著者
川口 美貴
出版者
関西大学出版部
巻号頁・発行日
2012-03-31

大目次◆序 本書の目的・構成・基本的視点と結論・用語と表現……1◆第1部 総論……5第1章 前提的考察……7第2章 労働法の対象とする労働者……13第1節 問題の所在……13第2節 従来の学説と批判的検討……15第3節 労働法の対象とする労働者の再構成……23◆第2部 各論……49第1章 客観的基準・要件による契約締結前の決定……51第2章 労働基準法上の労働者……57第1節 前提的検討……57第2節 法制の沿革……63第3節 行政解釈・労基研報告・学説・判例……74第4節 労働基準法上の労働者概念の再構成……111第3章 労働契約法上の労働者……161第1節 前提的検討……161第2節 法制の沿革……166第3節 行政解釈・学説・裁判例……169第4節 労働契約法上の労働者概念の再構成……173第4章 労働組合法上の労働者……209第1節 前提的検討……209第2節 法制の沿革……215第3節 行政解釈・学説・命令・判例・労使関係法研究会報告……226第4節 労働組合法上の労働者概念の再構成……277第5章 労務供給者の類型別検討……335第1節 問題の所在……335第2節 労働者性の判断基準……336第3節 外勤型……339第4節 運動・芸術・芸能型……343第5節 対人サービス型……349第6節 技術・技能・専門職型……351第7節 看護・介護・育児・保育・家事労働型……357第8節 運送型……359第9節 建設土木・林業型……366第10節 家内労働・在宅勤務型……373第11節 親族型……376第12節 シルバー人材センター型……378第13節 研修・実習型……381第14節 店舗経営型……384第15節 経営者型……387◆総括 労働者概念の再構成・本書の意義・立法論上の課題……393◆資料編……405資料Ⅰ 労働基準法研究会報告……407資料Ⅱ 労働基準法研究会労働契約等法制部会 労働者性検討専門部会報告……420資料Ⅲ 労使関係法研究会報告……438〔追補〕ビクターサービスエンジニアリング事件最高裁判決(2012〈平成24〉年2月21日)の意義と評価……447
著者
和田 肇 唐津 博 矢野 昌浩 本久 洋一 根本 到 萬井 隆令 西谷 敏 脇田 滋 野田 進 藤内 和公 名古 道功 古川 陽二 中窪 裕也 米津 孝司 有田 謙司 川口 美貴 奥田 香子 中内 哲 緒方 桂子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、1980年代以降、とりわけ1990年代以降を中心に労働市場や雇用、立法政策あるいは労働法の変化の足跡をフォローし、今後のあり方について新たな編成原理を探求することを目的として企画された。この4年間で、研究代表者、研究分担者および連携研究者による単著を4冊刊行している(和田肇『人権保障と労働法』2008年、唐津博『労働契約と就業規則の法理論』2010年、藤内和公『ドイツの従業員代表制と法』2010年、西谷敏・根本到編『労働契約と法』2011年)。その他、100本を超える雑誌論文を発表し、研究グループによる学会報告が5回、国際シンポが5回(日独が2回、日韓が3回)行われている。とりわけ最終年度には、それまでの成果のまとめを中心に研究を遂行した。(a)労働者派遣法の体系的な研究を行い、2112年秋の書物の出版に向けて研究を積み重ねた。個別テーマは、労働者派遣法の制定・改正過程の分析、労働者派遣に関する判例・裁判例の分析、労働者派遣の基本問題の検討、比較法分析である。現段階で作業は約8割が終了した。(b)不当労働行為法上の使用者概念に関する最高裁判例が相次いで出されたこともあり、その検討を行った。これは、企業の組織変動・変更に伴う労働法の課題というテーマの一環をなしている。(c)労使関係の変化と労働法の課題というテーマに関わって、現在国会で議論されている国家公務員労働関係システムの変化に関する研究を行った。その成果は、労働法律旬報や法律時報において公表されている。特に後者は、この問題を網羅的・総合的に検討した数少ない研究の1つである。以上を通じての理論的な成果としては、(1)労働法の規制緩和政策が労働市場や雇用にもたらした影響について検討し、新たなセーフティネットの構築の方向性を示し、(2)非典型雇用政策について、労働者派遣を中心としてではあるが、平等・社会的包摂という視点からの対策を検討し、(3) 2007年制定の労働契約法の解釈問題と理論課題を明らかにし、(4)雇用平等法の新たな展開の道筋を付けた。当初予定していた研究について、相当程度の成果を出すことができた。