺 明子 島田 博祐
出版者
美作大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

知的障害者に対するダイレクト・ペイメントを支援する制度として望まれるサークル・オブ・フレンズ(障害者本人を中心にして作られる家族、友人、知人、専門家等による支援の輪)の現状について英国を中心に聞き取り調査を実施した。ダイレクト・ペイメントの支援制度の多様化に伴い、本人への支援は、取り巻く地域社会の人々よりも行政の関与が多くなる傾向がある。サークル・オブ・フレンズは、現在でも、理想として求められるが、より定着するには、ソーシャルワーカーが幅広く地域社会へ関与できること、当事者団体の活動への支援、半市民的な役割をもつ支援ブローカーなどの活動への支援などの制度の発展が必要と思われる。
著者
島田 博祐 高橋 亮 渡辺 勧持 谷口 幸一
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.375-387, 2002-11-30

本研究の目的は、加齢および居住環境要因(入所施設とグループホーム)の適応行動に対する影響を障害程度別に検討することである。対象者は40歳以上の中高齢知的障害者188名であり、適応行動尺度(ABS)および高齢化に関する調査票を材料に用いた。結果として、(1)障害程度にかかわらず「自立機能」に50歳以降における適応得点の低下と不適応者の増加が認められ、中軽度群では「身体的機能」「経済的活動」および「責任感」に、重度群では「掃除洗濯」「仕事」および「心理的障害」の領域に同様の低下が認められた、(2)居住環境要因に関しては「経済的活動」「移動」「一般的自立機能」「台所仕事」の領域で、障害程度に関係なく入所生活者の適応能力がグループホーム生活者より低く、中軽度群での「数と時間」「言語」および「計画性」、重度群での「自己志向性」と「社会性」でも同様の差が認められた。