著者
河村 フジ子 松本 睦子 金 和子 小林 彰夫
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.1051-1056, 1989-12-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

辛味大根の味覚特性として, 辛味成分と辛味以外で味覚に関与する成分を他の大根と比覚し, 官能検査を行った結果を要約すると次のようになる.(1) 辛味大根中の辛味成分である (E) -4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネートは, 73.7mg%で, 他品種の頭部の3.4~5.2倍, 尾部の2.0~2.6倍である.(2) 辛味大根は, 他品種の各部より, 水分, 還元糖量が少なく, カルシウム, マグネシウム量が多い.(3) 他品種のおろし大根の味を比較した場合, 尾部は頭部より, 辛味, 苦味が強く, うま味, 甘味が弱い。(4) おろし辛味大根の味は, 青首大根の尾部より, 辛味, 苦味が強く, うま味, 甘味が弱い.(5) おろし辛味大根を60分放置すると, 辛味は顕著に弱くなる.(6) おろし辛味大根に食塩, しょうゆ, 食塩+食酢, 天つゆ, 三杯酢を加えると辛味が弱くなる.
著者
松本 睦子 俵 由美子 濵井 和子 齋藤 愛 大田 奈緒 島谷 智彦
出版者
広島国際大学看護学部
雑誌
広島国際大学看護学ジャーナル (ISSN:13495917)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.3-17, 2017

我々は、笑顔での介護介入後に対象者のLF/HF(交感神経活動)が有意に抑制され、HF(副交感神経活動)が有意に増加することを報告した。本研究では、SC(皮膚コンダクタンス)を分析に加え、LF/HFとSCが同様の反応を示すかどうか検討した。さらに、笑顔での看護介入がもたらす自律神経活動の変化に男女差があるかどうかを明らかにする目的で、対象者34名(男性18名 ,女性16名)の心拍変動とSCのデータを男女別に比較した。安静時のLF/HFと心拍数は、男性が女性より有意に高値で、HFは男性が女性より有意に低値であった。LF/HFとSCは看護介入時に一過性上昇を示したが、ベースラインに戻るまでの時間に違いがあった。笑顔介入後のLF/HF,SC,心拍数,呼吸数は、男性より女性が有意に高値であり、HFは男性より女性が有意に低値であった。これらのことから、心拍変動とSCの応答には男女差があり、男性のほうが笑顔の介入でリラクセーション効果を得やすいことが示唆された。 We reported that LF/HF ratio (the index of sympathetic nerve activities)was significantly decreased by the nursing intervention with expression of smile,and HF(the index of parasympathetic nerve activities)was significantly increased by nurse's smile.In this study,we analyzed the skin conductance (SC) to determine whether the response in SC shows a similar time course to that in LF/HF. In addition,to clarify the relationship with gender differences and the changes in autonomic nerve activities caused by nurse's smile,the data of heart rate variability (HRV) and SC were evaluated in 34 healthy subjects(18 men and 16 women).The baseline value of LF/HF and heart rate (HR) in men were significantly higher than those in women,and the value of HF in men was lower than that in women.LF/HF and SC showed the transitory increase during nursing intervention .After the intervention ,LF/HF recovered quickly to the baseline level while SC returned slowly to that level.LF/HF,SC,HR,and respiration rate in men were significantly lower than those in women after the nursing intervention with smile.On the other hand ,the value of HF in men was higher than that in women.The responses in HRV and SC were different between men and women.The nursing intervention with smile may produce an effect on the relaxation in men rather than women.
著者
金 和子 小林 彰夫 河村 フジ子 松本 睦子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.603-608, 1989-07-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

辛味大根と青首大根の辛味臭成分をエーテル振とう抽出により分離し, GCおよびGC-MSにより分析し, 比較した.辛味大根の香気成分は99.5%以上が含硫化合物であり, 5種のメチルチオイソチオシアネートが主要成分として同定された.なかでも, (E) -4-メチルチオ-3-ブテニルイソチオシアネートは香気中96.5% (62.7mg%) を占め, かつこの化合物は1.3ppm以上あると単独でも生大根辛味臭を呈し, 濃度の増加につれ香辛性が強化される.実際の辛味大根中における存在量は627ppmであることから, 辛味大根の辛味臭は主としてこの物質であることが明らかとなった.
著者
松本 睦子 吉松 藤子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.40-46, 1983-02-20

妙め調理を行う際の油通しの効果について植物性食品としてピーマンと白菜を,動物性食品として鶏肉を用いて検討した結果を要約すると次のようになる。以下は油通しをしないものと比較したものである。1) ピーマン,白菜は妙め後の重量減少が少なく,付着油量は多く,脱水は少なく歯ごたえがありテクスチャーにおいて有意に好まれた。特に緑色野菜では色が彩やかに保たれる。2)鶏肉においても重量減少および加熱による収縮は少なく,硬さは柔らかくテクスチャーにおいて有意に好まれた。また,調製中の内部の温度変化は油通しをして妙めた方が上昇率が緩慢であった。以上のことから油通しをすることは,低温で内部温度の緩慢な上昇を促すことになり,これが妙め時間を短縮することになり,色やテクスチャーに好ましい影響を与えるものと思われる。