著者
藤本 皓也 衛藤 誠二 徳田 真
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.253-261, 2021-04-15 (Released:2021-04-15)
参考文献数
18

中心性頸髄損傷の上肢麻痺に対し,標的筋を電気刺激しながら筋収縮を促す,持続的神経筋電気刺激と促通反復療法の併用療法を行った.症例は60歳代男性で,第3-5椎体で脊髄圧迫を認めた.右上肢の手指巧緻性に関して,簡易上肢機能検査8-10の平均所要時間が,14週間の訓練で50.7秒から13.1秒へ,37.6秒短縮した.併用療法終了後は6ヵ月で13.1秒から9.6秒になり,3.5秒の短縮であった.Spinal Cord Independence Measure self-careは,9週間の訓練で9点から19点に,10点改善し,他の治療と同等の改善度を示した.この併用療法は,上肢麻痺やADL改善に有効であることが示唆された.
著者
原 有希 衛藤 誠二
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.372-379, 2017-12-31 (Released:2019-01-02)
参考文献数
18

左中大脳動脈領域の脳梗塞により, 倒立書字・倒立描画を呈した症例を報告した。症例は基本的な視知覚機能は良好で, 文字・物体・画像の認知も保たれていたが, 向きの判断が困難であった。また, 文字・線画の正立像と倒立像の識別にも困難を示した。「線画」では上下の同定は可能であったが, 「文字」では上下の同定も困難であった。これらの特異的な徴候は, orientation agnosia と一致し発症 6 ヵ月後も残存した。線画と文字に対して外的手がかりを利用した空間定位の練習を 10 ヵ月実施したことによって, 倒立書字・倒立描画が消失した。症例の呈した症状を, 物体中心座標系と観察者中心座標系の視点から考察した。倒立書字・倒立描画は, 障害されている空間座標系の脳内表象に基づいて, 運動を実行することで出現した可能性がある。
著者
藤本 皓也 衛藤 誠二 田之上 恵菜 亀澤 孝 下堂薗 恵
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.113-122, 2022-02-15 (Released:2022-02-15)
参考文献数
22

促通反復療法(RFE)は,脳卒中片麻痺上肢の機能改善や物品操作能力,生活の質の改善に有効であることが報告されている.しかし,麻痺手の使用頻度や目標とした動作への効果は不明である.今回我々は,回復期脳卒中患者1名に対し,持続的神経筋電気刺激下の促通反復療法と課題指向型アプローチを組み合わせた課題指向型促通反復療法(Task-oriented RFE)を実施した.6週間の介入後,上肢機能や麻痺手の使用頻度,動作の質が改善した.また,目標とした動作の作業遂行満足度も向上した.退院1ヵ月後も,麻痺側上肢機能や使用頻度の維持,向上を認めた.Task-oriented RFEは,回復期脳卒中患者において,麻痺側上肢機能や使用頻度の改善に有効である可能性が示唆された.
著者
伊東 可奈子 上間 智博 金子 政人 弓場 裕之 野間 知一 衛藤 誠二 川平 和美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.F0622, 2008

【目的】振動刺激は麻痺に対する促通効果があるとされているが,一方では痙縮筋に直接刺激を与える治療は痙縮を増強してしまう危惧がある.我々は脳卒中片麻痺上肢において,振動刺激を筋に直接与える方法で痙縮抑制に効果があることを報告している.今回,脳卒中片麻痺下肢に対し,同様の治療を施行し,痙縮への影響を検討したので報告する.<BR>【方法】対象は重度な高次脳機能障害のなく,研究について同意を得た片麻痺患者6名(男性6名,年齢;63.2±13.1歳,罹病期間;5.2±3.5ヵ月,Brunnstrom tset,stageV4名,IV2名)である.振動刺激は背臥位でバイブレーター(大東電機工業株式会社製MD-01)を5本同時に使用し,麻痺側足底から下腿後面にかけて5分間加えた.振動刺激は足関節背屈位にして下腿三頭筋を伸張しながら行った.評価は振動刺激治療の前後に行い,以下の項目を実施した.1)10m歩行時間2)下肢軌道追従機能評価装置(鹿児島大学工学部作製)による下肢運動機能の評価3)筋力測定装置サイベックス(cybex6000清水メディカル株式会社)による足関節背屈抵抗最大トルク値(サイベックスは背屈の角速度を15°/s,60°/s)4)足関節背屈のModified Ashworth Scale(以下MAS)<BR> 評価は訓練効果を除くため評価前に十分な練習の後,測定を行った.<BR> 統計処理は対応のあるt検定を用い,危険率0.05%以下を有意とした.<BR>【結果】振動刺激治療によって10m歩行時間とMASには有意差はみられなかったが減少傾向がみられた.サイベックスによる足関節背屈抵抗最大トルク値は角速度15°では有意差はみられなかったが,減少傾向がみられた.角速度60°では振動後が有意に減少した(p<0.05).追従装置による評価では運動・誤差面積(p<0.05),幾何学誤差面積(p<0.01)ともに有意に減少がみられた.<BR>【考察】今回の研究で振動刺激によって脳卒中片麻痺下肢の痙縮抑制および下肢の随意運動が向上したため,痙縮筋に直接振動刺激を与えることにより痙縮が抑制され,主動作筋と拮抗筋の同時収縮が軽減したと考えられ,歩行時間や下肢の運動機能の改善に繋がったと推察される.今後,電気生理学的評価を加え,さらに症例数を増やし痙縮に対する振動刺激の有用性を検討していく.<BR>
著者
松元 秀次 川平 和美 下堂薗 恵 衛藤 誠二 緒方 敦子 中村 康典
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、神経筋電気刺激療法を用いて嚥下に関する筋群を刺激することで、嚥下障害に対する新しい治療法の確立を図った。嚥下障害と診断された患者に対して、電気刺激療法を用いて治療することで、安全性の確認とともに訓練効果を舌骨や喉頭の動き、嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査などで確認することができた。得られたデータを学会で発表し、論文にまとめて採択に至った。嚥下障害患者への新しい治療法の一つになると考えられ、さらには誤嚥性肺炎予防につながると考えられる。
著者
緒方 敦子 衛藤 誠二 下堂薗 恵 川平 和美 林 良太
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

半側空間無視は脳損傷患者が病巣と反対側のものを無視してしまう事であり、右脳損傷で生じ易い。リハビリテーションの阻害因子となることが知られているが、そのリハについては有効な方法は確立されていない。無視する側への視覚探索(走査)訓練と体幹回旋は推奨されるが、今回、ゴーグル型モニターで視覚探索訓練を行った。これを使う事で、半側空間無視の患者は視線だけでなく体幹も回旋し、同時に重心、頭部も無視側へ回旋した。無視への即時効果も認められた。ゴーグル型モニターでの視覚探索訓練は、半側空間無視のリハに役立つと考えられる。