著者
北村 雅哉 西村 憲二 三浦 秀信 小森 和彦 古賀 実 藤岡 秀樹 竹山 政美 松宮 清美 奥山 明彦
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7-8, pp.589-594, 2000-07-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
18

(目的) TESE-ICSIは非閉塞性無精子症に対して広く用いられてきたが, その適応については今だ議論の残るところである. 今回われわれは精子回収の可否, ICSIの結果などについてそれを予見する術前のパラメータがないか, 後向き検討を行った.(対象と方法) 1997年7月から1999年9月まで大阪大学医学部泌尿器科およびその関連施設でTESE-ICSIを施行した非閉塞性無精子症の症例, 44例においてその臨床的パラメーターとTESE, ICSIの結果との相関を調査した.(結果) 1) 44例中32例 (72.7%) で精子の回収に成功し, うち29例でICSIを施行, 15例 (46.9%) で妊娠が成立した. 10例は Sertoli-cell-only の組織型が確認されていたが, うち3例 (30%) で不動精子が回収された. 2) 精巣容量, JSC, FSHが精子回収の可否を有意に予測するパラメーターであったが, 閉塞性の要因の関与も考えられるJSC8以上の症例を除外するとその有意差は無くなった. 染色体異常の有無は精子回収の可否を予測するパラメーターとはならなかった. 3) 妻の年齢, 精子運動性の有無, 精巣容量は受精の可否を予測するパラメーターとなった. 染色体異常は受精の可否を予測するパラメーターとはならなかった.(結論) 非閉塞性無精子症で精子の回収を予測する絶対的なパラメーターはなかった. 非閉塞性無精子症のすべての症例がTESE-ICSIの適応となり, またTESE-ICSIなしでは絶対不妊の診断は下せないものと思われた.
著者
三浦 苑子 内田 雅也 平野 将司 山内 良子 吉津 伶美 草野 輝彦 古賀 実 有薗 幸司
出版者
大学等環境安全協議会
雑誌
環境と安全 (ISSN:18844375)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.195-201, 2013-09-30 (Released:2013-10-25)
参考文献数
26

トリクロサン(TCS)およびトリクロカルバン(TCC)は、薬用石鹸やシャンプー等様々な製品に幅広く使用され、産業廃水や生活排水を通じて環境中に広がり、水圏の野生生物に影響をおよぼすことが示唆されている。これらの研究は、水域生態系の生物を対象としたものが多く、化学物質の最終到達地点と考えられる海域に棲息する生物を対象とした研究は少ない。そこで本研究では、海産甲殻類アミを用いたTCSおよびTCCの生態影響評価を目的とした。急性毒性試験は、USEPAの試験法(EPA/600/4-90/027F)に準拠し、96時間曝露の半数致死濃度を算出した。成長・成熟試験は、USEPAの試験法(EPA method 1007)に準拠し、14日間半止水式曝露を行った。曝露期間中、生死と脱皮数の観察を行い、曝露終了後、体長、体重及び頭胸甲長を測定し、二次性徴の形態観察から雌雄比を算出した。それぞれの半数致死濃度はTCSで70 µg/L、TCCで12 µg/Lであり、現在報告されているTCSとTCCの水環境中濃度よりも高かった。成長・成熟試験の結果、TCSは0.5 µg/L、TCCが0.05 µg/Lで、各測定項目に有意な減少が認められ、半数致死濃度よりも極めて低濃度であった。本研究の結果、環境中濃度が低濃度であっても、長期的な曝露でアミに対する成長・成熟への影響をおぼすことが示唆され、水域環境への影響が懸念された。
著者
堤 裕昭 篠原 亮太 古賀 実 門谷 茂
出版者
熊本県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

2005年4月〜2007年12月に、有明海中央部〜奥部海域を縦断する方向に設定した9〜12調査地点において、冬季を除き毎月1〜2回水質調査を行うとともに、最奥部の4調査地点では海底環境および底生生物群集の定量調査を行った。この3年間で共通に見られた現象として、梅雨明け後の7月末〜8月上旬の小潮時に奥部海域の広範囲にわたって海域で貧酸素水が発生したことが挙げられる。2006年8月5日には、この海域の水面下5〜6m付近で無酸素層が観測され、海底直上でも1mg/Lを下回った場所が多かった。貧酸素水発生原因は、海底への有機物負荷の増大によって基質の有機物含量が増加したことと、酷暑のために表層水温が30℃を超え、梅雨期に増殖した珪藻類がその熱で死滅し、その死骸が水中に懸濁している間に分解されて酸素消費に拍車をかけたことが推測された。沿岸閉鎖性海域における貧酸素水発生の原因に関する従来からの理解は、赤潮発生に伴う海底への有機物負荷量の増大にあったが、近年の地球温暖化による夏季の水温上昇が、さらに深刻な貧酸素水が発生する事態を招く原因となりつつあることがわかった。毎年夏季における貧酸素水の発生によって、奥部海域の底生生物群集は、夏季に密度および湿重量が著しく減少し、冬季に一時的に回復する季節的なサイクルを繰り返している。しかしながら、年々、冬季の回復が鈍り、スピオ科の小型多毛類およびシズクガイ、チヨノハナガイなどの環境変動に適応性の高い小型の二枚貝類しか生息できない状況となっている。この底生生物群集の著しい衰退が、同海域における底生生物に依存した食物連鎖を崩壊しつつある。このまま夏季の貧酸素水発生が続けば、有明海では、もっとも底生生物が豊かに生息する奥部海域の浅海部より海底生態系が著しく衰退し、それが有明海全体の生態系の衰退をもたらして、近い将来、生物の乏しい海域が形成される可能性が指摘される。
著者
北村 雅哉 西村 憲二 三浦 秀信 松宮 清美 奥山 明彦 小森 和彦 藤岡 秀樹 古賀 実 竹山 政美
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.587-590, 2000-08

精巣内精子抽出術(TESE)のうち先天性精管欠損,ヘルニア術後,パイプカット術後など明らかな閉塞性無精子症を除いた44例を対象に非閉塞性無精子症で精子の回収を予測するパラメータを検討した.JSC,精巣容量,FSHで相関がある結果であったがJSC8以上の症例を除外すると相関はなくなり,絶対的パラメータとはなり得なかった.受精に関しては妻の年齢,精子運動性の有無,精巣容量が有意なパラメータとなった.マイクロドロップレット法を用いたCryo TESE-ICSIは新鮮精子を用いたTESE-ICSIと同等の受精率が得られ,無用なパートナーへの侵襲を避けるのに有用と思われたWe reviewed 44 cases of non-obstructive azoospermia treated by testicular sperm extraction and intracytoplasmic sperm injection (ICSI) from July, 1997 to September 1999 at our institutes. Testicular sperm were retrieved from 32 patients (72.7%). ICSI was performed on 29 patients and the partners of 15 patients (46.9%) became pregnant. Out of 10 patients with histology of Sertoli-cell-only, we could retrieve sperm from 3 patients (30%). Testicular volume, Johnsen's score count (JSC), and FSH were significant parameters to predict the recovery of testicular sperm from the patients, but if only the patients with JSC less than 8, are analyzed, none of them was significant parameter. Chromosomal abnormality was not a significant parameter. The partner's age, motility of recovered sperm and testicular volume correlated with the fertilization rate. Chromosomal abnormality or the usage of cryopreserved sperm was not a significant parameter to predict fertilization.
著者
篠原 亮太 堀 悌二 古賀 実
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.400-405, 1978-07-05
被引用文献数
2

環境中に残留する微量のo-,m-, p-ターフェニルの分析法を抽出,クリーンナップ,マスフラグメントグラフィー(MF)による分離について検討し,この分析法が実際試料に適用しうることを確認した.水からの抽出はn-ヘキサンによる液-液抽出法を用い,底質からはn-ヘキサンを抽出溶媒とした連続抽出法を用い,それぞれ定量的な回収率を得た.妨害物質の除去はn-ヘキサン;ベンゼン(4:1)を溶離液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで行った.微量のターフェニル異性体のMFにおける分離は,1%OV-101に0.1% Bentone 34を混合したもの,2%OV-101に1% BMBTを混合した2種の液相が満足できる結果を与えた.MFにおける検出限界は,水(200ml)の場合o-, m-, p-はそれぞれ0.007ppb,0.025ppb,0.05ppbであり,底質(10g)の場合はそれぞれ0.14ppb,0.5ppb,1.0ppbであった.これらの分析法を用いて北九州地方の海水,河川水とその底質について検察した結果,水はすべて不検出,底質からはo-, m-, p-はそれぞれ(0.8〜390)ppb, (1.1〜210)ppb, (1.7〜180)ppbの範囲で検出された.