著者
楢崎 丁市 川村 信一郎
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.9, no.10, pp.889-891, 1960

著者らはソラマメのヘミセルロースB<SUB>1</SUB>構成糖として一種のメチルペントースの存在を発見し,この糖をペーパークロマトグラフィーおよび粉末ロ紙カラムクロマトグラフィーにより分離し,各種呈色反応の分光光度計による検討,ペーパークロマトグラフィーによる<I>R<SUB>f</SUB></I>の測定,溶媒拡散法による2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンの合成などの実験結果からこの糖をフコースと推定した.<BR>ペーパークロマトグラフィーなどで比較的容易に,かなり純粋に分離できる微量の糖の確認のためには,呈色反応の特異性を利用するのが有用であると考え,さらに,自然界に分布の広いメチルペントースであるフコースとラムノースの呈色反応を比較し,フェノールー硫酸反応によりフコースの確認ができることを知ったので報告する.
著者
笠井 忠 岸本 雅夫 川村 信一郎
出版者
香川大学農学部
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.p111-119, 1981-03

カラスノエンドウ種子からビシアニンを単離結晶化し, 融点, 比旋光度とともに, ビワ種子から単離したアミグダリンと対比してTLC, GLC, IR, UVをどから同定した. カラスノエンドウ種子抽出粗酵素液のビシアナーゼを用いて, ビシアニンからビシアノースを単離し上記同様これを同定した. この種子抽出粗酵素液にはビシアノシダーゼも含まれるが反応の初期2時間までは主としてビシアナーゼ作用のみが認められた. ここで得たビシアニンを基質としたこの粗酵素液のビシアナーゼ活性はpH4.0, 温度45-50℃で最高であった.
著者
川村 信一郎 深川 正弘
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.30-33, 1968

香川県産の金成と米国北部産のメリットをヘキサンで余り高温にならないようにして油を抽出した脱脂大豆に水を加えて,脱脂大豆無水物100部に対し水分120部として120℃に50分蒸煮すると,還元糖がはじめ0.1~0.2%であったのが,10倍前後の0.8~1.0%にふえた。これはグルコースとフルクトースであり,ガラクトースもできたらしい。非還元糖は脱脂大豆に10~11%含まれていたのが1~3%だけ減少した。定量的ペーパークロマトグラフィーの結果でもサッカロース,ラフィノース,スタキオースがそれぞれ減少した。全糖の量が減少しているので,非還元糖から生じた還元糖の一部は二次的に変化したものと考えられる。そのひとつとしてアミノカルボニル反応が考えられ,実際着色が進むことは周知のとおりである。水溶性窒素は1%に減少した。
著者
川村 信一郎 多田 稔 楢崎 丁市
出版者
JAPAN SOCIETY OF NUTRITION AND FOOD SCIENCE
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.268-275, 1966
被引用文献数
1

(1) 大豆 (10品種) は88.8~92.0 (平均90.3) %の種実 (子葉) と6.1~8.3 (平均7.3) %の種皮と1.9~2.9 (平均2.4) %の胚軸からなる。<BR>(2) 糖を抽出し, 個々の糖を定量する方法を定めた。<BR>(3) 9品種の大豆の種実, 種皮, 胚軸の水分, 灰分, 粗脂肪, 粗タンパクを分析定量した。日本品種はアメリカ品種よりも炭水化物が多い。<BR>(4) 9品種の大豆の種実, 種皮, 胚軸の個々の糖を定量的ペーパークロマトグラフィーによって定量した。平均すると脱脂種実はサッカロース6.6%, ラフィノース1.4%, スタキオース5.3%を含み, 単糖類 (グルコースとフルクトース (?)) と五糖類 (ベルバスコース) がこん跡量存在する。平均すると種皮はアラビノース0.02%, グルコース (+フルクトース (?)) 0.05%, サッカロース0.60%, ラフィノース0.13%, スタキオース0.41%, ベルバスコースこん跡を含む。アラビノースは水溶性多糖類が分解したものかも知れない。脱脂胚軸の糖組成は脱脂種実と大差ないが, スタキオースがサッカロースより多い場合が多かった。<BR>計算によると, 大豆全粒 (無水物, 脂肪あるまま) は平均すると単糖類と五糖類 (ベルバスコース) こん跡, サッカロース5.0%, ラフィノース1.1%, スタキオース3.8%を含む。 (この値は日本産1品種についての定量値よりやや高い。)