著者
梁 美姫 山村 香織 晏 穎 深町 幸代 平野 雄 川本 俊弘 東 監
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.277-286, 1997-12-01
被引用文献数
1

3'-メチル-4-ジメチルアミノアゾベンゼン(3'-Me-DAB)長期投与により,化学発癌耐性ラット(DRH)および感受性ラット(呑竜)の肝ミクロソームにおけるシトクロームP450の経時的変化を検討した。呑竜ラットにおいては,投与中肝シトクロームP450含量は,減少の傾向を示したが,DRHラットの肝では殆ど変動を示さなかった。次にシトクロームP450のアイソザイムであるCYP1A1,CYP1A2,およびCYP2E1夫々の活性を測定した。その結果,特にシトクロームP450の活性の動向のみで化学発癌に対する感受性を説明し得るほどの顕著な差異は両者の間で観察されなかった。長期投与中における呑竜ラットの肝シトクロームP450含量の減少は,3'-Me-DABによる肝傷害のためと考えられる。
著者
欅田 尚樹 中島 民治 菊田 彰夫 川本 俊弘 嵐谷 奎一
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.337-348, 2004-09-01
被引用文献数
10

医学教育における系統解剖実習においては,ホルムアルデヒドに高濃度で曝露される可能性がある.解剖学実習における学生および教職員の安全性評価のために,系統解剖学実習時に環境中濃度測定と自覚症状についてのアンケート調査を実施し,解剖学実習の環境改善および防備体制などの充実に繋げる基礎データを蓄積することを目的とした.濃度評価は作業環境測定に準じ, 2,4-dinitrophenylhydrazine (DNPH)含浸シリカゲルカラムに気中ホルムアルデヒドを捕集し,アセトニトリルで溶出後,高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて分離・定量を行った.解剖実習開始前のホルムアルデヒド濃度の平均値は20〜93ppbであったが,実習開始後は実習の進展に伴い気中濃度は増加し最高時には1012〜1380ppbを示した.自覚症状調査においては,「喉が乾燥する」,「目がチカチカする」,「目がかゆい」,「気分が悪い」,「疲れている」などにおいて,普段に比べ解剖学実習室内において有意に高い訴えを認めた.