著者
島谷 智彦 井上 正規
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.6, pp.979-988, 2013 (Released:2013-06-05)
参考文献数
69

胃食道逆流症(GERD)による睡眠障害の治療には,強力な夜間の胃酸分泌抑制が必要である.プロトンポンプ阻害薬(PPI)はヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)より強力に胃酸分泌を抑制することから,ガイドラインでも第一選択薬として推奨されている.しかしながら,常用量のPPIの1日1回投与では夜間の胃酸分泌抑制が十分でない場合があり,PPIの投与のタイミングを変更する,PPIの種類や投与量を変更する,H2RAや消化管運動機能改善薬を併用する,PPIを1日2回投与するなどの工夫が必要となる.食後3時間以内に就寝しない,就寝時に上半身を30°挙上させる,肥満の解消などの生活習慣の改善も並行して行う.
著者
松本 睦子 俵 由美子 濵井 和子 齋藤 愛 大田 奈緒 島谷 智彦
出版者
広島国際大学看護学部
雑誌
広島国際大学看護学ジャーナル (ISSN:13495917)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.3-17, 2017

我々は、笑顔での介護介入後に対象者のLF/HF(交感神経活動)が有意に抑制され、HF(副交感神経活動)が有意に増加することを報告した。本研究では、SC(皮膚コンダクタンス)を分析に加え、LF/HFとSCが同様の反応を示すかどうか検討した。さらに、笑顔での看護介入がもたらす自律神経活動の変化に男女差があるかどうかを明らかにする目的で、対象者34名(男性18名 ,女性16名)の心拍変動とSCのデータを男女別に比較した。安静時のLF/HFと心拍数は、男性が女性より有意に高値で、HFは男性が女性より有意に低値であった。LF/HFとSCは看護介入時に一過性上昇を示したが、ベースラインに戻るまでの時間に違いがあった。笑顔介入後のLF/HF,SC,心拍数,呼吸数は、男性より女性が有意に高値であり、HFは男性より女性が有意に低値であった。これらのことから、心拍変動とSCの応答には男女差があり、男性のほうが笑顔の介入でリラクセーション効果を得やすいことが示唆された。 We reported that LF/HF ratio (the index of sympathetic nerve activities)was significantly decreased by the nursing intervention with expression of smile,and HF(the index of parasympathetic nerve activities)was significantly increased by nurse's smile.In this study,we analyzed the skin conductance (SC) to determine whether the response in SC shows a similar time course to that in LF/HF. In addition,to clarify the relationship with gender differences and the changes in autonomic nerve activities caused by nurse's smile,the data of heart rate variability (HRV) and SC were evaluated in 34 healthy subjects(18 men and 16 women).The baseline value of LF/HF and heart rate (HR) in men were significantly higher than those in women,and the value of HF in men was lower than that in women.LF/HF and SC showed the transitory increase during nursing intervention .After the intervention ,LF/HF recovered quickly to the baseline level while SC returned slowly to that level.LF/HF,SC,HR,and respiration rate in men were significantly lower than those in women after the nursing intervention with smile.On the other hand ,the value of HF in men was higher than that in women.The responses in HRV and SC were different between men and women.The nursing intervention with smile may produce an effect on the relaxation in men rather than women.
著者
小松 恵 島谷 智彦
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.701-707, 2017 (Released:2017-09-29)
参考文献数
14
被引用文献数
3

【背景と目的】がん患者の意思決定支援にはアドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning: ACP)が必要であり,そのためにはがん病名告知,患者の想い・意思・プライバシーの尊重が重要である.一般病棟看護師のがん患者に対するACPの認識を調査し,ACPの推進のためにどのような活動が必要なのかを検討する.【方法】広島県がん診療連携拠点病院の一般病棟看護師800名を対象に,郵送自書式質問紙調査を施行した.【結果】有効回答は364名(46%)であった.患者意思擁護・尊重は75%,患者プライバシー尊重は89%ができているという認識であった.患者の状態が悪い時の認識にはばらつきがみられた.ACPの意味を認識できているは20%に過ぎず,99%が施行できていなかった. 【結論】一般病棟看護師のACPの認識は不十分であり,一般病棟看護師のACPの認識を高めるためには,啓発・教育・環境整備が喫緊の課題と考えられた.