- 著者
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中島 紀
川良 公明
- 出版者
- 国立天文台
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1998
本研究のテーマは、褐色矮星、近赤外ディープサーベイの星状天体の解釈及びスペースイメージング赤外干渉計の感度の計算に大別される。若い褐色矮星の研究からは、褐色矮星が、星のように単独でも、伴星としても検出されることがわかった。スペースミッションは、多数の冷たい褐色矮星を検出する可能性を持つが、地上観測は、暖かい褐色矮星にしか感度をもたない。低温褐色矮星SDSS 1624+00の時間分解されたスペクトルの変動を調べることで、褐色矮星の気象の研究を行った。観測時間は、80分と短かったが僅かな変動がみられた。狭い領域のディープサーベイは、限界等級を深くしていったときどのような宇宙が見えてくるかを知る目的で、広域サーベイと相補的な役割を持つ。また、そこからスターカウントモデルを構築することで、サーベイ一般がどのような数の星や褐色矮星を見つける可能性を持つのかを予言することができる。我々が構築したスターカウントモデルは、UKIRT Wide Field Surveyの褐色矮星検出効率を予想し、Next Generation Space Telescopeがみる究極の銀河系の姿を描きだした。サーベイにより検出された天体を高い空間分解能でフォローアップするための究極の装置は、スペース干渉計である。また遠赤外線においてコンフュージョンをさけてディープサーベイを行い銀河カウントを行えるのも、スペース干渉計である。まず我々は、スペース干渉計の感度の公式を導いた。そしてその公式を現在計画されているTerrestrial Planet FinderやDarwinに応用した。そして、冷やさない干渉計が冷やした望遠鏡よりも感度が良いこと、冷やした干渉計は、宇宙論的に意味のある観測が可能でるあることを見出した。