著者
藤田 雄司 森 文樹 河野 和明 藤原 敏典 吉岡 嘉明 田村 陽一 江里 健輔
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.2063-2066, 1993-08-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
10

炎症性腹部大動脈瘤の発生頻度は腹部大動脈瘤の約20%前後であることが報告されてから,最近急速に注目されている.今回われわれは炎症性腹部大動脈瘤の1例を経験したので,最近の治療法をふまえて報告する.症例は62歳の女性で,夜間の発作性腹痛・腰痛を主訴とした.血圧は正常で,貧血や炎症所見あるいは,尿路系障害もなかった.腹部エコー及びCTでは,腎動脈分岐部直下に最大横径4cm, 縦径8.5cmの紡錘状動脈瘤を認めた.動脈壁は約1cmとマントル状に肥厚し,壁内には石灰化があった.瘤壁は約1cm厚に肥厚,線維化しており,内膜には中等度の動脈硬化性変化が認められるに過ぎなかった.径18mmY型Dacron人工血管にて置換術を行った.組織学的には,炎症性腹部大動脈瘤であった.本症は破裂しにくいと言われているが,症状を伴う場合には積極的に手術をすべきである.
著者
沖田 将人 日下部 明彦 秋葉 涼子 八木 宏章 田村 陽一
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.560-563, 2014-11-25 (Released:2015-02-26)
参考文献数
1

94歳女性,アルツハイマー型認知症の末期,寝たきり,意思疎通は不可能.胃瘻からの人工的水分,栄養補給法(以下,AHN)を行っている患者の娘からAHNの中止を求められた.そこで,日本老年医学会が発行した高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン(以下,ガイドライン)1にそって,約2カ月の時間をかけて複数医師の診察,家族,訪問看護師ステーション責任者,ケアマネージャー,訪問介護事業所責任者,訪問入浴事業所責任者,介護用具貸出事業所責任者と話し合いを重ねた末に,AHNの中止を決断した.その後患者はインフルエンザに罹患し,肺炎を併発したため,AHNは中止せずに肺炎発症から7日目に永眠した.今回の症例で,胃瘻を中止することが命を断ち切る心の葛藤に家族は悩まされることや意思疎通のできない患者の本人らしさをどのように引き出すのかの難しさをあらためて実感した.今までにガイドラインにそってプロセスをふみ,AHNの中止を検討した報告はなく,今後の課題などを考察して報告する.
著者
河野 孝太郎 川邊 良平 松原 英雄 南谷 哲宏 羽部 朝男 半田 利弘 川良 公明 田村 陽一 江澤 元 大島 泰 児玉 忠恭 伊王野 大介
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2008

サブミリ波望遠鏡ASTEに連続波カメラを搭載し、ダストに隠された大質量の爆発的星形成銀河(サブミリ波銀河)を1400個以上新たに発見した。これらの距離や性質を調べるため、多色超伝導カメラ、および超広帯域分光観測システムを開発した。赤方偏移3.1という初期宇宙の大規模構造に付随したサブミリ波銀河の集団の発見、重力レンズによる増光を受けた極めて明るいサブミリ波銀河の発見、非常に赤方偏移の高いサブミリ波銀河候補の発見、など、大質量銀河の形成・進化について重要な知見を得ることができた。