著者
横山 知子 鶴川 俊洋 川平 和美 田中 信行
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.399-404, 1999-06-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

脳卒中を中心とした神経系疾患患者25例を対象として,8週間の運動訓練のみを行った群(通常のリハ訓練+サイベックスを使用した膝の屈伸運動)と,4~8週目に蛋白同化ホルモン(オキシメトロン10あるいは20mg/日を内服)を併用した群の2群に無作為に分けて,非麻痺側下肢の筋力及び筋肥大に対する蛋白同化ホルモンの効果を検討した.下肢の運動訓練は両群ともサイベックス6000を用いて,座位で等速性(60°あるいは180°/秒)の膝屈伸運動を,適宜休憩を入れながら,1日100~200回,週5日,8週間行わせた.蛋白同化ホルモン併用群では,非投与時に比べて等速性筋力は低速度・高速度ともに,また伸筋,屈筋とも筋力の増加は有意に大きかった.等尺性筋力も伸筋,屈筋ともに増加し,またCT上での大腿筋断面積も有意に増加していた.一方,筋力トレーニング単独群では,全般的に筋力の増加傾向は認められたが,ほとんどの場合で有意ではなく,大腿断面積も明らかな増加を認めなかった.副作用として,AST,ALTの上昇がAS併用した13例中5例,Kの上昇を2例に認めたが,全例で薬剤中止後,正常に戻った.
著者
松元 秀次 川平 和美 下堂薗 恵 衛藤 誠二 緒方 敦子 中村 康典
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、神経筋電気刺激療法を用いて嚥下に関する筋群を刺激することで、嚥下障害に対する新しい治療法の確立を図った。嚥下障害と診断された患者に対して、電気刺激療法を用いて治療することで、安全性の確認とともに訓練効果を舌骨や喉頭の動き、嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査などで確認することができた。得られたデータを学会で発表し、論文にまとめて採択に至った。嚥下障害患者への新しい治療法の一つになると考えられ、さらには誤嚥性肺炎予防につながると考えられる。
著者
緒方 敦子 衛藤 誠二 下堂薗 恵 川平 和美 林 良太
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

半側空間無視は脳損傷患者が病巣と反対側のものを無視してしまう事であり、右脳損傷で生じ易い。リハビリテーションの阻害因子となることが知られているが、そのリハについては有効な方法は確立されていない。無視する側への視覚探索(走査)訓練と体幹回旋は推奨されるが、今回、ゴーグル型モニターで視覚探索訓練を行った。これを使う事で、半側空間無視の患者は視線だけでなく体幹も回旋し、同時に重心、頭部も無視側へ回旋した。無視への即時効果も認められた。ゴーグル型モニターでの視覚探索訓練は、半側空間無視のリハに役立つと考えられる。
著者
池田 聡 大渡 昭彦 吉田 輝 川平 和美 上川 百合恵 原田 雄大
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、霊長類であるマーモセットを用い、中枢神経障害の回復過程と回復促進の要因を明らかにしようとするものである。大脳および脊髄など中枢神経の可塑性については、これまで様々な研究が行われてきたが、機能回復を促す刺激や効率についての検討は経験的なものが多く、科学的な検討はほとんど行われていなかった。光感受性脳血栓モデルはラットを用いてWatson ら(Neurology 1985)により確立した方法で、ローズベンガルという色素(食紅の一種で無害と考えられている)を静脈内に投与し、緑色の光線を経頭蓋的に照射することにより血管内で血小板を活性化させ、血小板凝集による脳血栓を作製するもので、この方法の最大の利点は、開頭を必要としないという点であり、開頭操作による梗塞直後の影響を除外できる。また、照射領域のみに梗塞をおこすため動脈閉塞モデルなどと比較し、梗塞領域、程度に安定した結果が得られるものである。平成20 年度は霊長類脳梗塞片麻痺モデルの作成および麻痺の評価、動作解析を行った。吸入麻酔イソフルランを用い深麻酔下でマーモセットに光感受性色素ローズベンガルを静注し運動皮質に緑色の光線を照射し、血小板を励起することにより血管内微小血栓を生じさせ、照射部位に脳梗塞を作製、脳梗塞片麻痺モデルを作成した。梗塞作成後梗塞の対側片麻痺が認められた。上肢の脳梗塞片麻痺の粗大運動機能、巧緻運動機能、協調運動機能などを評価として長時間ビデオ撮影による記録を行い、動作解析ソフトにより動作解析を行った。梗塞作成後、患側上肢機能低下、粗大運動機能低下、協調運動機能低下を認め、次第に回復が認められ、8 週間後にほぼ梗塞前の機能に回復が認められた。