- 著者
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伊藤 昌司
川嶋 四郎
八田 卓也
- 出版者
- 九州大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2000
本研究は、2年間にわたる充実した研究の結果、次のような研究実績を得ることができた。まず、頻繁に、共同の研究会を開催した。個別具体的な内容は、以下に記載したとおりである。八田卓也「任意的訴訟担当の許容性について」、川嶋四郎「判例研究・遺言者の生存中における遺言無効確認の訴えの利益」、篠森大輔「遺言執行者の地位について」、八田卓也「判例研究・遺言執行者の職務権限が認められた事例」、八田卓也「判例研究・遺言無効確認の訴えの利益」、伊藤昌司「1883年ベルギー王国民法改正予備草案理由書」、川嶋四郎「判例研究・具体的相続分の確認を求める訴えの利益」、松尾知子「遺言事項別・権限別にみた遺言執行」、伊藤昌司「判例研究・遺留分減殺」、岡小夜子「共同相続人間の取得時効」、道山治延「検認と相続資格」等。いずれの研究会においても、家庭裁判所の裁判官および調査官等の参加を得て、活発な議論を展開し、かつ、有意義な指摘や示唆を得ることができた。特に、伊藤は、フランス法系の遺言執行制度の研究の一環として、明治大学の図書館に所蔵されている資料を入手し、ベルギー王国(当時)の1883年ベルギー王国民法改正予備草案理由書中の遺言執行者に関係する部分を調査・研究し、その成果を「訳注付き翻訳・ベルギー王国民法改正予備草案理由書」としてまとめつつある。川嶋は、文献収集を行い、遺言執行者の訴訟上の地位について、比較法的研究を行った。特に、昨年秋、アメリカ合衆国ワシントンDCにて、アメリカ州法における遺言関係の立法資料等の収集活動に従事した。現在、ノース・カロライナ州遺言法の翻訳と分析を行っている。お、当初、共同研究者であった八田は、一昨年、日本における遺言執行関係の最近の最高裁判決を研究し、かつ、ドイツ連邦共和国のケルンおよびベルリンにおいて、遺言執行に関する学説および実務の現況調査に従事した。以上の獲得できた知見がら、日本法における遺言執行者の実体法上および訴訟法上の権限のあり方について、総合的な研究成果を公表する予定である。